地下迷宮
「ミーシャ、一階層に降りて壁を攻撃してみてくれ!壊れても壊れなくても作戦変更だ一度戻るんだ!それと竜牙兵はそのまま待機だ!」
ミーシャが階段を下ると迷路になっている。
いつものように腕を振るうが壁はビクともしない。
全てダンジョン壁になっているようだ。
「G部隊100億は敵地下ダンジョン入り口前まで侵攻し竜牙兵と合流しろ!」
ダンジョンに戻って来たミーシャを回収する。
「チビ助、あれはどういう事だ?」
「儂が知るわけなかろう。」
「あそこのダンジョンマスターってどんな奴だ?」
「あそこか・・・う~ん、たしかエルフの女じゃったはずじゃ。エルフだからドワーフみたいに地下には潜らないと思っとたんじゃが。」
よくある地下も地上もダンジョン化出来る能力か・・・面倒だな。
「ミーシャ、1階層の雰囲気はどんなかんじだった?」
「う~ん、敵がいない感じがしたなぁ。気配ってやつか?あたいはなんとなく分かるんだけど全然しなかったな。」
敵がいない・・・罠があるのか?
生き物がいたらマズイような罠なら確かにモンスを配置したりしないだろう。
それか、感知できなくらいの敵の場合はどうだ?
「ミーシャって1階層のG達の気配って分かるの?」
「ん・・まぁな。」
分かるか、やろうと思えば出来るって事だ。
「チビ助、ダンジョンって何階層まで作れるんだ?」
「999階層じゃ。666階層を超えて作ると地獄のダンジョンの称号が付くぞ。」
地獄ってLv5のコアのことだよな。
「チビ助、お前このダンジョンはLv4だって言ってたよな。何故それを知ってるんだ?」
「儂は監査官じゃからの基本的な情報は見れるのじゃ。」
ドヤ語で胸を張られても困るな。
「Lv4になるには何階層必要だ?」
「300階層じゃ。じゃがフィールドダンジョンの場合は300キロ四方だったはずじゃ。それに試作品じゃからどうなっているか儂も知らんぞ。」
何気にポロポロ需要な情報落とすけど大丈夫か、このチビ。
「よし、正攻法でいく事にする。Gを1000億匹召喚して明日の朝から威力偵察する。」
「え~、あたいはどうすんのさ!」
「ミーシャ、今回は本当にマズイ、頼むから堪えてくれ。」
「ん~、じゃあ、貸し一つだからな。忘れるなよシリアス!」
「キョウカ、皆を家の方に頼む。」
「わかったわよ。じゃあ、皆うちに戻るわよ!」
キョウカに引き連られて皆が家に戻った後、俺はGを1000億匹召喚し、900億匹に相手の地下ダンジョン前で待機するよう伝えた。
イナゴの大軍のようにあるGは地上を、あるGは空を飛び目的地に向かう。
スクリーンに砂をまいたようなGの大移動が移る中、俺は更にモンスを召喚する。
翌日
500億匹を地上に待機させ、500億匹を突入させる。
黒い水のようにG達が飲み込まれていき、数の力で次々と階層を踏破する。
だが、10階層に到達した時点で異変が起きる。
皆バタバタとひっくり返り動かなくなる。
確認すると皆お亡くなりになっている。
間違い無い!
俺と同じようにに酸素濃度を調整してるか細菌兵器をバラまいているかのどちらかだろう。
「リビングアーマー部隊、出撃!敵地下ダンジョン入り口前で待機しろ!」
俺は召喚しておいたリビングアーマー1万体を出撃させる。
ガシャガシャ動くこいつらは凄く遅い入り口に到達するまで2日はかかるだろう。
その間に確認のため人魂部隊を100匹ほど迷宮に送り込む。
細菌兵器ならこいつらは平気だろうが酸素濃度を弄られてたら、恐らく炎が消える。
俺の予想通りに突入した人魂部隊は1階層を100メートルも進まないうちに消えてお亡くなりになった。
2日後の昼頃、リビングアーマーの部隊が到着した。
確認のために人魂部隊を100匹ほど侵入させるも、やはり炎が消える。
もはや完全に閉じこもってしまったようだ。
「リビングアーマー部隊は10階層までの探索を開始!迷路が変わっていないか確認しろ!階下に降りる際には20体は残していけ!」
昼食に呼びにタカトとアイカをつれたキョウカが来た。
ニコニコ顔の赤ちゃんに俺の顔もほころぶ。
「もう、面倒だったら監視だけして、そのままにしたら?別に地上とつながらなくても問題ないんでしょ?」
問題は無いが常に監視し続ける必要がある。
なにより子供達に危険が及ぶ可能性があるなら潰すべきだし、必ず潰す!
俺がそう宣言するとキョウカも困った顔をする。
こいつは気が強そうで弱い。
危険があると尻込みするし、時折する過激な発言も敵を恐れてのものだ。
不安な気持ちで毎日を送らせるわけにはいかない。
昼食を終え、少し赤ちゃんと遊んでから戻ると間もなく10階層に到達するところだった。
迷路に変更は無く敵もいない。
俺の迷宮の2~7階層と同じ作りだ。
つまりここには俺と同じ現代の日本人と同じだけの知恵を持つ者がいるという事だ。
知識は力だ。
それにより地球では人が覇を唱えている。
中世レベルの知識ならいくらでも付け入る隙はあるが、同じ知識では発想と相手の隙をついた行動が鍵を握る。
10階層を抜けると案の定、泥沼の湿地帯が広がっている。
これは想定内だ。
俺でもそうする。
生きている物で10階層を抜けられるものはいない。
なら、その後の階層には命の無い者でも仕留められる罠を張る。
つまり、底なし沼だ。
先頭に立つリビングアーマーにロープを付けた盾を沼地に放らせる。
思った通りドンドン沈み、20メートルのロープでは底に届かない。
だが、ここに沼があるという事はこの先に酸素濃度を下げた地帯がある可能性は限りなく低い。
つまり、ここまでG達を持ってくる事が出来れば勝ち筋が見えるということだ。
「リビングアーマー部隊はシルフを解放しろ!シルフ達は空気の調整を行え!」
これが俺の奥の手だ。
以前、俺の罠を掻い潜った冒険者達がいた。
どうやって防いだのかを考えるため奴等を観察していた時に珍しくエルフがパーティー内にいたのだ。
そこから実験と考察を重ね、シルフ等の空気に干渉出来る精霊を使えば酸素濃度が低下した場所でも動けるのを発見していた。
恐らくは元々、高い山々で活動するべき時の技なのか、毒の含んだ空気を回避するための技なのだろう。
これにより1~10階層までに酸素が戻る。
「さて、俺のG達よ!進軍しろ!!!」
残っていた500億のG達が迷宮になだれ込んでいく。
まだ、かかりそうだが、入り口の罠はこれでいいだろう。
俺は一度、家に戻り休息を取ることにした。
そろそろ赤ん坊達の相手をしないと顔を忘れられても困るからな。
俺は誰からくすぐろうかと考えながら家路に急いだ。
知らない間にブックマークと評価が凄い増えてました。
最近は書いて投稿に追われていたため全然気づきませんでした。
ありがとうございます。




