怖い人達ばかりです。
やっとこ続きが書き切れた。
「宰相令息、疲れた顔してたな」
ディーンが横目でファビアンを見送った。
そりゃそうでしょう。宰相サイドが掴めなかった事をアカデミーに居る自分達が知っているんだから。
まるで安楽椅子探偵みたいですよね。
「これでベイレーンの野望も泡と消えた、という事です」
私が結論を出すとソフィア様も頷いた。
「そうね。後は外交でどうにかして貰うだけですもの」
「呆気ないな」
デュラン様の残念そうな意見は聞かなかった事にして、最後の問題はあのピンク頭の対処法だけだ。
「父親は国家反逆罪で終身刑確定ですが、娘の方は如何するべきなのでしょう」
鬱陶しいが実害はまだ無い。
「放っておけばいい」
ロデリックが投げやりに言う。
「そうも行きません。ソフィア様に冤罪、吹っ掛けて来ますよ」
「アリッサにも嫌がらせをして来そうだしな」
「潰すか」
「穏便に。今はまだアカデミーの学生ですから」
アリッサとディーンやヴォルフの会話を聞いていたデュランが渋い顔をした。
「アカデミー内では学生の安全は最優先だから、罠を張るか」
「ボロを出させて退学させれば、犯罪者の娘を擁護する者は居ないですね」
デュラン様とライル先生の口調から、これは確定事項の様ですね。
「放って置いても自滅しそうですが」
「暢気に自滅を待つのも面倒だしな」
ディーンの言葉にこの場に居る全員が頷く。
怖い存在ばかりですね。
「罠を張る、と仰ってますが、如何なさるつもりですか?」
「あのピンク頭の中には男の事しかないだろ。そっから突っつけばボロを出す筈だ」
何処をどうすればボロを出すのか今ひとつ解らないが、彼らの行動に口を出すのは辞めておこう。
邪魔したら行動が過激になりそうだし。
「では、そちらはお任せします」
私としては、ソフィア様に厄介事が降り掛からなければ気にしないので。
「アリッサからのお許しも出たから、本格的に罠を張るか」
「それよりディーン、仕事が入ってたのではないですか?」
やる気になっているディーンに水を差すのもなんだけど、仕事は大切ですよ。
「もう終わった。バリエール令息の情報を調べるつもりだった」
どうやらエナリソンの事を探るつもりだったらしい。
目星が付いたから、後は外交の専門家達に任せれば問題はない、と笑った。
「あのピンク頭は私達と面識がないですから、切っ掛けを作ろうとするでしょうから」
「そこを利用するか」
「ええ。後は出た所勝負で、対処は個人にお任せします」
ライル達の会話を聞いているとあまりにも曖昧だが、伏魔殿のような貴族社会で生きて来ている彼らならどのような事があっても、対処出来るだろう。
ああああ言って書いていたから随分時間が掛かってしまった。




