表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/113

戦い終えて


「カーァ、カッカッカッ!これでこの世界での勝者は儂等で決まりじゃ!

真の勇者になれん勇者等、恐るるに足らずじゃ!」


メメが善神の分身体を食ってしまったらチビ助が調子に乗りだした。

何もしていないのにドヤ顔で終始機嫌がいい。

知り合いみたいだったし、立場上宿敵みたいなものだったのだろう。


一方キョウカは憤怒の勇者だった事が判明し少し落ち込んでいる。

俺も怒りの化身とか言っていたが、まさか本物だったとは思わなかった。


善神の分身体を食ってしまったメメが心配だが今は大人しく俺の膝の上でおやつを食べている。


「チビ助、お前、奴が食われた時、やっぱり食われたと言っていたが、何故そう思った。まるでメメに食われるのを知ってるような口ぶりだったが・・・。」


「ふん!其奴が儂より上位の神の分身体である事を知っておったからよ!

頭は犬猫並じゃが、その分儂等相手には無類の強さを発揮する。見ておっただろ抵抗も防御も出来んかったのを。」


おおっ!思ったより凄いなメメの奴。

メメを見ると上目遣いでメメも俺を見た。

上目遣いなのかどうかは分からんが一つ目でぎょろりと見上げられた。


「気を付けろ!儂等より上位の神等数えるほどしかおらんぞ。恐らく其奴は虚無の神の分身体じゃ。その気になれば、この世界毎喰ろうてしまうぞ。」


「防ぐ手段はあるのか?」


「無い!言ったじゃろ、其奴は儂等より上位の神の分身体だと。誰にも防げん!」


なら、なるようにしかならんな。

幸いな事にメメは俺達には慣れている。

ある程度の命令を聞くくらいには服従してくれているから、怖がっても仕方がない。


「お前も喰われん様に気をつけろ。何度か尻を叩かれていただろ。メメの食い物を盗ったりするなよ。」


「盗らんわ!其奴は何でも喰うのじゃ!適当に食わせとけば満足するのじゃ!!!」


チビ助もこの迷宮に馴染んできたが、赤ちゃん達にはメメが大人気だ。

どちらかに付けと言われたら俺はメメにつくぞ。


そしてゴルドだが、薬が効きすぎて一向に目が覚めない。

真なる勇者なら3日ほどで覚めるとチビ助が言っていたが、契約を解いたことにより、ただの勇者になってしまったからだ。

元々、ゴルドとエンの能力差は100倍以上ある。

そうなると単純計算で1年以上は目が覚めない事になってしまう。


流石にそれはマズそうだ。

というわけでリアとダークエルフ達に強力な気付け薬を作ってもらっている。


「試作品ですが出来ましたが、短期間でこれだけ強い薬に何度もさらされると何か副作用が出ると思います。」


リアから薬を受け取った際に言われた言葉だ。

副作用が何なのかは初の試みのため予想すら出来ないが、元々契約などしてしまったゴルドが悪いのだ。

つまり今後起きる事も自業自得なため、俺達に責任は無いはずだ。

俺の言葉にリアは首を傾げていたが、問題は無い、大丈夫と根拠のない魔法の言葉で言いくるめておいた。

そもそも黙っていたらバレないではないか。


薬はキース立ち合いの元カージャが飲ませる事になり、その間ゴルドはダンジョンの小部屋に放置されていた。


「結構、量がありますね。」


「無いよりいいさ。飲ませてくれ。」


試作品のためか薬は1リットル近い量がある。

カージャがゴルドに流し込むと、鼾をかきながらもゴルドは器用に飲んでしまった。

効果は劇的だった。


「がぁああああ!!!ぺっ!ぺっ!な、なんじゃこりゃあぁああ!!!!」


相当不味かったらしい。

パチリと目を覚まし、のたうち回りながら吐き出そうとしているが、完全に飲んでしまっているので唾しか出ない。


「あの~あれって気付け薬だから、嗅がせればいいだけだったんですが・・・・。」


使用法が間違っていたようだが目は覚ましたし結果オーライだ。

黙ってたら分かりゃしない。


「どんな副作用がでるか分かりませんよ。」


尚も不安がるリアを抱き寄せ懐柔する。

リアが立ち直った頃に向こうの騒動も収まっていた。

ゴルドが必死の形相で缶コーヒーを飲んでいる。

口直しのつもりなんだろう。

そのゴルドから不自然に距離を取るカージャとキース。


「ゴルド、目が覚めたか。お前、善神の分身体に操られてたけど憶えているか?」


「友よ。話はカージャ達に聞いた。情けない話だが、まったく憶えていない。」


「お前の最後の記憶はなんだ?」


「私の記憶は王宮で立派な服を着た、貴族の子供らしき者と話したのが最後だ。たしか・・・マリクとかマルクとかいうような名だたはずだ。」


惜し・・・くないか・・・、マしか合って無い、名前はマインだ。


「まぁ、そういうスキルみたいだし、それは仕方がないだろう。・・・ところで、カージャ達は何でそんなに離れてるんだ?」


「本人を前に、非常に言い難いのですが・・・。」


「うむ、ゴルド・・・お主、凄く臭いぞ。」


「ドリアンのような匂いがします。」


言い淀むカージャを引き継ぎ、キースが直球で事実を伝え、カージャが止めをさした。

見事な連携だ。

生ごみと言わなかっただけカージャの優しさを感じる。

薬の副作用かな。


「後で風呂に入ればいいさ。」


ドリアンの化身はとりあえず横に置いておいて話し合う必要がある。


「それより、ゴルドが行方不明の際に行っていたスゲノ帝国の方が気になる。調査してもらう事は可能か?」


「平気です。帝国にいるOPIの会員に調査を依頼します。

操られていたとなるとゴルドの普段の行動とは違う事をしている可能性があるため広範囲になり時間はかかりますが・・・。」


我がOPIは益々、勢力を伸ばしているようだ。

この世界の連中はどう考えても、その持てる力を正しく使っている気がしないが、俺には便利だし黙っておこう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ