表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

93/113

隠者の洞穴

「今後はソルバ・アルダアートが敵ダンジョンマスターだと仮定して動く事にする。

敵は王都内に小規模なダンジョン、もしくは入り口だけを構えている可能性が高い。

まずは、ダンジョンを見付ける事が先決だ。」


「ならば、私の方で探りを入れましょうか?

冒険者を雇い葬儀後の墓を見張るかゴミ処理場を探れば・・・。」


「いや、カージャにこれ以上、踏み込まない方がいい。

無いとは思うが貴族連中とつるんでいたらいたら厄介だ。

ただ、俺がダンジョンバトル中は王都には滞在していて欲しい。」


「分かりました。それだけですか?」


「いや、もう一つ重要な仕事がある。それは・・・」



次の日ピットン王国の王都でのんびり馬車を操り、スラムを巡回するカージャの姿が見られた。

外部から好き好んでスラムにくるのは人攫いか脛に傷持つ輩と決まっている。

そんな中、他国とはいえ爵位持ちの勇者が来たのだ。

スラムの住人から奇異の目で見られていたが、カージャは気にする事無く、スラムの彼方此方をまわり帰っていった。



次の日

見つけたぞ!

ソルバ・アルダアート!

ゴミ処理場の穴はやはりダンジョンの入り口だったか。

いくらゴミを放り込んでも埋まらない穴なんておかしいだろ。

しかし、マスターなのに迷宮の外に出れるって、やっぱり試作ダンジョンだけ優遇されすぎだろ。



俺はカージャにG1億匹を託し、それを使ってソルバ・アルダアートの家の調査を行っていた。

墓場やゴミ処理場ならGが居ても目立たない。

死体やゴミに潜んでそのままダンジョンに潜入してもらうつもりだった。


ゴミ処理場の方は一度集められたゴミを焼くでも無く、人足がアルダアート家の敷地にある大穴に投げ込むだけだった。


明らかにおかしい量のゴミが投げ込まれるが一向に埋まる気配も無く、膨大な量を飲み込む穴。

普通に考えたらおかしいのだが、人足達はそれが当たり前とでもいうように仕事をこなしていく。

そして、ゴミに紛れたGが投げ込まれると、俺のリストに新しいダンジョンが追加された。


ダンジョンの名は、隠者の洞穴。

今まで人目を欺き続けた知恵者のダンジョンだ。


ダンジョンバトルを挑む前にまずは作戦を考える。

今回のダンジョンバトルはスピード勝負だ。

エン1人がわき目も振らずダンジョンコアを目指し、コアの破壊を目標とする。

防衛はエンが敵ダンジョンに進入した後、入り口を防御用のゴーレムで塞ぎ、

無理矢理にでも侵攻を阻止する方法を取る。


念のためにチビ助にダンジョンのレベルを確認するのも忘れずにやる。

レベル4だと返って来たので、少なくとも666階層は無い事が分かる。


更に念のためにエンの装備を整える。

元が日本の侍なのでやはり鎧も日本の物を付けたい。


避来矢ひらいしという大鎧が日本の鎧としては最高額だったので値段でそれに決める。

色々なバフの他、飛び道具を完全に防ぐ鎧で中々の性能だ。

それに収納の腕輪を左右に着け、中に刀をそれぞれ20本ほど入れる。


取りえず、この状態でエンには特攻してもらい、駄目だったら一度引き上げ考える事にする。

カージャの奇行が疑われないためにも1週間時間を空けてからバトルを実行する。


俺はその間にブラックホールを塞ぐためのゴーレムの作成だ。

ヒヒイロカネで出来た、ほぼ通路幅のゴーレムを作り、鍵穴を埋めるように出入口を塞ぐつもりだ。

本来、手足は無く動かず、転送するだけなのでゴーレムにする必要は無いのだが、通路の形に精製するにはゴーレム化が必要だっただけだ。


準備が整い、ダンジョンバトルを申請する。

今回のチケットは拒否出来ない高額なチケットだ。

なにがなんでもここで潰す!


相手がいつ受諾するまでの間はコアルームに詰める必要がある。

なるほど、こうやって相手の精神的疲弊を狙う事も出来るのか・・・。

あまり自分からバトルを仕掛けないので、冷静になると初めて分かる事がでてくる。


結局、ソルバ・アルダアートは時間一杯を使って準備しバトルを受諾した。

エンと防衛用ゴーレムを入り口付近に配置しバトル開始を待つ。


ちなみに嫁達からは何かおもしろい事が起きたら呼べと言われている。

どうやら、ロボのいないダンジョンバトルは嫁達にとって娯楽的要素は低いようだ。

子供組だけは居ればおやつが出るのを分かっているため、コアルームに来ているが、すでにバトルそっちのけで、テーブルの上のおやつに夢中だ。


「しかし、お主等に見付けられるとは思わなったぞ。」


口の周りをクリームで白くしたチビ助がいつもの上から目線で話しかける。


「見付かるまで探すんだから、見付かるに決まってるだろ。」


最悪、ピットン王国を蹂躙すればいいだけだし、諦めずに続けるんだから成果は出る。

偶に日本のTVで一代で成功した社長を紹介したりするが、成功するまで起業すれば誰でも成功者になるのと一緒だ。

失敗するのは途中で止めるからでしかない。


カウントダウンが進む中、ついにブラックホールが出現した。

エンが飛び込み、ついにバトル開始だ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ