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ピットン王国

どう考えてもおかしい。

ピットン王国は確かに広いが冒険者も寄り付かないような森、山等は数えるほどだ。

既に高レベル冒険者を雇い、その辺の調査は2度3度としているが、まるで手掛かりがない。


考えられる可能性は3つ。

1つはチビ助が嘘を吐いている可能性。

だが、これは無いと思う。

今までの事で分かったのだが、あのチビ助は嘘を言わない。

これは、もしかしたら嘘が言えないのかもしれないと思っている。


もう1つが・・・こちらは厄介だが、人族に混じって生きている可能性だ。

街をダンジョン化するのはラノベではよくある方法だ。

このため試作ダンジョン以外は全てが地下型になっているのかもしれない。

デカい街なら1日で出るゴミの量も相当だろう。

死人もでるはずだから全て吸収してしまえばDPにも事欠かない。

そしてデカい街なら、王族や高位貴族が絡んでいる可能性も出てくるな。

秘密裏に探そうとしても邪魔が入る可能性は高い。

絡んでたら国ごと屠るしかないかもしれん・・・。


そして、最後の1つがダンジョンと認識出来ない可能性だ。

まぁ、2つ目もそうだとはいえるが、こちらはアリの巣や獣の巣に偽装している可能性だ。

人が入れず、見付けても大目に見られるような存在だ。

これも厄介だが、雨が降っただけでピンチになりそうな方法なので可能性は低いと思う。


俺はゴルドにカージャを呼び戻してもらい、打ち合わせをすることにした。


「申し訳ありません。未だ発見は出来ていません。」


カージャは開口一番謝ってきた。

俺が怒ってるとかゴルドが言ったのだろうか。


「別にそれはいい。これだけ探して無いとなると紛れている可能性が高いと思う。それを話したくて今日来てもらっただけだ。」


「紛れてる・・・ですか?」


「ああ、これだけ探して見付からないとなると、山や野にあるのではなく、街や村・・・いや村はないか・・・街に偽装しているんじゃないかと思う。」


「街に・・・。」


「そうだ。デカい街であればあるほど、偽装しやすいしダンジョンも強化しやすい。そっちの線で一度洗い直してほしい。」


「なるほど・・・しかし街に偽装しているとなると、厄介ですね。」


確かにダンジョンバトル時にアレク達が放り出されないところを見ると、バトルになった際にも住人はそのままいるのだろう。

そうなるといきなり起きたスタンピードとして街の住人も敵として参加する可能性が高い。


「ちなみに目星は付いているのでしょうか?」


「王都が一番可能性としては高い、ついで街の発展順だな。」


「つまり、人の多い街ですね。」


「そうだ。そこで昔からその街に住んでいる歴史のある一族を調べてくれ。

それと当主が人前に姿を見せなかったり、何代にも渡って同じ顔だったりするなら、かなり怪しい。」


「似ているのは家族ですから仕方が無いのではないですか?」


「家族だから目元が似ているとかの場合は除外していい。そのまま若くなったとか全く顔が一緒だとかを探すんだ。」


「分かりました。何かわけがあるのですね。それではそれで調査をします。」


「街中だから高レベル冒険者じゃ無く、低レベルの冒険者で数で補ってくれ。理由は・・・何かいいのあるか?」


「OPI会員に貴族の歴史家がいます。この方に協力を仰ぎ、王都の歴史調査の名目で徹底的に調査します。」


「任せる。とりあえず王都の調査が終わったら一度来てくれ。その頃にはまた何か思いついてるかもしれない。」


「分かりました。吉報をお持ちできるように頑張りましょう。」



1ヶ月後、カージャが迷宮にやって来た。


「調査が終わりました。古くから、それこそ王都が出来た当初からいる一族は36家ありました。その内29家が貴族家で残りが平民ですね。」


「結構いるな・・・。」


これは特定作業が難しくなるかもしれん。


「そして、当主の姿を見た事が無い。または、顔がまったく一緒だと言われてる家は1つだけした。」


「ほう・・・。」


前言撤回、簡単かも。


「もちろん、古くからある家です。現在の当主はソルバ・アルダアート。

代々アルダアート奴隷商という店で奴隷商を務めています。

王都でも1、2を争う大店ですが、奴隷の扱いは丁寧で不正を働かないため評判もいいです。

平民ですが建国時に祖先が王を助けたとして家名をもらっていますね。」


「建国を助けてるなら貴族になってるんじゃないのか?」


「こちらは随分後になって贈られたもので、

どちらかというと古くから住んでいる一族だからというのが本音でしょうね。他の6家も家名を貰ってますから。」


「家族はいるのか?」


「妻とは死別し体の弱い息子が田舎で療養しているという話しです。」


「いよいよ怪しいな。自宅の方はどうだ?」


「スラムよりの一角ですが、昔から住んでいるためか、かなり広いです。」


「もしかしてゴミ処理場や墓地が併設されていないか?」


「ご名答です。アルダアート家が慈善事業としてゴミ処理を格安でやっています。

それとかなり立派な墓所と平民でも利用可能な共同墓地の2ヵ所をアルダアート家が所有し、手入れなどをしています。

立派な方の墓所は会員制で貴族や国の英雄等と呼ばれ功績のあった人が葬られる墓所で、

一種のステータス的なものになっていますね。」


もう決まりだろ。

問題はDPにするのに、その場でやっていないという事だな。

その場でやっていたらリストにも追加されているはずだからな。

掘り起こすか地下から奪ってるかのどちらかだろう。


目星はついた。

後は化けの皮をはがしてやるだけだ。

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