侯爵家令嬢ベニカ
今回は転生者ベニカの話です。
私はテンセ侯爵家長女ベニカ。
皇立高等学園への入学直前に前世の記憶が甦った。
この世界は乙女ゲーに似ている世界だった。
確か桃色髪のヒロインがセカン皇子や側近候補達を誘惑して、ハーレムを築く内容だった。
その為に国内が混乱していまい、国力が衰えてしまうのだった。
その結末を阻止したいが、何故かヒロインは名前が設定されていなかった。
仕方なく桃色髪の新入生を探したが、何故か二人も居た。
一人はシャド辺境伯家令嬢のモモカ様。
もう一人はボツラ男爵家令嬢のピンク様。
どちらがヒロインなのかと監視していたら、モモカ様がセカン皇子の後を付けている。
これはモモカ様がヒロイン確定かな。
私も急いで後を付けたが、何故か接触せずに、単に監視しているだけだった。
???
どうして接触しないで、監視だけなんだろう。
暫くモモカ様だけを監視していたら、眼を離した隙にピンク様がセカン皇子に接触していて、既に親密になっていた。
ますます判断出来なくなってしまった。
セカン殿下が男爵家令嬢と仲良くしていました」
結局ロネヴィア様に報告する事にした。
「・・・・そうですか」
ロネヴィア様が悲しそうに俯いてしまった。
「ロネヴィア様、元気を出して下さい」
「モモカ様、私を慰めて」
ロネヴィアはモモカに抱き付いてきた。
「ロネヴィア様、私で宜しければ、いつでも胸をお貸しします」
「ありがとうございます」
ロネヴィア様が私に礼を言ってきた。
馬鹿皇子、絶対に赦さん。
モモカは物凄く激昂した。
しかしロネヴィアの眼が獲物を狙う猛獣のようになっていたのをモモカは気付かなかった。
モモカ様を監視していると、何故かセカン皇子の婚約者のロネヴィア様と密談している。
それどころか抱き合っている。
二人はかなり親密なようだった。
確かロネヴィア様は悪役令嬢の筈よね。
ヒロインと悪役令嬢が親密なんて、あり得るのだろうか。
完全に判断出来なくなってしまった。
次回はヒロイン確定の話です。