第十七話 レムナント
冷静になって考える。
(そういえばあいつ等と俺の服に血が付いていなかったような気がする)
それを思い出して自分の服を確認した後朝日達を見る。
「脱ッ野宿!!!!!」
「「脱ッ野宿!!!!!」」
「・・・・・・」
と朝日が無駄なカリスマを見せてポーズをとっている三人。
(俺初めての戦いのせいで疲れてるんだな)
夕夜は思わず目を擦る。今のは幻覚だと信じて目を開ける。
「「「神様に感謝を・・・・・」」」
今度はサラを筆頭に座りながら祈っていた。
それを見た夕夜は、・・・・・見なかった事にした。
(服に血が付いた後が無いって事はどう言うことだ?)
「ね、ねぇ君あれはほっといて良いのかい?」
「・・・・・ちょっと待っていてくれ」
そう言って夕夜は朝日達に近づき目の前の地面に剣を思いっきり突き刺す。
「「「ッハ、なにするのよ!!((するんですか!!))」」」
目の前に剣が突き刺さり怒る朝日達。夕夜はそれを一瞥して冷やかな目で、
「黙れ」
「はぁ何言ってんの謝りなよ!」
「黙れ」
「だから謝」
「黙れ」
「だか」
「黙れ」
「・・・ハイ」
静かになる三人。それを確認して男に話しかける。
「・・・この森でゴブリンを切ったのに血が付いていないんだが、何か知らないか?」
(なんか滅茶苦茶怖かったんだけど)
「切ったのに血が付いていない?」
(そうですね。夕夜さんすごく怖かったです)
「ああ。確か戦ってすぐの時は付いていたんだがな」
(・・・喋るとまた怒られるよ)
「それは多分、残骸だ」
(大丈夫だって)
「残骸?」
(そうですよ今話してますし)
「あぁ。残骸の森と呼ばれての通り此処には戦争の残骸が有る」
(・・・知らないからね)
「いったい残骸にはどんな物が有るんだ?」
((だから大丈夫だって(ですって)))
「あ、あぁそれには「ちょっと待っていてくれ」・・わかった」
夕夜は話している二人の前に剣を二つとも刺す。
「「ッヒ・・・」」
「黙れって言ったよな」
それを聞いて高速で頷く二人。アリアはちゃっかり距離をとっている。
「今度許すまでに喋ったら・・・分かってるよな二人とも」
「「ッハイィィィ!!」」
それを聞いて男とまた話す。
「悪かったな続きを頼む」
「あ、あぁ。此処は戦争の実験所って言うのは知っているな」
頷きながら続きを求める。
「その時の実験していた兵器が魔物を生産する事が出来るという物だ。今でもその機械は動いていてな、何台かはギルドの者が壊したのだがいまだに血が出ない魔物がいるってことはまだ残っていたのだろう」
その内容に事情を知らない三人も真剣に聞く。夕夜はそれを見て、
「お前ら服に血が付いていないだろう?それが気になって話を聞いていたんだよ」
野宿をしなくていい事に喜んでいた三人はそれを聞いてすぐに、
「「「・・・・・すいませんでした!!」」」
「・・・今後は気をつけろよ」
「「「うん((はい))」」」
夕夜は男を見て尋ねる。
「その機械がどこら辺に有るか分かるか?」
「・・・正確な位置までは分からないが、恐らく此処から半径五キロの何処かだろう。たしか昔ギルドが効果範囲半径五キロと発表していたから間違いない」
夕夜は手を顎に当てて、
(っと言う事は、俺達が落ちた場所とこの場所の間ぐらいか?)
考えている夕夜を見て朝日が、
「もしかしてそれを探して壊すの?」
朝日の方を向いて、
「あぁ。壊せばギルドに行く時に交渉の役に立ちそうだからな」
「あっそうなの」
その言葉を聞いて朝日は、
(もしかして夕夜の方が私より今後の事考えてる。それなのに私は野宿じゃ無いだけで喜んで・・・)
と今まで行き当たりばったりで来ていた自分と比較して自己嫌悪におちいる。
それを夕夜は一瞥して、
「まぁいい」
そう言い男の方を向いて、
「何時までも名前を知らないのはやり難いからなあんたの名前教えてくれないか?」
男は朝日をチラッと見たあと、
「私の名前は”コール=ポガート”まぁコールとでも呼んでくれ。それで君たちは」
「俺達は・・・
ちょっと長くなったので次に続きます