婚約破棄前夜
今回は婚約破棄前夜の話です。
セカン以外の攻略対象者はピンクに誘惑されなかったが、セカンだけはゲームの強制力なのか、すっかり骨抜き状態になっていた。
「私はセカン殿下には付いていけない」
「俺も限界だ」
「僕も同感」
側近候補達はセカンを見限る事にした。
皇子としての責務を果たさない。
人に仕事を押し付ける。
女癖が悪すぎる。
色々な理由がある。
「話は聞かせてもらったよ」
「サド殿下」
「どうしてこんな酒場に居るんです」
「此処は皇族の御方が来る場所ではありません」
三人は不敬罪に問われると思い、顔色が真っ青になった。
「安心したまえ。不敬罪に問うなんて、野暮な事は言わないよ。それよりも提案があるんだ。君達、兄上の側近候補を辞めて、私の側近候補にならないか」
「「「なります」」」
三人は即答した。
「私はセカン殿下の専属侍女を辞める」
「私も辞める」
「私もセクハラに耐えられないから辞めるわ」
「私も同感よ」
セカンは彼女達にセクハラを繰り返していた。
「話は聞かせてもらいました」
「「「「ファス殿下」」」」
彼女達は話を聞かれて、真っ青になった。
「安心しなさい。不敬罪には問いません。貴女達、愚弟の専属侍女を辞めて、私の専属侍女になりなさい」
「なります、ファス殿下の専属侍女にして下さい」
彼女達も即答した。
どうやら馬鹿皇子はロネヴィア様との婚約破棄を企ているようだ。
しかも冤罪を着せて、国外追放させようとしている。
すっかり同人誌に影響されたみたいだ。
三人の側近候補達からの情報なので、内容に間違いはない。
彼等はセカンを見限り、側近候補を辞めて、サド皇子の側近候補になっている。
専属侍女達も彼等に呼応して、セカンの専属侍女を辞めて、ファス皇女の専属侍女になっている。
最早セカンの回りにはピンクしか残っていない。
絶対に赦せない。
必ず断罪してやる。
モモカは完全に激怒していた。
「セカン殿下がロネヴィア様との婚約を破棄をしようとしています」
「モモカ、お前でも冗談を言うのだな」
「冗談ではありません」
「いくらセカンでもそんな愚行は犯さないだろう」
その事を皇帝に報告したのだが、全く信じなかったので、モモカは多少ムカついた。
「それならセカン殿下が婚約破棄をするか、しないか賭けをしませんか」
意趣返しとして賭けを持ち掛けた。
「賭けだと。面白い」
「賭けの報酬はセカン殿下の皇籍剥奪です」
「皇籍剥奪だと。それは駄目だ」
「陛下の報酬は精力剤と増毛剤一年分です」
「・・・・良かろう」
「それでは賭けは成立ですね」
皇帝はあっさりと了承してしまい、賭けは成立した。
次回は婚約破棄の話の予定です。