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真なる勇者

「ゴルドの足取りが掴めました。」


「・・・誰かに攫われてたわけじゃなかったんだな。」


「そのようです。スゲノ帝国でゴルドを見たとの目撃談がよせられました。帝国でも辺境の方で森と山しかないようなところですが・・・。」


「・・・山だな・・・あいつは山にいる。」


「今までの行動パターンから考えればそれが妥当ですね。しかし、何故?」


「それは本人にしか分からないだろう。どうせそのうち誰かに捕まって戻ってくるさ。」


「はぁ・・・否定できないところが痛いですね。」


俺達はこの時ゴルドの失踪を深く考えてはいなかった。

また自分探しの旅に出たのではないのか。

そして、そのうちひょっこり戻ってくると。




「友よ!久しぶりだな。」


「ゴルド!お前、半年もどこにいたんだ!カージャとキースが心配してたんだぞ!!」


「それについては申し訳なく思う。しかし私にはやる事があったんだ。」


「何を・・・。」


「紹介したい方がいる。この方は・・・。」


そこでゴルドの後ろにいる存在に気が付いた。

整った顔立ちの人間の男の子。

年は12~3、貴族が着るような服を着て、ボロボロの服装のゴルドと比べるとその差が際立つ。


「自分で紹介するよ。初めまして迷宮主君、僕はマイン。とはいってもこの名はいろいろ便利だから自分でそう名乗ってるだけなんだ。君ならこう言った方が分かり易いかな、僕は・・・。」


「シリアス!変なのがおるぞ!!」


チビ助がコアルームの扉を荒々しく開け、飛び込んでくるなり言い放つ。


「へー・・彼女がここにいたんだ。僕はCL003、善神の分身体と言えば分かるだろ。」


邪神の分身体がいるなら善神の分身体もいるよな。

問題はそれが、何故ゴルドと一緒なのかだ。


「そうか、俺がこのダンジョンのダンジョンマスター、シリアスだ!それで要件は?」


「君の首が欲しい。」


「それで、ゴルドに案内させたのか?」


「違うよ・・・君の首を取るのは僕じゃ無く彼だ!真なる勇者、嫉妬の勇者ゴルドが君の首を取る。」


なんで嫉妬の勇者なんだよ。


「不思議かい?僕は善神の分身体だけど、もの凄く弱くてね。戦いにむいた力は持っていないんだ。

僕が持つ力はたった2つ。1つは真なる勇者を見付ける力。もう1つが真なる勇者に目覚めさせる力、契約の力だ。」


「それじゃあ、ゴルドは・・・。」


「そう、彼は真なる勇者だ。そして今は嫉妬の勇者に覚醒している。今までのどの勇者より強いぞ。それこそ君の首を簡単にもぎ取れるほど。」


「友よ!すまない。しかし、これが本来の我々の関係だ。・・・家族との別れの時間が必要だろう。1時間後に私は侵攻する。それまでに済ませておけ。」


「あのさ・・・3時間にしてくんない?」


「・・・・・・。」


「ほら、ちょっと家族増えちゃってるんでさ。」


「・・・いいだろう。3時間後に侵攻する。」


音を遮断しチビ助に告げる。


「手分けして至急、全員家に集めるぞ!」



10分後、家のリビングに全員が集まった。

そこで俺は今までの話を聞かせた。

善神の分身体が来たこと、そしてゴルドが真なる勇者に覚醒し俺を殺しにきてる事を・・・。


「チビ助、あの分身体についての情報をくれ。奴の言ってる事は本当のことか?」


「本当じゃ、善神の奴は全ての世界を満遍なくサポート出来るように邪神側以上に分身体を分けておる。そして邪神側は上位の個体ほど力が増すが善神側は全て平均的な力をもっておる。そのため同じ人型なら邪神側の方が圧倒的に強い。そして、奴等はその能力の全てを勇者をサポートするための能力にしてあるのじゃ。」


「次だ。真なる勇者とはなんだ?」


「高慢、強欲、大食、色欲、憤怒、怠惰、嫉妬の7つの思いからなる勇者の事じゃ。」


「ねえ、それって7つの大罪じゃないの?私達の世界じゃ悪徳になってるんだけど、何故勇者に結び付くのよ。」


キョウカの言う事も、もっともだ。

勇者と大罪、勇者からもっとも離れた位置にありそうなものだ。


「それはお主等が勝手にそう言っとるだけじゃろ。どれもこれも生きるのに必要な物の根源じゃぞ。

現に人族は他よりそれが強いから、どの世界でも世界の覇者たる立場におる。」


「キョウカ時間が無いから後にしろ!チビ助、真なる勇者になった場合、どのくらいの力の増加が認められる。

それと他に力を得ている可能性はるか?」


「そうじゃの・・・下手をしたらエンに匹敵するかのう。

ミーシャの奴には届かんと思うが・・・。何か特殊な力に目覚めておる可能性もある。」


厄介だな。


「アリス!エンとミーシャを連れてお前の迷宮に行け!呼ばれるまで2人のレベルアップを頼む!DPは好きに使え!」


「わかったわ。」


「チビ助、特殊な力で迷宮の壁を破壊出来ると思うか?」


「無理じゃな。あれは誰も壊せん。そういうルールじゃからな。」


「次の質問だ。ゴルドを元に戻す事は出来るか?」


「分身体の方を引き離すか契約を破棄させれば元に戻るじゃろ。」


「でも、あんたには悪いけど、元に戻してもゴルドさんが顔見せられなきゃ一緒じゃないの?

あそこまで仲良かったのに、この手の平返しでしょ。まともならもう迷宮に来ないわよ。」


「それは心配いらん。今の状態は契約で操られとるだけじゃ。元に戻れば今の記憶は無いじゃろ。」


「まぁ、やってみてから考えようぜ。それで、引き離すってどのくらいの距離引き離せばいいんだ?」


「引き離すとは言ったが、別な世界にでも放逐しない限りそれは無理じゃな。」


「それじゃあ、契約を切るしかないか。・・・それってどうやるんだ。」


「簡単に言えば意識を刈り取るのが一番じゃ。じゃが、儂等は人に見えて人では無い。死ぬことも眠る事もないぞ。」


「お前、寝てたじゃねえか。」


「あれは遊びの一種よ。自分で寝ようとすれば寝れるだけじゃ。食事も一緒で食べなくても儂等は死なぬ。」


「最後の質問だ。真なる勇者はまだいるのか?」


「おるのう。キョウカも真なる勇者の1人じゃぞ。」


「わかるのか?」


「儂は奴より高性能じゃからのう。」


「よし、リアとシスはシルキー達と赤ちゃん部屋で待機!双子とお菊も一緒にいてくれ。チビ助はなにか思いついた時に聞きたいから俺と一緒にコアルームだ。キョウカとカグラは連絡要員として同行してくれ!」


これでやるべきことは決まった。

後は、俺のおもちゃを取り返すだけだ。



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