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物事は動き出すまでが長いって事ですかね。

やっとこ物事が動き出しそうです。

ディーンとアリッサのやり取りにふっ、とデラローンが笑った。

紫紺の瞳にあった焦りや無力感が薄れ、柔らかな気配にアリッサは頷いた。


「司法省の副長官殿とは知り合いなのですか?」

「古い付き合いだ」


今まで他人に頼る事は怠慢だ、と思っていたデラローン先生からの依頼に、きっと副長官は驚いたに違いない。


「先生からの依頼に驚かれた事でも思い出したのですか?」

「良く分かったな。昨日、依頼をした時、彼は久しく見せていない、人間臭い顔をしていたのでな」


今の、余裕があるデラローン先生の態度を見たら更に副長官は驚くに違いない。


「もう少し揺さぶりを掛けたほうが効果的か」

「揺さぶりより、信頼している、と伝えた方が司法省の方々も動きやすいのではないでしょうか」


組織は大きくても働いているのは人間なのだから、信頼に応えたい、と思って働く方がモチベーションは上がるだろう。


「アリッサと話をしていると、色々な事がスッキリする」


デラローンがアリッサをゴードウィン嬢ではなく、アリッサと呼ぶのにディーンが素早く反応した。


「先生が特定の人物と親しくなると、煩い奴らが居るのでは?」

「アリッサだけでは目立つか。なら生徒会役員は全員、名前で呼ぶようにするか」

「素敵ですね。もっと親しくなれる気がします」


ソフィアが早速喜んだ。


「デラローン先生もライル先生、と呼んだ方がいいのですか?」


ロデリックも乗り気だ。


「ロデリック殿下とソフィア様は敬称を外さないで、あとは慣れたら、で如何ですか?」


マイル会長が決定事項のように提案するから、ディーン達は断る事が出来なかった。


うーん。ヴォルフやディーンは既に呼び捨てにしているからいいけど、デラローン先生を呼び捨て。かなりハードルが高いんだけど。 


「慣れるまで時間が掛かりますが」

「気にしないよ。アリッサはそう言ったことに慣れていない事は把握している」

「じゃあ、僕のこともランスと」

「先輩なのでランス先輩、と呼ばせて下さい」

「残念。でも、そう呼んでくれるならいいかな」


人の良さそうな笑顔だが、強かな一面もあるランスのささやかな主張が、何処か甘さを抱えているように感じた。

ライル先生に預けた事案は、本格的に動き出すにはまだ時間がかかる、と思われるので一旦棚上げになった。それにこれ以上は学生には、荷が重すぎるだろう。

でも、ライル先生の事だから、さらっと司法省の方々を丸め込んで事を進めるだろうし、ロデリック殿下もかなり前向きに対応しているから、思っている程時間は掛からないかも。

呼び捨てって、親密度が高くないと出来ないよね。

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