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8.友達の距離

午後からいきなり早退した私を心配したソフィが授業を終えて直ぐに、部屋に訪ねて来た。


「体調が悪くなって早退したって聞いたけど、大丈夫?」

「うん、大丈夫。ありがとう」

今まで暗い気持ちでいたのに、心配して来てくれたソフィを見てなんだか嬉しくなって、抱きついた。


前世を思い出してからずっとレティシアが断罪されないように一人でなんとかしないとって頑張ってきたけど、ソフィの温かい体温を感じて、すごく温かい気持ちになった。


頼っていいんだよね。


そして、ソフィに相談する事に決めた。

「ちょっと相談したいんだけど…」


ソフィに噴水でのことを話すと

「レティにそんなことするなんて!」

教科書を破かれた時と同じように、いや、それ以上にプンプンと怒っている。

嬉しくなって、ニマニマしながら見てると

「レティ、今度は黙ってやり過ごしちゃ駄目だからね!ちゃんと犯人を見つけてガツンと言ってやらないと!」

「うん、ありがとう、ソフィ」

私に任せてって言うソフィに甘えて、後のことはソフィに任せることにした。


友達ってありがたい!




あれから、ソフィは何も言わないからどう解決したのか分からないけど、嫌がらせは無くなり、のんびり過ごしている。

人の噂も七十五日、一ヶ月もすればみんな忘れてくれたようで、視線も感じなくなった。


一週間後から定期試験が始まる。

魔法に関する知識の他にも、一般教養もある。

魔法学院を出た後は王城に勤める人もいるし、家督を継ぐ人もいる。

一般教養は何をするにしても必要と言うことで、魔法学院でも学ばなくてはならない。


「レティ、この問題はどうやって解くの?」

今日は放課後に図書館の自習スペースでソフィたちとお勉強会をしている。

私はずっと真面目に勉強してきているので、割と優等生だ。

だから、ソフィに勉強を教えて欲しいと言われたのだ。


「レティ、俺にも教えてくれ」

ジェフは悲壮な顔をしている。

すると

「ジェフはマシュー様とかクロード様に教えて貰えばいいじゃない」

ソフィは邪魔するなとばかりに牽制をする。

「あいつら、教えるのが壊滅的に下手なんだよー」

頭のいい人は自分はスラスラ解るから案外そんなものかもしれない。

因みにアルバートは政務があってここにはいない。

そうやって、政務に時間が取られていても成績が維持できるのは、本当に凄いと思う。


ジェフには日頃お世話になっているし、頼られるのは嬉しいので、教えようとすると

「俺が教えてやるよ」

横からライガが教科書を奪った。

「え〜、レティの方が優しく教えてくれるのに」

文句を言いつつ、二人で隣の机に移って行った。


「ジェフは来年もアルバート様と同じクラスにならないといけないから必死ね」

ソフィが肩をすくめた。


あれから、ライガとの距離がちょっと遠くなったような気がする。

普通に友達の距離なんだろうけど、なんだか線を引かれたようで、ちょっと寂しい。


ライガは何も悪くない。

私が居心地悪い思いをしていたのを察知していたからのことだと思う。

そう思おうとしているんだけど、もしかしたら、嫌われてしまったんじゃないかと思うと、すごく胸が痛い。


「気になる?」

私の視線の先を追ったソフィがニヤニヤしながら突いてきた。

「なんのこと?」

ライガのことだと分かったけど、あんまり突っ込まれたくなくてとりあえず、惚けてみる。


ふふっと笑うと

「素直じゃないのね」

再びノートに目を落としたので、何か言おうとしたのに、何も言えなくなってしまった。


兎に角、勉強しよう!


余計なことを考えないように、せっせとノートにペンを走らせた。

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