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好感度999まであと少し──俺だけ“関係スキルツリー”と“巻き戻し権”持ってる世界で、最強ヒロインたちを攻略中  作者: 風白春音


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第30話:「選ばれた未来──君を想うがゆえの、決意」(星花視点)

暗い。

 何も見えないほどに、世界が深い霧に包まれていた。


 でも、そこに――彼がいた。


「やめて……攻真くん、来ちゃダメ……!」


 声は届かない。

 彼はまっすぐに歩いてくる。私のほうへ、手を伸ばしながら。


 その背後で、黒い枝のようなものが絡みついていく。

 スキルツリーなんて知らない。だけど、それが“運命”を縛る何かだと、本能が告げていた。


 そして、彼が私の名を呼んだその瞬間――


 ズドンッ!


 鈍く重い音。真っ赤に染まる彼の胸。


 「────攻真くん!!」


 私は彼の元へ走る。けれど足が動かない。

 何度も叫ぶ。だけど、その顔はもう、笑ってくれなかった。


 「大丈夫、星花。君を、選べて、よかった……」


 そう言って微笑んだ彼の姿が、赤黒いルートの中へと消えていく――


 *


「──っ……!」


 目を覚ました瞬間、私は息を荒くしていた。


 視界が揺れる。鼓動が、早い。夢だって、わかってる。

 でも、あまりにリアルすぎて、胸が押し潰されそうだった。


(夢……だったんだよね……?)


 静かな部屋。窓の外には淡い朝の光。

 隣には誰もいない。……そうだ。攻真くんは、朝方、そっとリビングで寝るって言っていた。


 私はゆっくりと体を起こし、掌で顔を覆った。


(なんで……あんな夢……)


 胸が痛い。息が詰まる。涙がにじんでくる。


 怖かった。ただただ、怖かった。


 攻真くんが、私を選んだせいで、命を落とすなんて――


「そんなの……やだよ……!」


 ポツリと、声が漏れる。


 怖いのは夢じゃない。

 あの夢で見たように、攻真くんが私のせいで傷つく未来が、本当に来るかもしれないという不安だった。


(好き……だよ。こんなにも、怖くなるくらい……)


 改めて、私は気づいてしまった。


 私は、桐谷攻真のことが、本当に、好きなんだ――と。


 でも、それを伝えていいの?

 私がそばにいたら、彼はまた苦しむんじゃないの?

 あの夢は、その警告なんじゃないの……?


「……どうすればいいの、わたし……」


 そう呟いた声は、まだ震えていた。


 けれど胸の奥には、確かに灯った想いがあった。


 それはまだ不安定で、すぐに消えてしまいそうな火だったけれど。


 私は、初めて“この想い”を抱いたまま、朝を迎えた。


 そして私は、静かに決意する。


(今日一日……ちゃんと、考えよう。彼と、どう向き合うかを)


 遠くで、リビングのソファから寝息が聞こえる。


 それだけで、少しだけ、心が温かくなった。


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