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十八試艦戦 そして終わりへ。

 十二試、十五試と続いた艦戦。十八試艦戦も発注された。

 戦線を限定することで米軍の物量に対抗しているが、支えきれない物量が十九年以降投入されるだろう。

 十八試が実戦配備されるかはわからない。急速な投入を可能とするために、旋風をベースに必要最低限な機能に絞って小型化する。

 発動機は火星の十八気筒版、陸軍制式名称ハ104に水メタノール噴射と機械式燃料噴射を採用したハ214を採用。ハ43など海の物とも山の物ともわからない物は使わない。この時点で完成は遠いとされていた。

 大型主翼は折り畳み機構を省くために採用しない。エレベーターに収まる寸法として11メートルとする。

 胴体はほぼそのままとした。若干短くして9.8メートルとしている。火星よりも200kg重い発動機の重量バランスを取るために胴体後部を無駄に減量せず、かえってがっちりと作った。操縦席後と燃料タンクは防弾鋼板を面積を拡げ厚くしている。

 航続距離は1000海里。増漕で300海里稼ぐとした。

 

 設計の結果、翼面荷重200kg/㎡を超える機体ができあがってしまった。さすがにこれは着艦時に拙いと、前縁スラットとスロッテッドフラップを採用。着艦速度の低下を狙った。スロッテッドフラップは二段で一段目は空戦フラップとして搭乗員が任意で選択できるようにしてある。

 プロペラは若干直径を小さくして加速力の向上を目指した。ブレードの幅を拡げ馬力を吸収できるようにした。


 試作一号機は二十年二月に完成した。ここで着速の早さが問題になる。これは試験機搭乗員の勘違いで一段降ろしたフラップをもう一段降ろさなければいけないのに、一段だけで着陸したためである。誤認を防ぐため、空戦フラップとして利用できないようにした。この措置により着陸速度は旋風と変わらない程度まで押さえることが出来た。

 試作機のお披露目は昭和二十年四月だった。


A8M1d  

全幅     11メートル

全長     9.8メートル

全高     3.6メートル

自重     3.2トン

全備重量   4.2トン

発動機    ハ214  離昇出力 2400馬力

最高速度   360ノット/6000メートル

上昇力    5000メートルまで5分10秒

航続距離   1000海里(正規)+300海里(300ℓ大型増漕有)

武装     九九式20ミリ二号四型機銃 4丁 装弾数各200発   

       三番または六番を両翼下に左右各2発搭載可能


 この性能に狂喜乱舞した海軍は、A8M2烈風として採用。直ちに量産を指示。

 三菱は量産を開始したが、二十年一月のマリアナ沖海戦で敗北し三月になるとマリアナからB-29が飛んできて始まった本土空襲で航空機関連工場が集中して狙われたことにより、思うように進まなかった。

 さらに二十年五月に硫黄島が落ち敵護衛戦闘機が飛んでくるようになると空襲は激しさを増した。

 最初の部隊は帝都防空の厚木空に配備された。二十年七月のことである。次いで翔鶴戦闘機隊の六〇一空に配備された。しかし、六〇一空に烈風が配備された頃には日本海軍機動部隊が行動できる時期ではなくなっており空母から発艦を経験することはなかった。基地からの防空戦闘で活躍した。


生産数

 烈風  試作機8機  量産156機

 旋風  試作機8機  量産7306機

 零戦  試作機9機  量産5137機 


 本機200機あらばと言わしめた烈風は、日本の技術的限界か同時期に出現したF8Fに比べるとカタログは負けていないが完成度は低かった。




二十年六月十八日 フィリピン陥落。南方資源地帯と分断される。

二十年七月十六日 台湾大空襲。高雄・台北の両飛行場、壊滅。

         アメリカ機動部隊&フィリピンに展開したアメリカ陸軍航空隊

         台湾航空戦力は劣勢で勝てず。

二十年八月五日  アメリカ機動部隊による沖縄空襲。飛行場壊滅。

二十年八月十日  呉大空襲。

         機動部隊とマリアナとフィリピンから時差で空襲を受ける。

         呉壊滅。

二十年八月十四日 横須賀大空襲。機動部隊とマリアナから時差で空襲を受ける。

         呉と横須賀への空襲で海軍実働艦艇、激減。 

二十年八月十七日 終戦



海軍残存艦艇(小破以下)

戦艦   2

空母   3

重巡   2

軽巡   4

駆逐艦 16

海防艦 45

潜水艦 16

他   多数 





 零戦の評価


「ああ、ゼロか。キャット(F4F)といい勝負だったな。お互いに多少弾を食らっても墜ちないし、旋回性能は似たようなものだ。じゃあどこで勝負が付いたかって?付くわけないさ。お互い弾切れも多かったのではないかな。機数が多ければ多い方が勝ったな。ただ20ミリは当たり所が悪いと1発で墜とされる。仲間にも墜とされた奴はいたよ」

 アレックス・マクドゥナル氏。撃墜数26機。

 開戦当時はホーネット乗り組みのアメリカ海軍少尉。終戦時少佐。8回ほど零戦と空中戦を行ったと記録にある。終戦まで機動部隊で戦闘機に乗り、トップエースである。


「ゼロは厄介と言えば厄介だったな。M2が何発も命中しても平気なんだ。そのくせ奴らの20ミリは効く。もっとも速度が遅かったし高空性能が悪かったから逃げ切れた連中も多い。爆撃機にとって戦闘機はたいていの場合厄介だけどな」

 スクマヴィッチ・リンスキー氏。当時B-17機銃員。負傷しながらも帰還すること数回。負傷除隊した。

 

「ゼロは俺が対戦した頃には既に低性能機で前のキャットと同じ扱いだったらしいから当たったことはないな。新型のでかいゼロ、ジャックは新しいキャット(F6F)でも面倒だった」

 フランク・ワシントン氏。撃墜数2機。

 エセックス乗り組みで当時アメリ海軍少尉。氏が参加した海戦で零戦もいたはずだが、対戦はなかったらしい。




「アレはダメだ。全く回らんし足が遅い。敵のケツに着けない。アレでは墜とせん。旋風は良かったな。重そうに見えるが軽快だった。グラマンの新型(F6F)とは良い勝負だった。防弾?当たらなきゃいんだ、当たらなきゃ。まあ助かったこともあるし、戦友も大勢助かっている。悪いことではなかったな」

 東野定幸氏。終戦時、海軍大尉。単独撃墜17機。共同撃墜36機。

 九六戦で初の撃墜を経験。3機撃墜と大陸で暴れ回る。零戦での戦果は2機撃墜と少ないが、旋風では12機撃墜と活躍した。兵学校出で最終階級が少佐でもおかしくなかったが、言動に若干の問題があり昇進が遅かった。部下には慕われていた模様。


「驚きました。九六戦でクルクルやるのになれていると、アレは無い。回らないんです。訓練で決められた速度と高度の水平旋回では容易にケツを取れました。ただ、自由になると勝てません。ダイブで逃げるし、横転も早い。相手は九六戦をよく知っているので絶対に水平旋回に持ち込まれないように機動します。新時代の戦闘機かなと思いました。実戦では、速度は遅かったですがあの防弾装甲で何回助けられたことか。頑丈な機体でダイブで逃げるアメリカ機を逃さないんです。足は遅いし回らないので格闘戦が好きな人は悪く言いますが、兵器としては上等だったと思います」

 高田益男氏。終戦時、海軍飛行兵曹長。単独撃墜7機。共同撃墜18機。

 終戦まで零戦以外の機体での戦闘経験が無い。ただし訓練などでは旋風や紫電に搭乗したこともあるという。新型も良かったが機会が無かったのが残念だと言われた。


「零戦ですか。アレには助けられてばかりでした。整備員達から「何回死んでるんだ」とよく言われました。撃墜は無かったですが墜とされもしなかった。とにかくありがたい機体でした」

 太田貞夫氏。終戦時、海軍一等飛行兵曹。撃墜0。共同撃墜8。

 空母機動部隊を主な戦場とし、艦攻乗りや艦爆乗り達からは「最後まで守ってくれる」と絶対的な信頼を置かれていた。


お付き合いいただきありがとうございました。

「いつもより回っておりません」は、勿論、回すといえばこの方達。海老一染之助・染太郎師匠をオマージュしております。まだテレビで大々的に売れる前のお二人が正月に地方営業へ来たとき、目の前で見させていただきました。素晴らしかったです。あの無駄に力の入った台詞。何でも回すあの芸。咥えた棒の先から落とさない芸。

実に良かったです。



昭和二十年七月ともなればアメリ海軍機動部隊の運用機数は総数で1200機くらいになっていたはず。それにフィリピンから4発爆撃機と護衛のP-38やP-51が押し寄せればね。勝てる見込みも無しと。




機体のイメージは

零戦の機体は史実52型をさらに重装甲化してしまい、栄一二型が非力で重いので思うように動けない。

F6Fみたいな旋風。

F8Fみたいな烈風。

以上でした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 御参加ありがとうございます。重防御に振り切れた結果、パッとしない戦闘機となった零戦が面白かったです。 [一言] ブローニングに耐える防弾。結構難題かもしれませんね。
[一言] ゼロ戦単体ではどうという事はないけれど、後継機開発には成功してるから史実より良かったのでは?
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