新世界の幕開け
新暦元年、何が起きたのか分からないが世界に人外種族と異能力が発現した。
それはあたし、冬月七香が一人暮らしをしてるアパートで目を覚ますと起きていた。
テレビをつけるとそのことで世界中がおかしくなってパニックになってることが報じられていた。
「マジですごくね?」
あたしはこんな壊れた理想郷を夢見ていた。
だから、世界が秩序ごと崩壊したことに歓喜して踊り始めてしまった。
『これが今の日本の現状ですが、学者も何が起きてるのか理解できず国会もパニックを起こしています。ですが、皆さん落ち着いて自分の状態を説明書で確認してください』
このアナウンサーの言葉を聞いてピタリと踊るのをやめた。
そして、しっかりと話を聞いてベッドのそばに落ちていた説明書を開いてみた。
「種族は人間で能力は反転か。便利そうだし強き者を潰してルールを作るのには最適かもね」
そう言うと漫画やアニメによくあるように真似して反転させてみた。
すると、ベッドが天井に張り付いた。時計が左右逆転の表示になった。消しゴムが消さずに黒く書けるようになった。
他にもあるが位置や性質も反対であれば自由に操れるようになったらしい。
「これはいいかも!」
普段から強い奴には道具を使って戦いを挑む戦闘狂だからこの力に歓喜して笑顔になった。
それで力をもっと試したくなったので外に出ることにした。
着替えて大急ぎでそれぞれの思惑が入り混じる外の世界に出た。
七香が外に出ると最初に目に入ったのは早速力を悪用する神もどきだった。
自然の神とおぼしきその少女は空中に浮いて能力で空を覆う自分の城を作っている最中だった。
そこに運悪く七香は大きな音をさせて扉を開けたので振り返った相手と目が合ってしまった。
「まずい!」
能力を把握し切る前にこんなのと戦うのは無謀に決まっている。
直感でこの神もどきから逃げようとした。
そしたら回り込まれて目の前に立たれてしまった。
七香は危険予知で恐怖しているが、そんな七香に神もどきは普通に話しかけた。
「君がこの世界で100人くらいになっちゃった人間の1人か。開花してない分まだ可能性があるんだよね。君、このカルミアと手を組まない?」
その言葉を言う時の神もどきは真剣な目をしていた。
それに七香はキョトンとして返答した。
「信用できない奴と組む気はない」
そう言うと七香の反転で能力のエリアを形成した。
その中で七香は最強と言える。
それに対して内側の煮え繰り返るような状態を隠してカルミアは殺しにかかることにした。
「そっか。なら、カルミアが植物の神の力を持って見せしめとしてやる!」
そこから戦闘狂と神もどきの戦闘が始まった。
「反転エリア内の重力場を崩壊」
その発言の次の瞬間にカルミアと七香を中心に半径1kmの重力がめちゃくちゃになった。
それによって七香は多方向の重力に引っ張られて浮いた。
その状態で七香が次の攻撃のためにまた行動を声に出した。
「ガラス片は空中に浮く。それはちょっと衝撃で割れて飛ぶ」
その通りに変化して周囲のガラス片が辺り一帯に浮かんだ。
それを見たカルミアは何をしようとしてるのかに気づいて植物のツルの中にこもった。
次の瞬間、七香は飛び回ってガラス片を割ってカルミアに向けて撃ち出した。
その攻撃はほんの1分でツルの隙間からカルミアが見えるようになるくらいに削った。
これで当たらなかったので七香は次の攻撃に移った。
「反転エリア内のあたし達の位置を180度回せ」
これで2人は中心点から180度移動させられてカルミアは移動先にあるマンションに叩きつけられた。
「なっ!自由が効かないの!」
この攻撃でカルミアはダメージを受けてツルから追い出された。
そこに無慈悲に攻撃をしようとする七香が微笑んだ。
「神もどきは散れ」
この言葉でカルミアは本気を少し出すことにした。
「神は散らず下等な者達を支配するべし」
そう言うとカルミアの能力で地上から大木がいきなり育って現れた。
それは反転エリアを飲み込むほどの大きさになってカルミアの力の大きさを現した。
その木はカルミア以外の七香と反転エリアだけを飲み込んで中に封じ込めてしまった。
それを無言で七香は内側から枯らして反転エリアを守った。
これを狙っていたカルミアは「今は相手すべきでない」と判断して大木の枝に乗って上を目指した。
その途中で七香は植物によって遠くに投げ飛ばされてしまった。
この後、七香は「また会おう」と言って姿を消した。
この一方的な攻撃を受けたカルミアは同種族の神達に七香の危険性を伝えた。
あの戦いの後で大木はカルミアの空を覆う城に行くための唯一の道となった。