第二十七話 神官
作戦が決まり出発準備をする夕夜達。
それぞれが部屋に武器などを取りに行く。夕夜は剣を両方腰に差し、朝日は腰の後ろにナイフを差す。他の三人もそれぞれ自分が持ちやすい持ち方で武器を持つ。
全員が仕度を済ませ家の外に集まる。その中からアリアがサラを連れて抜け出し、自分の馬の方に歩いて行く。アリア馬の前に連れて来たサラに向かって頭を下げて、サラにお願いをする。
「これから戦いに行くのに申し訳無いですけどこの馬達を見えなくなるように魔法をかけて貰えませんか?」
「あ、はい。此処に来る途中お世話になりましたし良いですよ」
「あ、ありがとう御座います!」
快く引き受けてくれたサラに頭を下げるアリア。その顔は本当にうれしそうだった。
そして直ぐに詠唱を始めるサラ。サラが詠唱を始めて二十秒程で馬の姿が認識し難くなる。此処に居ると分かっているのに、居ると絶対には確信出来ない。
「あんな事も出来るのか魔法は?」
「う〜ん?やってるし出来るんでしょ。でも何の属性か解らないね?」
「あれはね、神官魔法だよ。神官にだけ伝えられる防御や回復だけの魔法だよ」
遠くで見ていた夕夜と朝日はその魔法がよく分からず話していると、隣のコールが説明する。その説明を聞いてコールに体を向ける。防御や回復だけと聞いて攻撃は無いのかと質問する朝日。
「うん。攻撃魔法は無いよ。基本神官になる人は一通りの魔法を修めているからね。攻撃は他の魔法を使うんだよ」
「じゃもしかしてサラさんってあの年で神官て凄いんですか?」
「そうだね。優秀な部類に入るどころかあの詠唱は本来一人でやる物じゃ無いんだ。それをあの年齢でたった一人で出来るという事はトップクラスの才能と実力だと思うよ」
サラがあの儀式の時、代表の一人として出てきた時点でかなり上の方に居る人だと思った朝日。あの年齢で代表の一人になるには神官の中でも実力が無いと他を納得させられないだろう。
そんな事を話していると戻ってくるサラとアリア。二人で仲良く歩いて来る姿はそんなに凄い子には見えない。朝日はサラをじっと見ているとそれにきずいたサラに、
「どうかしたんですか朝日さん?」
「いやぁ。何でも無いですよサラさん!」
「そうですか?」
少し気になる様だがそのまま流すサラ。今まで黙っていた夕夜がサラとアリアも戻ってきたので話し始める。
「もう全員準備はいいな!」
「「「「うん!(はい!)」」」」
「これから間二キロの場所を目指して出発する!」
夕夜達はその言葉を合図に出発する。