第二十二話 歓喜
「では魔法についての修行を始めようと思います。まず最初に聞いておきたい事が有ります。先ほどコールさんに訓練してた時に炎で土の壁を砕いたと聞いたのですが本当ですか?」
「ん?あぁ目の前に土の壁が出来たからな確かに砕いたぞ」
サラは顎にてを当て少し考える。そして結論が出たのか夕夜を見て、
「夕夜さん。それはあり得ない事だと分かっていますか?」
と夕夜に問いかける。夕夜はその時を思い出し少し考える。
(あの時目の前に土の壁が出来てそれを剣に力の限り炎を纏わせて水分を燃やして砕いた?何か可笑しな所が有るか?)
「済まない分からないんだが」
と諦めてサラに聞く夕夜。サラもそれにすぐ答える。
「良いですか!普通同じ事を他の人が行うと、土の壁は砕けるのでは無く溶けるんです!」
驚いた夕夜はそれを良く考える。
(そうだ何できずかなかった!自分でも分からない位の温度だ。普通一瞬で水分だけ無くなる筈がない!あそこまで固まっていたんだ、溶岩の様に成ってる筈だ!)
サラに教えてもらいそれにきずかなかった自分を叱る夕夜。サラもその様子を見て分かった事を悟る。しかしこのまま黙っている訳にもいかないので口を開く。
「何でそうなったのか解りますか?」
「・・・・・・・いや。全く予想がつかん」
「・・・これは推測ですけど、夕夜さんの固有属性が関係していると思います。唯それが何かまでは解らないですけど」
「固有属性・・・か」
そう呟いて考える夕夜。隣に居るサラも夕夜と同じように悩んでいる。
そして固有属性について思い出す。
(あの時は影や音などが有ると言っていたが、今回のは一体何なんだろう?水分だけ焼き払うと言う俺のイメージを元に実現したのか?いや俺の頭の中の土には水分が有るという抽象的な思考で行われたのか?細かい事を無視してこの結果に辿り着くものは?もしそうだとすると俺の固有属性は・・・・・・)
「っははは」
夕夜は答えに行き着き震える。
「?」
サラが疑問に思うのも関係ない。
夕夜は答えに行きついたのだ。その答えは人の身には過ぎる力だ!だがそれが如何したんだとと言わんばかりに歓喜に震える。
恐い?そんな筈はない。だって、自分は欲していた。いくら体を鍛えようがいくら頭に知識詰め込もうが所詮は人。
欲しかった。欲しかった。欲しかった!人の身ではあり得ない力?そんなのは関係ない自分は欲しかった!人の身にはあってはいけない圧倒的な力!それが如何した!そうこの力こそ自分に相応しいと言わんばかりに笑い出す。
「あはははははははははははははははははははははははははははははははは!!」
夕夜は笑いと震えが止まらない。自分が長年求めていた物それが手に入ったかも知れない。其れだけでも夕夜にこの世界に着た価値がある。いやむしろお礼をしても良いぐらいだ。だから夕夜は笑い続ける。