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転生悪役令嬢ですが、私が好きになったのはモブのようです  作者: 桃田みかん


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17.カフェ

レティシアは所謂超お嬢様なので、必要とあればお店の方から屋敷に出向いてくれる。


なので、街を歩くことすらほとんどしたことがない。


カフェの場所を知っているソフィが前を歩き、その横にジェフが歩いている。


そのすぐ後ろをライガと共に歩きながら、串焼き屋さん、アクセサリー屋さん、本屋さん、雑貨屋さんなどなど街の活気溢れる様子にキョロキョロしていると、突然、横からグイッと腕を引かれた。

慌てて前を見ると、人にぶつかりそうになっていた。


「ちゃんと前を見ないと危ないぞ」

「ごっごめんなさい。ありがとう」

「迷子になる」

ライガが手を繋いできた。


え?子供扱い?


繋がれた先の横顔を見ると、微かに赤くなってる。


それを見たら、思いのほかゴツゴツした大きな男の人の手を意識して、こっちまで顔が熱くなってしまった。


なんだか恥ずかしくて、手を引かれたまま黙って歩いた。


若い女性客で賑わうカフェの前で立ち止まった。

「ここだよ」

ソフィが振り向いて、目の前のお店を指した。


振り向いたソフィとジェフの視線を感じて、慌てて手を離す。


「かわいいお店だね。楽しみだわ」

誤魔化すように早口で言った。


「そうね。入りましょう」

ソフィとジェフはそれ以上何も言わなかったけど、ちょっとニヤニヤしていた。



「チーズケーキも美味しいし、フルーツタルトもおすすめだよ」

ソフィのおすすめに従って、私とジェフがフルーツタルト、ソフィとライガがチーズケーキを注文した。


友達とお店で食べるスイーツは格別で、今まで食べた中で一番美味しい。


「フルーツもいっぱいのってて甘すぎないし、美味しい!」

うっとりしながら食べていると

「こっちもちょっと食べる?」

ソフィがチーズケーキのお皿を差し出した。


友達とスイーツをシェア!


「ありがとう!タルトも食べて」

嬉しくて、ニコニコしながら、自分のお皿をソフィに差し出し、交換して食べた。


「ふわふわして美味しい!」


今度来る時はこれを頼もうと思いつつ、噛み締めてふと顔を上げると、みんなが生温かい目で見ていることに気づいた。


ちょっとはしゃぎ過ぎた?

恥ずかしい…


「また食べに来ようね」

ソフィが笑って言ってくれた。


ありがとう、ソフィ。




魔物討伐訓練ではそれぞれ役割が割り振られる。

魔法の属性によってできることが違うからだ。

攻撃か補助か。

アルバートやジェフやライガは攻撃中心だし、私やソフィはその補助だ。

ヒロイン、ユリアは光魔法で怪我を癒せるので、後方となる。


このチームのリーダーは、当然の如くアルバートだ。

魔法の腕だけで言えば、マシューの方が上だと思うけど、そこはそれ、王子様だからね。


ちなみにマシューは炎と風と珍しい闇属性の魔法を扱える。さすが、魔法師長の嫡男だ。


そして、宰相の嫡男のクロードは土属性の使い手だ。


魔物討伐訓練の練習を始めてから知ったんだけど、アルバートとジェフとライガは魔法と剣を組み合わせて扱える魔法剣士だった。


このチームは王太子のアルバートがいるし、腕が立つメンバーが揃えられているようだ。


万が一に備えて、当日には騎士団長も来るらしい。

アルバートには護衛もついているし、本来ならそれほど危険ではないはず。


ゲームのイベントのように、怪我人が出ないことを祈りたい。

ユリアにとっては、活躍の場がなくなってしまうけれど…


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