しばしの休息
キョウカから許可が出たロボの開発を行おう。
今度のロボはあえてのスーパー系だ。
先の偽キング〇ドラ戦で分った。
例え速度が無くとも鬼の力と鉄壁の防御は正義なのだと。
目標は伝説の巨人と呼ばれる巨大ロボだ。
身長100メートル越えを狙う。
それが何の役に立つのかは知らないし、考える必要もない。
ただ、俺のロボを作るのだ。
まずは場所だ。
今までの場所では狭いため秘密裏に18階層を追加し天井の高さを300メートルに拡張する。
もちろん床、壁、天井はダンジョン産だ。
とんでもなく重くなることが予想されるため床が抜けないようにしなければならない。
そして、その後は砂糖吸収とヒヒイロカネの購入をひたすら繰り返し、材料を調達する。
材料が集まれば足から順に作っていくだけだ。
力仕事を出来る者がいた方がいいのでサイクロプス達を10階層から10人ほど呼び寄せる。
足元は重心を安定させるためにあえて大きく作り、同時進行で足場となるハンガーも作っていく。
安定性を持たせるために多少胴長にする予定のため股下40メートル腰までで50メートルの予定だ。
だが、この高所作業は不味い。
怖くは無いのだが落ちたら間違いなく死ぬ。
死ぬわけにはいかないので浮遊スキルを買い込み適当にレベルをあげ練習する。
落下速度を下げ、フワフワと風船のように落ちてこれるようになったので作業を再開位する。
サイクロプス達の協力と今までの慣れにより作業自体の進みは早かった。
骨組みと神経ゴーレムの設置まで2週間ほどで終わり、後は外装と武器、それと姿勢制御用のスラスターだけだ。
スラスターの方は2号機の作成により高性能化しているが、今回は姿勢制御と浮いて移動する事が出来れば良しとする。
作ってる最中に気が付いたのだが、間違いなく外で運用すれば地面に沈む。
ザックリした計算だが本体だけで1億トンを優に超える。
これに外装や武器等をつけたら5億トンに前後になるはずだ。
また、巨大にした事により武器の搭載スペースが大幅に増えた。
特に胴体部分などは半分は空きスペースだ。
いくらでも武装を詰め込めるだろう。
今日はここまでにし俺は家に戻る事にした。
許可はおりたが根を詰めるとキョウカが怒り出す。
そして、赤ちゃんとの触れ合いの時間が減るのはマズイ。
パルとアイカは初めての言葉がパパだったが、ローズはまんまで、タカトがママ、メロンがねーだったため、2対1対1対1で俺はあれだけ根回ししたのに他に1歩しか差を付けられていない。
ちなみにまんまはご飯のことで、ねーはお姉ちゃんの事だ。
ねーについては疑惑の判定があったが、双子とお菊が見事その栄誉を勝ち取っていた。
俺が全員回ってる間にメロンにだけ集中的に張り付いていたせいだと思う。
皆が懸命につかまり立ちする中、既にローズはトタトタと揺れながら歩くようになっている。
ミーシャと同じで身体能力の向上が凄まじい。
食欲も旺盛で、いまだミーシャのおっぱいを飲みながら離乳食も食べている。
おまけに、たまごポーロが大好きで見つけると、どこまでもついてこようとする。
俺は巡回しながら赤ちゃん達をくすぐり笑わせている。
俺が近づくとくすぐられるのが分っているのか、キャッキャいいながら脇の下を隠す。
だが、無駄だ。
俺は赤ちゃんの腕と脇の下の隙間に指をねじり込みくすぐるからだ。
あひゃあひゃ笑う赤ちゃんを見ているとキョウカがいない事に気付く。
だから、静かだったのかと思い、リアにどこに行ったか確認すると、会談のため魔族村へ行ったと答えが返ってきた。
そう言えばチビ助とボナもいないのでついて行ったようだ。
赤ちゃん達を楽しく、くすぐっていると唐突にアンから終わりを告げられた。
お昼寝タイムだ。
俺は部屋から追い出されたので偶にはシルキー達を手伝おうと台所に向かう。
既に下ごしらえの済んだ材料が並べられており、遠回しに邪魔だから出て行くように言われた。
俺はコアルームにカージャとキースと駄弁りに行った。
ゴルドがいないのは女に振られて自分探しの旅に出たためだ。
「ゴルドの奴はまだ戻らないのか?」
「まだ、戻りません。今回は相当こたえたようです。」
実を言うと少し前にゴルドに子爵家の次女の見合い話があったのだ。
貴族同士の結婚は家が決める物で、見合いの話が来た=結婚となるのが普通なのだ。
ゴルドも喜び取り寄せた子爵家二女の似顔絵を前に舞い上がっていた。
まだ10代後半のそれなりに可愛い感じの娘で、自分がこのような20にもなっていない娘と結婚してもいいのか、とニヤニヤしながら困ったふりをしていた。
正直、俺もカージャ達もウザイと思いながら、ゴルドとの結婚に踏み切った子爵家に称賛を送り、真の勇者の家系なのではないかと話を弾ませていた。
だが、子爵は勇気ある人でも、その娘は普通の人だった。
ゴルドとの結婚を嫌がり、家と縁を切ってでも結婚しないと言い張ったのだ。
これには子爵も困り、まだ本決まりでなかった事もあり、結婚はあっさり流れた。
ほぼ、確定の流れをひっくり返したゴルドの底力に恐れを抱くとともに、この男だけが何故か辛い試練ばかり与えられている事を哀れに思う。
もしかして、本当に前世では大悪党でその償いのために、今の世で罰を受けているのかもしれない。
そして、ゴルドは旅に出た。
探さないで下さいと書かれたメモを残して・・・。
「まぁ、心配せずとも奴は勇者じゃ。いい大人でもあるし、そのうちひょっこり帰ってくるじゃろ。」
キースは余り心配はしていない。
かくいう俺もそれほど心配しているわけではない。
奴はいるだけで何かやらかす才能を秘めている。
是非、やらかす時は見ておきたいので、近くにいて欲しいのだけだ。
俺のこの望みはしばらくしたのちに叶う望みだった。
それが分かるのはもう少し先の話・・・。




