東京物語
東京本社に立ち寄った僕は、午後から山手線に乗り込み渋谷駅を目指した。
ハチ公改札口を抜けて、駅前周辺の人波をかき分けながら明治通りに進んだ。そして宮下公園を通り過ぎてから、だらだら坂を上り始めた。
上りながら、彼女がこの坂道を下ってくるような気が何度もした。しかし現実には、見知らぬ人たちとすれ違うばかりだ。もし、記憶にある出来事が現実に起これば、それは奇跡に近いというほかはない。彼女と付き合っている間、何度もこ
※ 一身上の都合により、大幅に改編しました。今まで感想をいただき、ありがとうございました。