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2.入学式

続々と入学式が行われる講堂に生徒が入っていく。


人の流れにのって私も講堂に入った。


攻略対象者はいるのだろうか。

席に着いて、辺りを見渡すと、いた!いましたよ!


茶色の髪に薄灰色の目のメガネ男子、宰相の息子のクロード・リスリー。

やっぱり、攻略対象者だけあって、ちょっと神経質そうだけど、端正な顔立ちだ。


目立つ赤い髪に黒い目のがっちりした騎士団長の息子のジェフリー・マルライド。

短髪でキリッとしている。


濃紺の髪に黒い目の魔術師長の息子のマシュー・カーナード。

ちょっと気怠そうな色気のあるタイプの男の子。


アルバートといい、やっぱり人目を引くかっこいい男の子たちだ。

令嬢たちも思いは一緒らしく、みんなチラチラと彼らを見ている。


私は出来るだけ関わらない様にしよう!

嫌われて断罪されたら困るからね!


ヒロインは何処に…


ひっ!


よく見たら、すぐ近くにいる!

ピンクブロンドの髪に水色の瞳。

可愛らしく華奢な容姿のユリア・シンドリー。


もうアルバートとの出会いイベントは終わったのかしら?

確か、遅刻しそうになって急いでいる時、アルバートとぶつかってしまうっていう、ちょっと笑える程ベタなイベントだ。


絶対、近寄らない様にしよう!


学院長の話の後、新入生代表のアルバートの話があって、入学式が終わった。



後はクラスに分かれて教室に入る。


私はSクラス

優秀な人が集まるクラスだ。

当然、アルバートたち攻略対象者は同じクラス。

珍しい光魔法が使えるユリアも残念ながら同じクラスだ。



私はなるべく、攻略対象者やその関係者に会いたくないので、全くと言っていいほど社交を行っていなかった。


なので、友達と呼べる知り合いがいない。


不安だけど、仕方ない。

指定された席に着いて、大人しく先生を待つ。



何故?

私の席は窓際から2列目の1番後ろ。

隣はジェフリー。その前にアルバート。

私の前でアルバートの隣にはクロード。

アルバートの反対隣がマシュー。


なんで、こんなに近くに攻略対象者が固まってるの⁉︎


彼らはアルバートの側近候補だから、アルバートの席の近くに配置されてるんだろうけど、それが何故、私の近くなのだ⁉︎


近くの席の人とまず仲良くなろうと思ってたのに。

誰と喋ればいいのだ⁉︎


あとは窓際の隣の人。

チラリと見ると、かっこいい男の子だった。


サラサラの銀髪に濃紺のキリッとした目。

鼻筋が通っていて、ちょっと浅黒い肌。


え?彼は攻略対象者じゃないよね?

モブでこんなにかっこいいなんてことあるのかな⁉︎

ゲームでは見たことないはずだ。



先生が入って来て、学院生活とこれからの予定を説明した。


それから、自己紹介をするように言われて、窓際の1番前から順番に名前を言っていく。


隣のかっこいい彼は、ライガ・サペストリート。

男爵家の三男だった。


ゲームの攻略対象者はみんな王族や高位貴族だったから、彼は攻略対象者じゃないのかもな、と1人納得していると、いつの間にやら自分の番がきていた。


「レティシア・マガンスターです。よろしくお願いします」

一瞬、シーンと静まりかえる教室。

え?何か間違った?


次の瞬間にはザワザワし出す。


どうやら、膝丈スカートを履いた地味な私が公爵令嬢だったのが驚きだったようだ。

地味な私のことは放っておいてほしい。



さすが王太子アルバートをはじめ、攻略対象者たちはキラキラしていて、令嬢達がうっとりとしていた。


もっと遠くから見ていたかった…


ヒロインのユリアはかわいいし、庇護欲を擽る華奢な体躯だけど、案外普通だった。


近づかないけどね!



自己紹介が終わると、後は解散となった。


やれやれだ。

取り敢えず、1日を無事終えることができた。


そう思って、寮に向かって歩いていると声を掛けられた。

「レティシア様」


振り返ると、同じクラスの侯爵令嬢のイザベラ・コートが取り巻きらしき令嬢を3人引き連れていた。


イザベラは派手目な化粧をした美人だけど、私同様ちょっと悪役令嬢顔だ。


「イザベラ様、何か?」


早く寮に戻ってお昼ご飯が食べたいから、用件は早く済ませてほしい。

大体、公爵令嬢であるわたしの方が身分は上なんだから、上から目線で呼びつけないでほしい。

学院の中では平等だって言っても、本当の意味で完全には平等ではない。

卒業後はその身分制度にどっぷり浸かるって分かってるから、みんなそれなりに弁えている。


「レティシア様はなんでそんな短い丈のスカートを履いているのですか。公爵令嬢として恥ずかしくないのですか」


イザベラは私のスカート丈が気に入らないらしい。


「あなたには関係ないんではなくって?」

面倒くさいので、下手に出ることはしない。

こういう手合いは隙を見せると付け上がる。

イザベラは多分、私を地味で大人しい女だと思っているのだろう。

ゲーム関係者には気をつけるけど、イザベラは見たことがない。

大丈夫、モブだ。


「足を見せるなんてはしたないですわ」

イザベラの言葉に、取り巻きたちも頷いている。


「イザベラ様。これは制服なんですよ。スカート丈は好きに選んでいいはずです。私はこちらが動きやすくていいと思って選びました。これ以上、何か文句があるなら、学院長に仰ってください」

一歩も引かないとばかりにピシッと言うと、イザベラは言い負かされたせいか顔を真っ赤にして、逃げていった。


全く面倒くさい。

早く帰ってご飯食べよう。



寮に颯爽と帰って行くレティシアに多くの生徒が憧憬の目をむけていたのを本人は気づいていなかった。


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