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好感度999まであと少し──俺だけ“関係スキルツリー”と“巻き戻し権”持ってる世界で、最強ヒロインたちを攻略中  作者: 風白春音


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第34話:「新たな共鳴──想いを繋ぐスキルと、閉ざされた家族」

期末テストが終わって数日。

ようやく日常が戻ってきたはずなのに、俺の心は妙なざわつきを拭えないでいた。


──あの夜、VR空間で出会った“あの人”。

美しい魔法使いのアバターの奥に、俺は確かに感じた。何か、強く抱え込んでいるものを。


あの人は……間違いなくレイジの姉だ。

あの人が俺に対して嘘をつく意味がない。

確信がある。根拠は薄くても、直感が叫んでいる。


スキルツリーが示していた“家族を繋ぐ記憶”というルート名。

そこに浮かび上がったキーワード──《姉の異変》《妹の沈黙》《交差する兄弟の絆》。

そして“特別ミッション:家族を救え──二つの鍵を探せ”。


まるで俺に、あの姉弟の問題へ踏み込めと告げているようだった。



次の日の昼休み、俺は星花、アマリエと軽く会話を交わす。


「テスト終わってから、ちょっと疲れ出てない?」


「……え? そ、そんなことないよっ」


星花は少し驚いたような顔で微笑むが、その瞳の奥はどこか曇っていた。

“あのお泊まりの日以来彼女の様子はやはりおかしい。

もしかしたら怖い夢を見てそれに苦しめられてるのかもしれない。


アマリエはそんな星花の様子に気づきながら、そっと寄り添う。


「天翔さん、無理は禁物よ? 心の疲れは、勉強より回復しにくいんだから」


「うん、ありがとう……アマリエちゃん」


穏やかな空気が流れる昼休み。

だけど俺の意識は、やはり別の場所へと向かっていた。


──レイジ。そして、あの姉。



帰宅後、俺はスマホを手に取り、レイジへメッセージを送る。


『なあ、前にちょっと話してたけど……お前の姉ちゃん、元気か?』


少しして届いた返事は、どこか曖昧だった。


『あー、そういや俺、お前に相談したっけか。んー、まあ普通。あんま喋らんし、最近距離あるっつーか

正直、よくわかんね。ま、放っといても平気っしょ』


明らかに気にしてないフリだった。

……やっぱり、何かある。


彼自身が無自覚なら、家族の異変にも気づけないのかもしれない。

妹のことも、彼の口からは一切触れられなかった。


その夜、ネットの学習動画をBGM代わりに流しながら、俺はスキルツリーを起動する。


──表示が更新されていた。


【特別ミッション:家族を救え──二つの鍵を探せ】

《妹の病》《過去の代償》《交わらぬ想い》


(“妹の病”……?)


初めて見る単語に、息を呑む。


【情報取得済:症例No.0001──関係スキルツリー変異型による精神結合性疾患】

──世界でたった一人。

──現在治療法なし。


(これが……レイジの妹に起こってること?)


胸の奥が、ずしりと冷たく沈んだ。

彼女は誰にも言えず、だからこそレイジにすら距離を取っている。



夜。

俺は再び、VR空間にダイブする。


“セフィロト・ロビー”──仮想の夜空が広がる、静かな図書空間。

そこに、彼女はいた。


長い髪。冷えた目。美しい魔法使いの姿で、俺を見て──ふっと、小さく微笑む。


「……また来たのね。ふふ。やっぱり、そうなると思った」


「前に言ってた……レイジの姉って本当なんだろ?」


彼女は答えず、少しだけ目を伏せた。

それが、なにより確かな肯定だった。


「私は──“蓮華れんか”。あの子の、姉よ」


……ようやく、名前を知ることができた。


「レイジはまだ何も知らない。……妹のことも、私のことも」


その声は震えていた。

無力感に近い、痛みのこもった響き。


「あなたは普通じゃなさそうだからお話しするけど、妹は難病なの。そして妹の病気は、もう普通の医者ではどうにもならない。

 スキルツリーという現代科学の外側が絡んでいる限り、“人間の理屈”では届かないの」


「だから誰かに頼ったのか。──“代償”を払ってまで?」


 俺は推測で物事を話す。

 しかし同時に彼女は、その推測に驚きと感嘆の表情を見せた。


そして蓮華は、静かにうなずいた。



「驚いた。そんな事まで知ってたなんて。本当にあなた何者?」


「ただの平凡な男子高校生だよ。まあ……敢えて言うなら少しだけ人とは違う人生を歩んでる17歳。かな」


 

 蓮華はその言葉に「ふふっ」と笑った。

 その姿は誰をも魅了する美しさが兼ね備えられていた。



「だから私は、もう彼らとは関われない。

 私が関わると、全部が崩れてしまいそうで……こわいの」


だけど、俺は言う。


「それでも、誰かが繋ぎに行かないと……二人とも、本当に壊れてしまう」


その言葉に、彼女の視線がわずかに揺れた。


──その瞬間、視界に通知が浮かぶ。


【ルート進行更新】

《蓮華ルート:好感度 +23》

【スキルツリー更新──新スキル取得条件達成】


新スキル:《サブリミナル・エコー》

──“微細な意識下の共鳴波を用いて、相手の感情や思考に揺らぎを与える”

(発動制限:対象との関係性が高い場合のみ効果あり/強制的な支配は不可) 


(これは新たなスキル!?)


昨日の新スキルメンタルリンクと組み合わせれば……


(……これなら、届くかもしれない)


「……会ってほしい人がいるの」


蓮華が、そっと呟いた。


「──次に来たとき、連れてくるわ。あの子を、あなたに」


星の瞬きと共に、空間が揺れ、画面がゆっくりと暗転していく。


(もう……後戻りはできない)


目を閉じたその先に、また新しいルートが待っている気がした。

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