第二十三話 自分よりも詳しくて
「えっと、何から始めるんですか?」
夕夜達と別れ、準備が出来たので尋ねる朝日。その様子を見たコールが、
「じゃ、土の魔法を少し見せましょうか?見た方が解り易いですからね」
「お願いします!」
コールが出した案に特に異論がないので賛成する朝日。
「では」と言って袋から土を取り出し机の上に置く。朝日とアリアも机から乗り出すようにそれを眺める。それを確認したコールは土の方に手を向ける。すると土が夕夜とそっくりの形になる。そしてそれを指さしながら説明始める。
「魔法に大事なのはイメージです。特にゴーレムなどを作る土の属性はイメージが重要と成ります。何度も何度も練習してイメージを強固な物にしていく事で、ゴーレムの精製速度やその精度が上がります。今回は夕夜君を作りましたが、今日会ったばかりなので精度にかけます。これが僕の形に成ると・・・」
驚く朝日とアリア。今目の前にある夕夜の形でさえ二人にとっては十分すごい出来なのだ。コールは其れにきずかず手を土に向ける。今度は夕夜の形からコールの形になる。それは先ほどの夕夜の人形と比べると出来が良く何より速度が違った。一秒もかからずに作ったのにその人形は髪の毛一本一本まで細かく作られ色まで細かく付いている。これが実寸大なら間違えてしまうだろう。人形を眺めている二人を見ながら説明を続けるコール。
「この様に先ほどよりも精度がかなり良くなり戦闘では僕はこの人形を混ぜて行います。唯戦いに使うなら精度だけでは駄目です。それを一瞬で作る速度が必要となります。最低でも一秒を切りたいところですね。取り合えず早速遣ってみましょうかね?」
唖然と見ていた二人はその声に反応してコールに目を向ける。その様子を苦笑いしながら土を渡す。土を受け取った朝日は土を机の上に広げる。そして手を向け集中する。
(何を作ろうか?取り合えず自分で良いかな?)
机の上の土がゆっくり朝日の形をとっていく。やはりそれはコールに比べると遅く三秒もかかった。しかし見た目は良くできている。最初にコールが作った夕夜と同じ位の出来である。こんな事をするのは初めてと聞いていたコールはその出来に驚く。それを見た朝日は不安になり声を出す。
「あの・・・これじゃ駄目ですか?」
とコールに聞く。隣に居るアリアも「これでは駄目なの?」と目を向ける。それにきずいたコールも急いで喋り出す。
「い、いやかなり良く出来ていたから少し驚いてね。うん。最初からこれ位出来れば少し練習すれば出来るようになるよ。うん。次は自分以外を作ろうか」
朝日目を閉じ今度は夕夜をイメージする。何十年も一緒だそのイメージは先ほどよりも早く精確に出来る。目の前にある人形が今度は一秒もかからないどころかコールよりも早く出来る。それを見て驚き何も喋れないコールとアリア。アリアどころかコールでさえこの結果は予想できなかった。
静かになったので目を開いた朝日の目の前には唖然とした二人がいた。目の前にはどう見てもさっき程よりも良く出来た夕夜の人形。どこか駄目だったんだろうか?不安になった朝日が二人に尋ねる。
「えっと、どこか駄目でした?」
「え、い、いやさっき作った人形より夕夜君の人形の方が遥かに早く精度が良いからね。少しいや、かなり驚いてね。まぁそれだけ彼の事を知って思っているって事だろうね」
かなり驚いた様子で喋るコール。隣のアリアも頷いている。
「えっと、何だかんだで夕夜とは十年以上の付き合いですからイメージは自分よりやり易いんですよ!そうに違いないですって!」
朝日は顔を真っ赤にして一気に喋りだす。二人は最初は驚いたが徐々に面白そうに眺める。その事について追究しようとする二人。しかしその時隣の部屋から、
「あはははははははははははははははははははははははははははははははは!!」
と夕夜の笑い声が聞こえる。
それを聞いた三人は何かあったのかと隣の部屋に駆け込む。其処には、