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新しい家族


この開拓村は主に林業によって生計を立てている。

村民の多くは木こりだ。次いで、森の獣を狩る猟師、その次に農民が多く、あとは薬師、雑貨屋、行商、宿屋、鍛冶屋や建築屋などが一軒ずつ。


あの頃は景気が良かったのか次々と移住者が増えて行き、もう直ぐ街にもなりそうな勢いがあった。



そんな好景気な村の様子とは裏腹に、俺の生まれ育った家庭は地獄のようであった。


毎日投げ飛ばされ転がされる家具や食器。

青痣が絶えることのない母親と兄と自分。

そうして、この家で支配者面して暴力を振るう父親と名乗る男。


俺の家は父親からの家庭内暴力が絶えない家庭だった。



聞いた話によるとあの男は元から暴力を振るうクズで、街で夜鷹をやっていた母を金と暴力で手込めにして無理やり夫婦となり兄と俺を孕ませたという。


そして、街で何事かやらかして居づらくなったクズ男と母は開拓村の人足を集めている話に乗り、この開拓村に来たそうだ。


クズ男は最初は人足として比較的まともに働いて居たが、根っからの小悪党根性が発動し、開拓村の女衆に手を出そうとした。そうして開拓村の旦那衆の怒りを買い、木こりとして働けないようボコボコにされて一生に残る傷を負わされた。


以来、クズ男は家に籠るしかなくなり、その鬱憤を晴らすように母や俺達子供に暴力を振るうようになった。



母は母でクズ男の妻で街で夜鷹をやっていたことがばれ、旦那衆からは色目で、女衆からは白い目でみられ村には居場所がなかった。


結果、母も家に籠るようになり、クズ男の暴力に晒されることになった。母はもう限界で最早まともに喋れることも出来ず、夜中には突然叫び出し、その度にクズ男に殴られるのか、俺達兄弟で宥めて寝かしつけるしかなかった。


残った俺達兄弟は自力で生き延びるしかなかった。


俺は兄に自分の正体を明かした。

自分には前世の記憶があり、大人として生きた知識があると。


兄はとうとう弟まで頭がおかしくなったのかと絶望の表情を浮かべたが、俺は気にせず、兄に数学を教えた。


基本となる足し算引き算に掛け算割り算の知識があるだけでもこの世界では掛け替えのない財産になるはずだ。


そして、兄に行商人の弟子になるように言い、俺は猟師の弟子になるべく行動を開始した。


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