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転生悪役令嬢ですが、私が好きになったのはモブのようです  作者: 桃田みかん


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32/42

31.ライガ

あの日から、私たちは付き合い始めた。

と言っても、今までとほとんど変わることはなかったけど。

清いお付き合いだ。


ライガはなんだか忙しいらしく、夏休みもほとんど会えず、デートらしいデートも数えるくらいしかしていない。


ライガは優しいけど、ちょっと寂しい。


今日は久しぶりにカフェでデートだ。

楽しいんだけど、気になって仕方がないことがある。

サリーナのことだ。

訊いてもいいよね?

嫉妬深い女だなとか思われたらってずっと訊けなかった。


あれからも時々サリーナと話す様子を見ていてどうしても気になっていた。

二人の様子はそんな甘い雰囲気はなかったけれど、何を話しているのか…

もし、二股なんてことがあったら確実に悪役令嬢レティシア出現だ。


「サリーナさんとはいつも何を話してるの?」

思い切って、清水の舞台から飛び降りる気持ちで訊いてみた。


ライガはそんなことを訊かれると思ってなかったらしく、目を瞬かせた。

「え?あぁ、サリーナ嬢?」

驚いた顔は、次第ににやにやしだした。

「気になるの?それは妬いてくれたってことかな?」

真剣に悩んでたのに!

ムッとしていると、慌てて説明してくれた。


「アルバート殿下からの依頼なんだよ」

思ってもいなかった名前が出てきて、今度はこちらが目を瞬かせる。

「アルバート様?どういうこと?」

「まぁ、もう目鼻もついたし、レティは当事者だから、いいかな」

「前に階段から突き落とされたことがあっただろう」

そう言えばそんなこともあったな。

「ずっと調べてたんだよ。犯人とそれを指示している黒幕の証拠集めをしてたんだ。サリーナ嬢は協力者だよ」

「どうしてまたライガが?」

「殿下とサリーナ嬢が喋ってると目立つだろ?俺とサリーナ嬢なら普通に友達って立ち位置で話せるから、殿下との繋ぎ役だよ」

「なるほど…」

ってなんで、アルバートがライガに頼むの⁉︎

「卒業後は王宮に勤めるつもりなんだ」

話がどんどん思ってもいない方向へ進んでいって、何度も目を瞬かせる。

「殿下の側近ということで」

「へ⁉︎」

あまりにも予想外で令嬢らしからぬ声をあげてしまった。


ライガは確か男爵家の三男だったはず。

爵位的に側近にはなれないはずだ。

頭の中は?マークだらけだ。

「俺の父はシーナルド侯爵の次男なんだ」

シーナルド侯爵家は魔法と剣を扱う魔法剣士の家系だ。

その属性は氷⁉︎

「えっと…どういうこと?」

「伯父の一家が二年前に事故で亡くなったんだ。跡継ぎのいなくなったシーナルド家が親戚筋から養子を取ることになって、俺が養子に入ることになった」

「前から決まってたの?」

「いや、侯爵家に入ったら、今までみたいな自由は無くなるからちょっと迷ってたんだけど、レティに会ったから」

ライガが私の手を取った。

「レティの隣に立つ為には爵位が必要だから」

「私のため?」

「レティはあんまり考えてなさそうだったけど、男爵家の三男じゃご両親に認めてもらえないだろ」

ライガはちゃんと先のことを考えてくれていたんだ。

そのことが嬉しくて、涙が滲んでくる。

「ありがとう。でも、私はライガがいてくれれば、市井でも国外でもいいんだよ。公爵家を出てもやっていけるように今まで頑張ってきたんだから」

それを聞いたライガはハハハと笑った。

「そんなこと、みんなさせるわけないだろ」



「それで、明日の朝、いつもの場所で待ってるから来て」

何も考えず頷いたが、いつもの場所?


朝でいつもの場所といえば、学校の庭園?

なんで?




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