(完結)
フィナーレです!
最後までお楽しみください^_^
三つの贈り物が全て揃い、ミチと父はそれらにまつわる「ことば」を織り込みながら、二人の結婚記念日を祝う美しい詩を綴ります。
その詩は、実にすらすらと出てきました。
女王からの思いもじっくり聞いているし、みんなで苦労して拵えた品々です。
ミチたちの思いもたくさん詰まっていたので、いきいきとしたことばがどんどん飛び出してきました。
女王からは、「愛の詩も作ってほしい」との要望がありました。
ミチと父は、贈り物を詠った詩と併せて、全部で5つの詩を綴りました。
大工と紙漉師たちが協力し、作り上げた立派な額縁と上等な紙に、美術師たちが意匠をほどこした文字で詩を記します。
こうして詩は素晴らしい美術品に姿を変え、王に贈られました。
「さすが私ね。素晴らしいものを心に思い浮かべたものだわ!」
召使いたち全員に、女王から美味しい食事が振る舞われました。
さらに金貨5枚と、リボンの掛かった箱が配られました。
箱の中には、5つのマカロンが入っていました。
色も味もそれぞれに違い、目にも口にも嬉しい心遣いがありました。
女王と王は、『キラキラ星の瓶詰』の前に豪奢な藤椅子を並べて、瞬くミソサザイたちを眺めながら、久しぶりの逢瀬を満喫しました。
夫婦の仲睦まじい姿に、召使いたちも心が和みます。
二人が並んでいるようすはめったに見られるものではありません。
顔をあげてまじまじと見ることはできませんが、遠くから離れたところにテントを張り、召使いたちは召使いで宴を楽しみつつ、遠巻きに二人が喜んでいる姿を眺めました。
王からも女王に贈り物がありました。
実は、お城の敷地の中に建造された珊瑚細工の離れがそれだったのです。
みんな、新しい建物を造っているのには気付いていました。
しかし、まさかそれが結婚記念日の贈り物だとは思いもよりませんでした。
「てっきり、新しい神殿を建造しているのだと思っていたわ。まさか私への贈り物だなんて!」
「たまには離れで過ごすとよい。テラスから見えるバラ園の眺めが素晴らしいよ。
女王からの贈り物も、素晴らしいものばかりだった。これからも仲睦まじく過ごそう。
王国に栄えあれ」
「栄えあれ、永久に」
国王と女王が葡萄酒の入ったグラスを掲げ、召使いたちもこのときばかりは歓声をあげました。
城の外からもどよめきと拍手が割れるような音で聞こえます。
お城の塀の内側で結婚記念日の宴が催されていることは、国民たちも知っているのです。
◇
葡萄酒を嗜むミチに、父が言いました。
「おいミチ、あまり飲み過ぎるなよ。私たちには、もうひとつ最後の大事な仕事がある。忘れるな」
「わかっていますよ、父さん。
今日の風景や空気、みんなの言祝ぎの歓声を、目にも耳にも焼きつけておきます。
そして、臨場感たっぷりの『ことば』で詩を綴るんだ」
そう、今日というこの日の「ことば使い」たちの大切な最後の仕事とは、詩を綴ることなのです。
この国の国民たちに、王国や王族の素晴らしさを末代まで伝えていくこと。
美術師は、絵画や意匠で。
音楽師は、歌や楽器で。それぞれがそれぞれの能力を発揮する役割があるのです。
ミチは誇らしい気分になりました。そして、誓いました。
——僕は、いい詩を書こう。
——この王国に、この先何十年も、何百年も、何千年も、とこしえに語り継がれる美しい詩を。
【完】
お読みくださり、ありがとうございました♪




