第十二話 初めての戦闘
「行くぞ!」
夕夜の声が聞こえたと同時に全員が戦闘態勢に入る。後ろにアリアとサラが前に夕夜と朝日が来るように陣形を取る。夕夜はフェンリルだけを抜く。それに合わせて朝日もアグライヤを抜く。
二体のゴブリンの大きさは一メートルぐらいと小さいが、武器を持っているせいか五十センチは大きく感じる。
「っはぁ!」
掛け声とともに夕夜が切り込む。その後ろでサラが詠唱を始める。
残ったもう一体をアリアが水の矢で撃っているうちに残った朝日がその後ろに回り込み切りかかる。首を狙った一撃はゴブリンが朝日に打ち込もうとしていた一撃を避けるために首を外れ胸に当たる。
「ギャァァァァー!」
悲鳴に驚いたもう一体のゴブリンを夕夜がなぎ払う。そこに詠唱の終わったサラが魔法を放つ。
「敵を貫く雨となれ”アイスレイン”」
言葉とともに氷の針が降り注ぐ。
「グァ―――――!」
体中に刺さった氷の針に絶叫を上げる。そこに夕夜が上段に剣を構えて、
「相手が悪かったな。はぁぁぁ―!!」
剣を一気に下にたたき下ろす。ゴブリンは今度は声も上げる事も出来ずに絶命する。
一方朝日も先ほど習った霧を発生させ身を隠す。血を流したゴブリンは突如見えなくなった敵を必死に探す。その隙だらけの背中にアリアが矢を射る。刺さった矢に顔を向けたゴブリン。その首を朝日が断ち切る。
背中を見ようとしたゴブリンが最後に見たのはだんだん地面に近づく光景だった。
お互いが敵を倒したことを確認した四人は一ヵ所に集まる。
「はじめての戦闘だがいけそうだな。だが俺は今のままじゃ二刀流は無理だな。当分は片方だけで行く事にする」
「私も多分問題ないよ。まぁこっちも当分アグライヤしか使えないけどね」
お互い今回の戦闘で今後を考える二人。急に朝日が、
「そういえば何か何時もより体が動いたんだけど何でだろう?」
少し考える姿を見せ夕夜が、
「恐らくこの世界と地球の重力が違うのだろう」
「あ、そっか。ここは地球じゃ無いから重力も違うのか」
「まぁ考えても仕方ないことだ。今は其れより倒したこいつらの血の臭いに他の魔物が来る前に移動するぞ」
「「「あっうん(はい)」」」
そう言いながら剣についた血を拭う夕夜と朝日。
アリアとサラは馬を捕まえに行く。
「よしじゃあ行くか。方向は東に一直線の筈だ」
そう言って歩き出す四人。
その後ろであるはずのゴブリンの体とその血が消えてなくなっていた事には誰もきずかなかった。