第七話 寝よう
今のうちはもう勃つ事はないため今のうちに松の葉を大量に上に置いてから家に帰る、家に着く頃には体に付いた猪の血は既に固まりきっていた、風呂に入る為にすぐ外の金属製の樽の下に火を灯そうと思い樽を見に行くと樋との接続部からている様だ、樽の蓋を開けると内側が黄色や白い物が薄くこびし付いていてやはり硫黄泉で合っていそうだ、木の板で作られた浮きに金属の棒が繋がっている、さながら水洗トイレのタンクの内部構造の様だった、が木の板に結晶がびっしり付いていて浮きとして働いていていない、繋がった金属棒を上に上げてみると樋が糸で吊られた一部分だけが下に下がって下水として地下に流れて行ったトイレで流れてたのはこの漏れ出た温泉だったのだろう、「直さなくてはならんかもしれんが、治さんくても風呂に入れんわけじゃない」と言う風に考えを少し反復横跳びさせながら、「取り敢えず火ぃ付けるか」と浮きを持ち上げ蓋をしてから浮きを下ろすと固定されて源泉がそのまま下水に流れて行く、それを見てやっぱ勿体無いかと思い浮きを樽の中に戻す、そしてやっと火をつけるためにまた火起こし器と薪を持ってキッチンに行き薪に火を付け戻ってくる、火の付いた薪を金属製の樽の下に転がしその辺で枝を拾って被せる、火をどんどん大きくしていき蓋を開け湯加減を見るまぁまぁかなぁと言うぐらいで別にそこまで熱くもないし冷たくもない強いて言えば緩いが緩すぎる程じゃない、例えるなら家族が入り終わってから一時間くらいして追い焚きもしていないまま入った風呂と言うぐらいの温度、まさにまぁまぁだ、風呂を洗うために少しだけ水を入れようと家の壁を貫通するように入っている樋の田圃の水を調節するための栓のような板を持ち上げる、そうするとお湯の注がれる様な音が聞こえた、見に行ってみたら結構な勢いで流れできていたためすぐさま栓を閉めお湯を行かない様にした、家にあった(多分床を立ったまま掃除出来るようなブラシの先端部分)ブラシを使って洗うことにした、、、
滑りも無くなり汚れも綺麗になってきた途中滑ったりなんだりして大変だったが自分の体に付いた猪の血も落ちてきて謎の達成感があったから楽しかった、檜の木製風呂で浴槽の中央右側に栓があり開けるとすぐ汚れと猪の血で赤黒くなって表面に油の浮いた汚過ぎる水が流れていく、めっちゃ気持ち良い、湯の入ってくる栓を取り湯が入って来たらその勢い殺さずそのまま下水に流れて行く、色んな場所に手で手で桶の様に受た湯をかけていく、檜の綺麗なピンク色の浴槽が露わになる、洗う度に削れてしまったのか乾燥した木材のように木目状に削れていて良い滑り止めになっている、流し終わり湯を溜め掛け湯をして湯加減をみながら風呂に入ると「あ゛ぁ゛〜」とお爺ちゃんの温泉に入った声の様なものを出して寛ぐ、石鹸の表面のカビた部分を桶に溜めた湯に入れ溶かし取り除き使ったがやっぱ若干臭いがあるが石鹸の匂いで掻き消される、身体を洗うと心地良さがある、シャンプーはないが洗えると言うのはとても心地良い。あぁこれが夢心地かぁ
「良きかなぁ」と某有名アニメ映画の河の神みたいな声で言い、浸かっていた
体感30分程入ったので出ると「あぁそう言えば服も無ければ体拭けるタオルも無いんじゃった」と思い出す、まぁ全裸のまま外で歩いたんだから大丈夫だろと火をしに外に出て砂かけて火を消し樽の中に水が溜まりきるまで待ち溜った事を確認してから木の浮きを出し蓋の上に置き火に砂や土をかけ火を消しているうちに体に付いていた水はすっと消え去りいつの間にか無くなっていたが髪の毛はまだ湿っている、寝るかぁと全裸のまま囲炉裏のある部屋に行きあぁそうじゃん薪に火を灯しにキッチンに行き火を付け囲炉裏に火箸で火の付いてない薪と一緒に組んで灰をかけて火を抑えつつ寝ようと座布団をたたんで枕にし寝る、相変わらず自在鉤に掛けられた鉄鍋と全裸なまま火に照らされる自分がこの部屋に共存する事がとても不思議だ、昔ここに住んでいた人もこうしてだらしない感じでねっ転がっていたのかと思うと考え深いなぁ、そんなことを考えながら火に明るく照らされたポコチンの周り、正確には太股の内側である恥骨筋や内転筋のあたりと言えば伝わるだろうか、そこが乾燥して痒くなってきたため少し離れてまた感じる、優しく包み流れる暖かさと畳の湿気と一人だけの孤独と言う寒さまで、自分以外誰一人としていないこの空間で私は存在しているのだろうか、シュレーディンガーの猫箱という話を知っている確率で毒ガスを箱の中に出すと中にいる猫が死んでいるのか生きているのかという様な思考実験だったはずだ、結局観測するまであなじ空間に生きている状態と死んでいる状態が同時に存在するとかなんとか、それととても似ている気がする、もしかしたら猪に殺されていたかも知れないが一つシュレディンガーの猫と違う点がある彼が観測していると言えばしているし、虫なんかもそうだろう、そう私は生きていると安心した途端眠気が襲ってくる、瞼が重い、そのまま寝てしまうか。