そして夏休みは終わった。
今回は短めです。
デュラン・フォルスが不可解な感情を持て余している時、アリッサはお世話になった方々に別れの挨拶をしに、彼方此方を走り回っていた。
父様が、挨拶が終わったら一緒に帰ろう、と言ってくれたから、父様の退官時間まで回れる限り回るつもりだった。
まずはロデリック殿下の執務室に向かい、今日で行儀見習いが終わり、家に帰ると告げると労を労ってくれた。
本当にいい王子様になったもんだ。
次にメイド長のリリアさんがいるメイド達の詰所に行くと、残念がってくれた上、使っていたエプロンを餞別にくれた。
「いつでも戻ってらっしゃい。貴女なら大歓迎です」
厳しい所もあったけど、プロ意識の高い彼女達と仕事が出来て、本当にいい経験になった。
内務省のサシェ副長官様とは偶然、廊下で会ったのでご挨拶をしたら、卒業後は文官の試験を受け、自分の部署で働きたまえ、とお世辞混じりのお言葉を下さった。
そう言えば、バロース司法省長官様も同じ事を仰って下さったけど、進路はまだ決めて無いんで、有難いけど戸惑ってしまう。
あっちに挨拶し、こっちにお礼をしに行ってたらあっという間に時間になり、荷物を持って父様の執務室に行くとレノンとヴォルフが出迎えてくれた。
「お嬢様にはお礼の言葉だけでは足りないくらい御恩があります」
レノンが泣きながら礼を言うから慌ててしまったけど、父様とヴォルフが優しい目で見ていた。
「俺はまだ訓練があるが、新学期に会おう」
「ええ、また新学期に」
慌ただしかったけど、充実した夏休みだった。
後は宿題の論文さえ終われば、少なくなったけど休みを満喫出来るはず。
ヴォルフに手を振って王宮を後にした。
夏休みの課題も無事終わりました。




