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困った時は・・・

G達の移動速度は尋常じゃ無いほど速い。

道の分かっている1~10階層を2時間ほどで走破し、その先の威力偵察を行っている。

朝、様子を見に行くと16階層あたりの半分ほどまで探索を完了していた。

中々順調そうだが、11階層から沼の通路になった事を考えれば、20階層を超えてどうなるかだ。

21階層への階段か扉を発見したら待機するように命じ家に戻った。


赤ちゃん達と遊び、昼飯を取った後に来てみると21階層への階段前でG達が待機していた。

その様はまるで黒い壁が蠢いてるようで食事前に見ていたら確実に食欲が無くなっているほど気色が悪かった。


「それじゃあ、まずは10億匹ほど21階層へ進め!残りは待機だ!」


あらわれたのは一面の銀世界。

雪山だ!

すぐに撤退を命じたが、既に3億匹ほど寒さで動けずにお亡くなりになっていた。


やはりこの迷宮のマスターは頭がいい。

罠をクリアしても次にクリアできるモンスの苦手な部分をついてくる。

そうやって確実にこちらの手駒を減らし消耗を誘うのだ。

しかも、フィールドダンジョンのお陰で追加の援軍もすぐには来ない。

形勢が逆転したと思ったら一気に食い破るつもりなのだろう。

実に有効な手だ。




俺、以外にはな。

砂糖吸収で無尽蔵のDPが確保できる俺に息切れは無い。

少しづつでも着実に追い詰めればこちらの勝利は動かない。


まずは沼地の迷路を完全攻略する。

通路幅のいかだを作り、その下に発砲スチロールを付け浮力を強化させた足場とし、沼地の通路を埋め尽くすつもりだ。

時間はかかるが、これで完全に底なし沼を無効化出来る。


俺は新たに工作部隊と、輸送部隊を編成する事にした。

手先が器用なレプラコーンを1万体、それに手先もわりと器用で力仕事が出来るサイクロプスを500体、これを工作兵として敵ダンジョン前に行かせる。

サイクロプスに山のようにつかまり揺られながらレプラコーン達が敵地を目指す。


サイクロプスたちを見送り、次に輸送部隊を編成する。

此方は足の速いゴブリンライダー1000体と力仕事用のサイクロプスが100体だ。

ゴブリンライダーには全員に収納の腕輪をつけさせ、俺が購入した材木と発泡スチロールをサイクロプスに詰めさせる。

ある程度、詰め込んだら永遠とピストン輸送で材料を前線に送るつもりだ。


夕暮れどきには工作部隊と材料が前線に届き、人魂達が自らの体で闇を照らす中、レプラコーン達が賢明に通路幅の特殊イカダを作成する。

こいつらはロボットのように眠らないため作業速度は尋常じゃない。


俺は1階層を改装し大型の資材置き場を作り、そこに山ほど材料を買い込み対応した。

次の日の朝に材料の補充のため訪れると既に11階層の3分の2ほどがイカダで埋まっている。

この調子なら1日で2階層近くは無力化出来るだろう。

案の定1週間かからず沼地の無効化に成功した。


いよいよ雪山に侵攻する。

が、その前に一つ実験をする事にした。

やるのは雪崩の実験だ。

以前、対魔王軍戦の際に作った爆弾で雪崩が起こせるのか?

そして雪崩が起きた後の雪山はどうなるのかを調べるのだ。

どこかで見たような樽型爆弾を300個ほどリビングアーマー達に仕掛けさせる。

そして20階層へ退避した後に一斉爆破だ。


階段に集まったリビングアーマー達が目の無い瞳で見つめる中、実験は行われた。

階段まで爆風で雪が飛び込んでくる。

爆発音が収まり念のために10分ほど待ってから21階層に踏み込むと雪崩の跡は微塵もなかった。

考えられる事はダンジョン壁等と一緒で雪崩とかは起きないのだろう。


イマイチすっきりしないがこれでは地下に雪洞を掘るという事は出来ない。

それと、雪山なのだが上と下のどちらに次の階層への階段があるかという事が分からない。



「もうエンに任せたら?エンなら1人で勝手にクリアすると思うけど。」


昼食時に皆に相談するとキョウカから身も蓋も無い言葉が出てきた。

俺の華麗な頭脳戦をエンの力ずくでの蹂躙劇に変えるのは抵抗がある。

何より今はちょっと楽しい。


「そろそろ終わらせないと赤ちゃん達があんたの事忘れちゃうかも。」


このキョウカの一言で俺はエンに丸投げする事に決めた。


「エン、お前に敵対勢力の排除を命じる。今から行って、とりあえず31階層への階段か扉を見付けてきてくれ。」


無言で頷き背を向けるエンに感謝しつつ、俺は赤ちゃん部屋へ急いだ。

知らないうちに離乳食を食べている。

くそ!俺がいないうちに始めたんだな。

キョウカを睨むと睨み返されたので視線を逸らす。


「旦那様、離乳食になったせいで胸が張って痛いのだが吸ってくれないか?」


シスも最近ナチュラルに要求するようになってきた。

皆も慣れたのか誰も突っ込まない。


「後でな!」


「りょ、両方だぞ。痛くてしょうがないんだ。」


本当かどうか分からないが、お座成りの返答に嬉しそうにされると罪悪感が刺激される。

だが、シスの場合は絶対自分で吸えるはずだ。


「だ、旦那様~・・私もお願いね。」


リアもある日を境に胸を吸われたがるようになった。

キョウカ達はシスに原因があると思っている。


「キョウカとミーシャは大丈夫なのか?」


「私は平気よ。」


「奥方様、我慢しても胸は縮みますよ。逆に吸ってもらった方が大きくなる時があるそうです。」


「やっぱ、お願いするわ。」


胸のためなら痛みくらい我慢するのか・・・病気になったらどうするつもりだ。


「あたいは全然痛くねーな。ローズがグビグビ飲むせいだ!」


ミーシャは平気そうだ。

確かにローズは一番遅く生まれたのに既につかまり立ちして少し歩く。

言葉も「まんま」だけ覚えてご飯を要求する。

魔人だから成長が早いのかと思ってたが、人一倍食べるから成長が早いのかもしれない。


一緒にいた子供組とおやつを食べ、赤ちゃん達がお昼寝の時間になったので、俺はコアルームに様子を見に戻った。

既にエンが31階層へ続く扉の前で仁王立ちしている。


「エン・・行け!」


俺の号令に従い31階層への階段に歩を進めるエン。

分かってはいたが、やるせない・・。

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