ヒロインはどっちだ
今回は侯爵家令嬢の話です。
「私はテンセ侯爵家長女ベニカです。ラバン公爵家令嬢のロネヴィア様、シャド辺境伯家令嬢のモモカ様ですね。会話中失礼します」
思いきって二人に接触する事にした。
「モモカ様、どうしてセカン殿下の後を付けていたのですか」
「実は私がモモカ様にセカン殿下の監視を依頼したのです」
ストレートに尋ねたら、ロネヴィア様が素直に話してくれた。
要するにセカン殿下が浮気するかもしれないと、心配したロネヴィア様がセカン皇子を監視して欲しいと、モモカ様に依頼したらしい。
これでピンク様がヒロインだと確定した。
失敗した。
まさかベニカ様に後を付けられていたなんて、影として失格だ。
モモカは落ち込んでしまった。
実はベニカは転生の際に隠密というスキルを授かっていたので、モモカに気付かれずに後を付けられたのだった。
「ボツラ男爵家のピンク様がセカン殿下を誘惑しています。セカン殿下とピンク様の接触を阻止したいので、協力して下さい」
ベニカは友人のアオイ、アカネ、ミドリに協力を依頼した。
アオイは伯爵家令嬢で宰相子息ワンの婚約者。
アカネは子爵家令嬢で騎士団長子息ツウの婚約者。
ミドリは男爵家令嬢で神官長子息スリイの婚約者。
つまり三人は側近候補達の婚約者だ。
「分かりました」
「お任せ下さい」
「頑張ります」
三人は快く引き受けてくれた。
「取り敢えずピンク様と仲良くする振りをして、セカン殿下達との接触を然り気無く妨害します」
「私はテンセ侯爵家長女ベニカです。ボツラ男爵家令嬢のピンク様ですね。昼食を御一緒に食べませんか」
「私はブルー伯爵家次女アオイです」
「私はレッド子爵家三女アカネです」
「私はグリーン男爵家四女ミドリです」
「ボツラ男爵家長女ピンクです。折角の御誘いですが、セカン殿下達と約束していますので」
「「「「私達も御一緒させて下さい」」」」
四人は強引に付いていった。
冗談じゃないわ。
四人の令嬢達が馴れ馴れしく接触してきて、セカン皇子達との逢瀬を妨害してくる。
このままではハーレムルートが破綻してしまうじゃない。
接触を拒否しようにも相手は侯爵家令嬢のベニカ、伯爵家令嬢のアオイ、子爵家令嬢のアカネ、男爵家令嬢のミドリ、私より格上か同格の令嬢ばかりで、完全に打つ手無し状態だ。
次回は未定です。