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残念な子は救えない

ヒロインって私の中ではどうしてもこんな感じになっちゃう。

「なんで、なんでみんな私に惚れないのよ。ゲームじゃ、逆ハーなんてチョロかったのに」


レイチェルが誰もいない寮の部屋で1人、喚いていた。

成績が最下位の為6人部屋になったが、今、彼女は6人部屋を1人で使っている。

元々、女子生徒は少ないが、下位の成績を取った生徒達が彼女と同室になる事を必死に拒んだ為の措置であるが、彼女はまるで気が付いていなかった。

確かにゲームの中ではヒロインは選択肢さえ間違えなければ黙っていても攻略対象達や生徒達から大切にされ、悪役令嬢の妨害から守ってもらえていた。

それなのに今は誰一人自分の側に居ない。

しかも最初の試験で上位5番まで入れば生徒会に補佐として入れ、そこから攻略対象から溺愛されると信じていたのに、成績表には自分の名前が無かった。


「どうしてよ。試験なんか、あのちょび髭の親父には名前さえ書けばいいって言われてたのに」


レイチェルはアカデミーの前理事長が、不正が発覚した為、追放された事実を入学しても知らなかった。


「でも、私はこのゲームのヒロインなんだから、あんなモブな女なんか忘れて、みんな私を溺愛するはずよ」


入学手続きの日に見た、瑠璃色の髪の美女。

ゲームに居なかったけど、あれはモブだから関係ない、と無理矢理思い込み、兎に角明日からは攻略対象達に猛アピールすれば、ゲームの補正力でなんとかなる、と思う事にした。

ただ、不安なのはパソコンが使えなくなった事。

攻略サイトが見れないし、気に入らない流れだったらリセットすれば良い、と言う事が出来なくなった。


「このゲーム、やり込んでないからちょっと不安だけど、キャラはイケメンばっかだから溺愛されまくりたいのよねー」


妄想ばかり先走って、ニタニタしている姿ははっきり言って気持ち悪い。

彼女はネットで話題になっていた『男爵令嬢の恋愛日記』をプレイした事があった。

ただ、残念なプレイヤーで隅から隅まで遊ぶタイプでは無く、美味しい所だけをつまみ食いするタイプで、このゲームも攻略サイトを利用して速攻逆ハーENDを見て、ハードモードをクリアすると解除される特別ルートをさっさと見たいだけで始めた。

ようは、このゲームの基礎知識もキャラ達の設定もほとんど頭の中には無い。

それなのに、ヒロインだからキャラ達に溺愛されるのが当たり前だと信じている。

ゲームであれば補正機能などが発動したかもしれないが、現実は甘くない。

なんの対策もしないで突撃すれば玉砕は当然の事だが、その事に気がついてもいない。


「こんな扱いをされるのも、全部悪役令嬢のソフィアの所為だから、王子達に泣きつけばいい断罪ネタになるはずね」


傲慢な性格の為、同級生達から嫌われている事も勉強に真剣に取り組んでいないから成績が最下位なのも全てソフィアの所為にした。

残念すぎるキャラになってしまった。

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