第八話 旅立ちの時 Side朝日
夕夜が来たのは、私達が着いてから十分ぐらいしてからだった。夕夜の来てる服を見て私は、
「何その真紅のマント?」
夕夜は黒の服の他に真紅のマントつけていた。
「このマントか?この黒い服だけだとなんか雑魚っぽいだろう?だから赤いマントは無いかと聞いたらこのマントをくれたんだ」
そのマントをつけた夕夜を見て私は、
(こいつと一緒に行ってついでに私も服を替えて貰えばよかったな)
と考えてしまう。それを見て何を思ったのか夕夜は、
「何だお前も欲しいのか?ふっ安心しろそう思ってお前の分も貰ってきた」
そう言って前に差し出した手に乗っていたのは、蒼のマントだった。それを見て私は、
(どうするこれを身に付けるのはなかなか勇気がいる。でもどうせ付けるしね)
覚悟がある内に身に付けようとマントを受け取り急いで身に付ける。それを見て満足したのか夕夜は、目の前の男の人と話し出す。
「カペルもう準備も出来たし出発しよう」
どうやらあの代表者だった人はカペルと言うらしい。
「わかりました。この町の出口まで送ります。そのあと其処のサラに聞いてください」
そう言ってカペルさんはサラさんを指さす。それを見て夕夜が、
「ん、こいつはサラと言うのか?」
「は、はいサラ=イスピードと言います!よろしくお願いします」
「ん、あぁよろしく頼む」
相変わらずこいつは年上でも呼び捨てか。まぁ見た目1、2歳しか変わらないしいいか。それよりこれからの事をよーく聞かないと。
「では、今からすぐに東の塔に向かってもらいます。途中まで馬車で魔法の基礎をサラに習いながらいってもらいます。しかし途中から馬車ではいけない場所があるので其処からは歩きとなります。後は旅の途中にサラに聞いてください」
それではと言って馬車をひいてくるカペルさん。
「これに乗ってください。この子が途中までこの馬車で送ってくれます。ほら自己紹介しなさい」
そう言って前に出されたのは、碧眼の12、3歳の女の子だった。
「アリア=ディーニと言います。これから三日間ですがよろしくお願いします」
そう言って頭を下げる。それを見て私と夕夜は、
「こちらこそよろしく」
「よろしく頼むぞ」
と返す。それを聞いたアリアは、
「では、そろそろ行きましょうか?」
夕夜がそれを聞いて「そうだな」と馬車に乗り込んだ。それに続いて私とサラさんも乗り込む。最後にサラさんがカペルさんを見て。
「では行ってきます」
それを聞いたカペルさんが、
「うむ頑張ってくれ」
とサラさんとアリアを見て言う。それを聞いたアリアは馬を走らせる。カペルさんは門が閉まるまで私達を見送る。それを見て頭を下げる私とサラさん。夕夜は軽く手を振っている。
門が閉まり終る。もうここから先はほとんどを自分で考えて進まなければならない。
私達の旅は始まったのだ。