ゴルド昇爵作戦
残りの廃棄ダンジョンの数はあと2つ。
その内の1つがピットン王国にあるらしい。
近場と言えば近場だが、この迷宮を今OPIが総力をあげて探している。
が、見つからない。
地上部分は探索済みと言えるほど探索しているのだが、全然見つからないのだ。
「チビ助、本当にあるんだろうな。」
「場所は覚えとらんが、間違いなくあるのじゃ。」
チビ助を再度おやつで釣りながら尋問する。
現在ピットン王国の方にはカージャが1人で行っている。
ゴルドは入国禁止、キースは結婚の準備で忙しいせいだ。
そのため迷宮にはゴルドが1人で来ているが、こいつも慣れてきて最近は暇そうだ。
「おい、ゴルド、死刑囚の数が全然減らないんだが、この国って大丈夫なのか?死刑囚以外の犯罪者もいるんだよな。」
犯罪を冒したら即死刑の悪即斬の法でも敷いているなら分かるが、この死刑囚の多さは異常だろ。
「治安が悪いからな。産めよ増やせよで人の数は多い。これだけ多ければ食料難が起きそうだがそれも無い。我々の常識に当てはめれば、かなりおかしな世界だよ。」
「確かにな。普通は食糧難から治安が悪くなるのに、真面目に働いていれば生活できるのに治安が悪いんだから質が悪いな。」
「まぁ、情勢からそうなってるだけかもしれんし、我々は自分が出来る事をするだけだ。」
「そうだな。ところでゴルド、お前は見合いというか結婚の話は全て断わったのか?」
「ああ、私は真実の愛を見付ける。私の決意が伝わったのか、ようやく話も来なくなりだしたよ。」
ラストチャンスが潰えたか・・・・。
「なぁ、貴族なんだから、奥さんとかって何人もいるのが普通なんじゃないのか?」
「いや、この国は男爵までだと慣習で1人なんだよ。その後は子爵で2人と爵位が上がるごとに増えるがね。」
本人のためにもゴルドはこのまま男爵でいた方がいいかもな。
しかし、伯爵くらいまで昇爵すれば話は変わるかもしれん。
ちょっと暇つぶしにゴルドを昇爵させてみようかな。
チョコで爵位をもらるなら、量か種類で昇爵出来るんじゃないか?
ゴルドに話すと無理だとは思っているが協力はしてくれるそうだ。
まずは量を1.5倍ほどにしてみる。
いつもは週に30枚ほどなので40枚にし、そこにブラックチョコレートを5枚ほど混ぜてみた。
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「姫様、ゴルド卿よりチョコレートが届きました。頑張ってくれたようで少し数が多いそうです。」
「そうか。あの男も妾のために働けて嬉しいのじゃろ。」
「はい、それと新しい種類のチョコレートを手に入れたと書かれています。」
「なに!本当かや。どれじゃ!」
「これのようですね。全部で5枚あります。」
「うむ、妾に寄こすのじゃ・・・・に、苦い・・・あまり甘くないぞ。お主も食してみよ。」
「はい・・・確かに今までのチョコレートと比べると甘みが足りませんね。」
「うむ、妾はこれは要らぬ。・・・そうだ!父上に贈ろう。父上は普段のチョコを甘くて好まぬと言っておったが、これならばちょうどよいじゃろ。」
「姫様、流石で御座います。」
「・・・・・・・」
「・・・」
「友よ、新しいチョコを王が気に入った。予想外にいい方向に話が進んでいるぞ。」
「よし、しばらくチョコの量増加とブラックチョコを混じらせて送るんだ。今のうちにブラックチョコは直接王に送っていいかも確認しとけ。」
「うむ、王女はブラックチョコを好まれんようだから量が増えるなら了承するだろう。」
俺達はしばらく王女の方へは微増させたチョコを送り、王の方へ送るブラックチョコを少しづつ増やしていった。
「友よ、このまま続けるのか?」
「いや、王女の方に新しいチョコを届ける。」
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「姫様、ゴルド卿よりチョコレートが届きました。今回は新しい種類のチョコを見付けたようです。」
「何!どれじゃ?・・・また苦い奴じゃ無いじゃろな?」
「今回見つけたチョコレートはホワイトチョコレートというらしいです。」
「これか・・おおっ!白いぞ!!」
「そうですね。見た目は白く今までのチョコより綺麗ですね。」
「うむ・・・お主の働きを認め、妾よりこれを給える。」
「おお!有難き幸せ!!」
「早速、食すのじゃ。」
「は、はい、それでは姫様頂きます。・・・・」
「・・・どうじゃ?甘いか?」
「はい、姫様たいへん甘いです。」
「うむ、妾も食べるぞ。おおっ!甘い…甘いのう。」
「・・・・・・」
「・・・」
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「友よ、姫から出来るだけホワイトチョコを見付けるように連絡が来た。どうする量を増やすか?」
「多少なら増やしてもいいが、今は希少性を優先させたいから増やしても1枚2枚だな。」
「ふむ、それでこの後はどうするのだ?」
「しばらくはこのままだ、今が普通の状況を作り上げてから量を減らす。そうすれば餌をやってでもチョコを得ようとするだろう。」
暇つぶしでやってる事だが、出来ればいつでもゴルドを昇爵させれる状況にしておきたい。
が、それも試作ダンジョンが見付かるまでだ。




