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ゲーム内容はハードです。

ちょっとだけゲーム設定を説明してみました。

「大丈夫です。俺達がいます」


ヴォルフがスッとアリッサの横に立った。

ソフィアが周りを見渡せば、アリッサの恋人達は静かに頷く。


「準備は万端。あのピンク頭の好きになんかさせない」

「ソフィア嬢。私達はこの一年を無駄にはしていませんよ」


ディーンやライルも不敵に笑う。


「ソフィア様、笑って下さい。貴女を泣かせたくてしているのではありません。それに、私、とても強いんですよ」


物理的な攻撃は、おそらく私には効かない。


「解りました。でも、どうしてそこまで出来るの?」

「私は口にした約束は守りたいのです。遠い昔、友にした約束を守れなかった事がありましたから」


仕方がなかったとは思うけど、同僚との約束を守れなかった事が、今でも心に引っ掛かっている。

ただ、俯くソフィアの様子が気になったアリッサは寮の部屋まで送って行った。


「ソフィア様、お気になさらないでください。前世の私はハードな最後でしたが、自分の最後を悔やんでません」

「ハード……あっ、思い出した」


俯いていたソフィアが顔を上げ、泣き腫らした目を丸くしている。


「どうなさいました?」

「前にどうしても思い出せない事、あったでしょ。あれ、思い出したの」

「良い事ですか?」

「良い事なのかは疑問だけど、ゲームの設定でハードモードっていうのがあって」


と、ゲームでの設定を一気に話し始めた。

色んなところで話が脱線して、一回では理解しきれないものもあったが、要約するとあのゲームには通常モードとハードモードがあり、通常モードで逆ハーENDを見るとハードモードで遊べるらしい。

従来の乙女ゲームならば、逆ハーENDは個別ルートを攻略してから開かれるルートだが、あのゲームに関しては最初から攻略出来る様になっている、とソフィアが言った。

しかし、そこには落とし穴があって、最初から逆ハーENDを見て、通常モードの個別のルートを攻略しないでハードモードをプレイすると攻略キャラの好感度がマイナスから始まり、選択を1つでも間違うとヒロインの最悪バッドエンドになるらしい。

しかも通常モードの個別ルートを1つでもクリアしてから逆ハーEND、もしくはその逆でもこのルートは開かれない、と言う念の入れよう。


「物凄くシビアな設定ですね」

「制作側はやっぱり、キャラを愛して欲しいから美味しい思いだけさせたく無いものよ」

「それと今の状況が酷似している、と」

「ええ、でも今の方がゲームよりヒロインにとっては最悪ね。誰一人彼女に同情してないもの」


確かに此処に居ないデュラン様も、ヒロインを踏み躙る気満々だもの。


「現実はゲームのようには行かない、と言う事ですね」

「ゲームの詳しい事は、私も全部知っている訳じゃ無いからこうだ、とは言えないけど現実の方が厳しいはずよ」


ならばあのピンク頭のヒロインの存在は警戒しなくても大丈夫そうだ。


「では、素朴な疑問なんですが、お聞きしても宜しいでしょうか?」

「知っている事なら大丈夫よ」

「何故、せっかく買ったゲームを遊び尽くさないで、駆け足でプレイするのですか?」

「ハードモードをクリアできると特別ルートが解除されて、よりディープなシナリオをプレイ出来るからかもね」

「勿体無いですね。前世の同僚でしたら隅の隅まで遊び倒すのに」

「同僚さんってそんなに乙女ゲーム、好きだったの?」

「ええ。給料のほとんどをゲームに注ぎ込んでましたから」


渡せなかったあのゲームも、きっと彼女なら隅の隅までやり込んだに違いない。


「もしかしたら、その同僚さんの意見があのゲームに反映されたのかも」


ソフィアの言葉にアリッサは首を傾げた。


「あのゲームを作る時、物凄いファンの方からの提案でハードモード絡みのざまぁENDが作られたのよ」


ソフィアが懐かしげに笑う。

ファン曰く、折角製作者達が時間と労力を掛けて作ったゲームを隅々まで遊ばないプレイヤーにぎゃふんと言わせたい、との事だ。


「彼女ならありえますね」

「ただ、これは製作者側が秘密にしていたから、知っている人は居ないはずだし、攻略サイトにも出てなかった筈よ」


まぁ、大体のプレイヤーはお気に入りのキャラが出来て、通常モードの個別ルートをプレイしてからハードモードにトライするものだから、このルートを見るのは中々居ないようだ。


「転移者のあいつが残念なプレイヤーだったら、この世界で辛い目に会うと思うけど、此処はゲームじゃないからどうにかなるはずね」


ソフィアがクスクスと笑えば、アリッサも笑いながら頷いた。


「ちゃんと現実を見て、努力すればそれなりの人生を歩む事は出来るでしょうね。人生はゲームじゃないのですから、バッドエンドでハイ終わり、にはならない筈です」


ソフィア様と話していて、レイチェルの事は絡まれたら対処すれば良い、と判断した。

自慢じゃないけど、護身術は身につけているから大抵の事はどうにか出来るだろう。

ソフィア様へ難癖を付けてきたら物理的に叩き潰せばいい。

アカデミー内でのソフィア様の評判はすこぶる良いから、言い掛かりを付けても信じる者はまず居ない。

一年掛けてこっちは準備して来たのだ、ぽっと出のお馬鹿さんの好きにはさせませんよ。

こんなプレイヤーって居るのかな?

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