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レイラの見送り

 結局、あの後、リリーは一言も口を聞いてくれなかった。

 まあ、レイラさんが諸々の準備や手続きなどは済ませたと言っていたから、大丈夫だろう。ああ見えて、リオンに対する奇行以外は優秀な人なのだ。


 そして、出立の日が来た。

 エドモンドからは、入学式の前日に適性検査があり、その前に学園の協力者に会ってこいと言われている。

 なので、今回は朝早めに王都にある王立魔法学園、正式にはミッドガルド魔法戦術学園へと向かう。

 そのため神殿にある転送魔法を特別に許可してもらった。

 そして、リオンは学園の制服姿で、レイラに見送りを受けていた。


 「リオンくん、気をつけてな」

 「ああ」

 「忘れ物などないか?」

 「ああ」

 「体調には気をつけるんだぞ」

 「ああ」

 「何かあれば先生に言うんだぞ」

 「あ、ああ…」

 「寂しくなったら、いつでも連絡してきていいんだぞ」

 「子供か!」

 レイラの過剰な心配に思わず声を上げるリオン

 

 「君は心配しすぎだ、僕よりリリーの心配をもっとしてあげろ」

 至極真っ当なことをいうリオンにレイラは、しばし考え

 「大丈夫!あの子はもう大きいんだから!」

 「僕も大きいんだよ!目を覚ませ!目の前にいるのは子供に見えて、もう30歳を超えたオッサンなんだよ!」

 「そんな…リオンくんがオッサンだなんて…」

 (なんでそこでショックを受けるんだ!?)

 「なあ、前々からあえて言わなかったけど、君、やっぱり僕のことを子供としてみてるんじゃあ…」

 「な、何をいってるんだ!大丈夫だ!私はリオンくんのことを、ちゃんと旦那として()愛している!」

 「頼むから旦那としてだけ、愛してくれ!」

 

 リオンはレイラのよく分からない愛情を受けつつ、ミッドガルド魔法戦術学園へつながる神殿の転送魔法の魔法陣のある部屋へと向かったのであった。


 


 

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