エマの場合その1
時系列は本編の24話の前くらいです。
「うむ!ならばっワタシが責任を持って、新しい魔王として務めを無事に果たさなければっ!!!」
そこで一旦、言葉を切り呼吸を一回すると瞼を落とす。手の平を胸の前に持って行くと左右に広げて、そこで目を開ける。
「「《《エマ・アイリィ・スカーレットが665代の権能を命ずるっ!!
この世に生きる全ての魔の者よ!魔王の名の元にっ恩恵をその身に受けよ!!!!》》」」
魔王足る由縁、魔王の権能が発動する。
それは世界を駆け巡り、世界を包みこむ。
力の残響が波のように世界に轟き渡るのを実感する。
それに伴って、自分の体に激しい脱力感が襲う。
依然としてリビングで話は続くが、意識を保つのに精一杯で会話は覚えていない。
それも限界が訪れて私は少しして瞳を閉じた。
気がついたら自室でベッドの中で深夜になっていた。
身体の調子はだいぶ良好に近い、しかし倦怠感は拭えない。
天井を仰ぎ、もう一眠りしようとした時だった。
入り口のドアからノックがする。
返事をする前にドアが開き、ララとソフィアが入ってくる。
「入るわよっ!起きてるのは知ってんだから!」
次女ララーシャは、まるで勝手知ったる自分の部屋の如く、タオルを出しては額に合ったタオルと交換し出す。
「果。物持っ。て来た。」
くし切りされたリンゴや梨が乗ったティーワゴンを引きながら、三女ソフィアも入って来た。
3人で果物や紅茶を楽しみ、姉妹だけの時間を過ごす。何やら久しぶりな気もする。
ワタシ達も魔王軍の一員として、それなりに忙しく働いていた。
ワタシは武官として戦場で指揮をしたり。
ララーシャは文官や広報で領内を行き来して。
ソフィアは持病はあるが、それでも魔道具開発をしていたためか、こんな優雅な一時は本当に久しぶりだ。
ワタシが、そんな想いに耽っているとララーシャが口を への字 にした後、顔をワタシに向け直して話しだした。
「やっぱり、身体は芳しくないみたいね」
「そうか?これでも昼間よりは、だいぶマシになった方だぞ!」
「それが問題なのよっ!!」
左右を確認してから、ララーシャは息を吐いてから、改めて話を切り出す。
「良い、よ~~く聞いて、これはとても大事なことよっ!!」
「う…うむ………覚悟しよう……………。」
おもわず、喉が鳴ってしまう。
「魔王の権能にエマ自身が呑み込まれてるのよっ!」
「え?」
「かなり。危険な。状態。、、、今の状。況は。続かない。」
「どうゆう事だ?」
「私たちはまだ、成長途中の子供よっ!!
そりゃ、端から見たら大人と同じくらいには見えても、成人もしてない年齢なの!!」
「つまり。魔王という。強力。過ぎる "権能" に。身体が。崩壊して。行ってる。」
「少しづつね、、アンタ死ぬのよっ!!
、、、いいの?」
「くっ……………うぅ…………………ぅん…………。」
「いいわけ無いでしょ!!!
「どうせ、パパに任されて嬉しくなって、舞い上がっちゃったんでしょ?認められて、私たちの姉である事に個室するアンタはっ!
自分の事は考えないんだからっっ!」
急に静寂が訪れる。
ララは肩で息をして、自分を落ち着かせようとしているようだ。
ソフィアはそんなララを見ているワタシを見ていた。
やがてララはワタシの両肩を掴むと一滴の涙を落とす。
「私たちは姉妹でしょ?三姉妹で三つ子なら、、、、、だったらワタシ達にも半分寄越しなさいよ、、、。
ツラいのも、痛いのも、苦労も、全部、ぜんぶぅ、三つ子の三姉妹なんだから3分の1に分け合うのは当然でしょ?!
違う??」
「何を言い出すんだ!?ララーシャ!!!」
「血の。繋がった。三つ子だか。らこそ。権能を。分担して。私たちで。魔王の役割。を担当すれ。ばいい。」
「、、、しかし、そんな、、そんな事、出来るわけ無いだろう?」
「バカねっ!ここに来る前に私とソフィアで話し合ってココに居るに決まってるでしょ!
準備してるに決まってるわ!!」
「しかしどうやって!」
「I.A.。」
ソフィアがイアの名前を呼ぶと頭に声が響く。
『お任せ下さい』
イアは彼が創ったという意志疎通の出来るスキルだ。彼の不思議な能力で生まれ、最近は魔王軍にも的確な助言をくれる。
なんでも彼も把握してない自分の事を教えてくれるとかっ。
「アイツは知らないけどね!」
ララーシャは悪戯が成功したように笑う。
イアはワタシ達とステータスを経由してスキルを掌握すると魔王の権能を操作していく。
「手を繋ぐわよっ!」
その声の後にララーシャが手を広げる。
「本当にいいのか?戻れないんだぞ?」
「ふん!今さらよ!早くしなさい!」
「怖じけ。付いても。いい。でも一緒に。」
見つめてくるソフィアの覚悟を知って、ワタシは恥ずかしくなる。妹達が覚悟をきめている、というのワタシは、、、、。
ベッドから手を出してソフィアの手を取る。
反対側をララーシャが取る。
3人が輪になる。
ワタシの魔力がララへ、ララからソフィアへ、
ワタシからソフィアへ、ソフィアからララへ、
それは3人を巡って混ざり溶けていく。
それに釣られるようにワタシの思考も廻って交ざって解けていく。
ワタシはワタシが思っているよりも未熟だったのだ。
精神的にも肉体的にも、それを教えてくれたのは妹達だった、ワタシは姉として、2人の家族としてしっかりあろうとしていた。
しかしそれに囚われ過ぎて、その2人に迷惑をかけてしまってしまったのかもしれない。
父の死の間際、家族を2人を頼まれた。
ワタシは願いを叶えようと魔王になると決めた。
しかし結果は失敗。心配させてしまった、ワタシは独り善がりだったのかもしれない。
でも今なら、3人なら出来る気がする。
1人の想いよりも3人の想いの方が強く、頑丈だ。
ワタシ1人でやろうとして出来なかった。
でも3人の姉妹が揃えば、、、、。
父の想いは分からない、だが、これが正解だったような気がする。
力を合わせれば、苦悩も希望も一緒に乗り越えられる。
一緒に協力して共有する。
魂で繋がるのは絆!
絆で結ぶのは魂!
ワタシ達、三姉妹はもう、挫けない。私は泣きながら、亡くなった父に誓った。
真の意味でやっと魔王になったワタシは、ワタシたちは実感する。
ここからは父と母も通って居ない道になるだろう。
それをワタシたちは進んで行く、行なければならない、そう決めた。
そしてその道の続きには彼が待っている事だろう。
魂と、繋がった絆でワタシたち姉妹はそれを感じて、、、、。
ふと、部屋の左側を見ていた。
目と目が交差して緊張が消えて笑い合う、ワタシたちは他愛ない話をして誰かが眠くなるまで夜は過ぎていった。
2022年9/6に完結仕様に変更しました。
続きは本編に投稿する事になります。
それに伴い加筆をした全3話を本編に順次載せていきます。
なんか~消し方、分からないのでそのままにしときますね(ノ゜ー゜)ノ