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おまたせしました!
まず一つ目の『キラキラ星の瓶詰』に挑戦です。
大工がながいながいはしごを拵え、それを庭に垂直に立てました。
足下は、屈強な家来たちが支えています。
そして夜更けを見計らい、曲芸師がはしごをするする昇っていきました。
しかし、一番上に立って両手を振っても逆立ちしても、星にはちっとも手が届きません。
——星の砂で代用しては?
——乾燥させたヒトデに、銀紙を巻いてはどうか?
——コンペイ糖が、お星様に似ているような。
みんな空のお星様を捕まえることは不可能だと諦め、替わりになる品のアイデアを出し合いました。
「コンペイ糖といえば……」
コックが手を上げます。
「ちょうど私は、『内側から発光する砂糖』を開発していたんです。
いえね、もともとは美容を気にする女王さまのために、カロリーゼロの砂糖を作ろうとしてたんだけど。
自ら光ることによって電力を消費し、カロリーがなくなるという原理なんです。
でも、女王さまのお腹の中で光りだしては大変だから、お蔵入りにさせていました。
その砂糖でコンペイ糖を作ってみたら、『キラキラ星』に見えないでしょうか」
みんなそれに賛成しました。
そこで、次の日の朝、コックに『内側から発光する砂糖』でコンペイ糖を作ってもらいました。
「たしかに、見事に光っていますね!」
ミチは驚きました。朝で明るい庭でも、コンペイ糖はこうこうと内側から強い光を放っています。
しかし、粒の小ささが気になります。
小瓶をいっぱいにするのがやっとで、王様に贈るには貧相に見えました。
それに宙に浮いていないから、お星さまらしくありません。
「コンペイ糖の粒を大きくするのは、非常に難しいんです。コンペイ糖の本場『ワガシ・ヤ』でも苦労しているくらいですから」
コックが困り顔で言います。
すると猟師が言いました。
「そうだ! これを食べるとお腹の内側から発光するんだろう?」
「その通りです。カロリーがゼロになるまでは光っています」
「私にいいアイデアがある!」
みんなは猟師の話に耳を傾けました。
「今までの話の中で一番可能性がある!」
みんなはその気になり、早速試してみることになりました。
◇
猟師のアイデアをもとにした『キラキラ星の瓶詰』は、三日後に完成しました。
それはこんな手順で作られました。
まずガラス職人たちが、巨大なガラスケースを作ります。
これだけの大きさのガラス板を製造する設備がこの王国にはなく、隣国のガラス工房から仕入れ、溶接のみをここで行いました。
それにしたって、高度な技術が必要です。
同じ頃、猟師たちと庭師たちは森へと出かけました。
猟師たちはミソサザイの捕獲、庭師たちは木々や草の採取をするためです。
庭師たちは、木や草を根っこごと掘り出して持ち帰りました。
それらをガラスケースの中に植え、小さな森を再現します。それから猟師たちが捕まえてきたミソサザイを、ガラスケースの森に放しました。
ミソサザイは三十羽近くいました。
ミソサザイは森をのびのびと飛び回り、餌を啄みます。
その餌は、なんとあの『内側から発光する砂糖』を原料にしたコンペイ糖でした。
コンペイ糖の小さな粒は、ミソサザイの小さな嘴にちょうどいいサイズだったのです。
輝く小鳥たちが、楽しそうに囀りながら、枝から枝へと渡っていきます。
午後の太陽の下でも、ミソサザイたちの小さな身体が内側から輝くのがわかりました。
彼らが飛び回る軌道には光の残像が生まれ、小さな森の中にキラキラ輝く帯を描いていました。
昼間でこの調子なら、夜はもっと美しいでしょう。
「コンペイ糖は、朝と夕方に与える必要がある。消化が終わると、光が消えてしまうからね」
コックは、『内側から発光する砂糖』に有効な使い道ができて誇らしげでした。
これからは毎日コンペイ糖を作る必要があるので、『内側から発光する砂糖』を効率よく精製する研究をしなければいけない、と嬉しそうに言いました。
一つ目の贈り物の完成に、みんなは胸を撫で下ろしました。
コックがマドレーヌを焼いてきてくれました。
召使いたちは、めいめい紅茶やグリーンティーを淹れて、ほっと一息つきました。
続きます〜




