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夢の浪漫砲

「待て!ミーシャ!待ってくれ!」


喜び勇んで戦いに出掛けようとするミーシャを寸前のところで止める。

俺は気付いた。

気付いてしまったんだ。



「先に俺のロボを出陣させる!」


天井のあるダンジョンでは運用が出来なかったロボだが、天井の無いフィールドダンジョンなら運用は可能だ!


「どうやって持っていくの?」


キョウカの疑問に俺も頭を悩ます。


「もう、めんどくさいから、あたいが行っていいだろ!」


焦れて戦いに行きたがるミーシャを抱き締め封じながら考える。

閃いた!

エンの収納の腕輪に一度収納し、敵ダンジョンに行ってもらい、そこで俺のロボを出そう。

早速エンを呼び戻し、特攻パイロットの竜牙兵も呼び出す。

2人を入り口付近に転送し敵ダンジョンへの侵入を見守る。


エンが俺のロボを取り出し、竜牙兵が乗り込むと動き出した。

18メートルの巨大ゴーレムロボだ。

嫁達と子供組から驚きの声があがる。

散々、馬鹿にしていたキョウカも目を丸くしている。


動きは決して早く無いが疲れ知らずで24時間戦闘が可能。

馬鹿みたいな力と鉄壁の防御力を誇り、見た目リアル系、中身はスーパーなロボだ!

大股に該当エリアに進んで行くが速度が微妙だ。

デカいから一歩が大きいのだが如何せん動作が遅い。

最大戦速40キロといったところか?

コアルームがあるとおぼしき樹海まで200キロくらいあるが、昼前くらいには着くだろう。


懸命に移動するロボを見送り、昼飯はコアルームで戦闘を見ながら食べる事で意見が一致した。


スクリーン前のソファーセットが微妙なのでどかし、床を畳敷きにしデカい机を並べた。

料理は宴会用にして赤ちゃん達もつれてきており、非常に賑やかだ。


いきなり泣き出すとあれなので音量を少し下げ、皆でロボの勇士を見守る。

人魂部隊はロボの到着に合わせ撤収しており、周りは燻ぶった煙を上げる荒野だけだ。


「竜牙兵、攻撃を開始しろ!」


俺の号令に巨体に見合った巨大剣で樹海に切りかかる。

バリバリと音がしてドーム状の結界があらわれ一瞬抵抗するが、ロボの質量兵器はお構いなしにそれを叩き壊した。

スゲー!光〇力研究所のバリアみたいだ!!!

そのまま前に進もうとすると耳をつんざくような唸り声と共に、前方の樹海が爆ぜ、巨大な竜が姿をあらわす。

見た目はキング〇ドラを黒くして手を生やしたようなフォルムだ。

胴体部分だけ見ればロボより小さいが首の長さを入れたらロボよりデカい!


その混合竜とも呼ぶべき化け物がロボに襲い掛かった!

3つの頭がそれぞれ別方向から襲い喰らいつくが、紙装甲の2号機と違いこっちは動きが鈍るほどの重装甲だ。


竜の顎等物ともせずに大剣を振るう。

だが、切れ味より質量兵器としてを重視したせいか竜を弾き飛ばすだけの結果に終わった。


これにより接近戦は不利と悟った混合竜は空に飛び立ち、ロボの弱点の機動性で勝負を仕掛けた。

ロボの周りを旋回し3つの頭それぞれからブレスを吐く!


手に汗握る展開に嫁も子供も大興奮だ!


何発ものブレスをくらい、そのたびに大きく揺れるロボに嫁と子供の悲鳴が重なる。

よく見るとへこみすらないのだが、攻撃を受けるとダメージを負っているように見えるから不思議だ。


大地を削ったブレスの穴に足を取られたロボが尻もちをつくような形で倒れ、そこをチャンスと見た混合竜が3頭同時にブレスを吐く!

流石にちょっとヤバいかなと思っていると、ロボから巨大な光の奔流が放たれ混合竜の片翼と片腕を消し飛ばした!

ついに使ったのか!

使い捨ての浪漫砲を!

バランスを崩し地面に墜落した竜に馬乗りになり殴り始めるロボ!

機動性を奪われた混合竜にもはや勝ち目は無い。


「頭を潰すのよ!!!」


キョウカの恐ろしい掛け声に呼応するかの如く、頭を掴んだロボがその握力だけで握り潰す。

考えていたのと違う戦い方に愕然とするが、まずは勝つ事だ。

握り潰しが有効と考えたのだろう。

そこからは虐殺劇のような展開だった。

掴んで握り潰して毟る。

拷問のような戦い方に血を流しながら泣き叫ぶ混合竜。

次第に抵抗する力を失い、混合竜の血で真赤に染まったロボが仁王立ちになる。

これではイメージしていたロボでは無く、敵の親玉のようだ。


「流石ね。」


だが、この勝利でもキョウカは満足したようだ。


「そのまま、蹂躙するのよ!!!」


まるで自分の物のように号令をかけ、それに従う竜牙兵。


「ま、待て!ミーシャの分が無くなる!」


俺の停止命令にハタと気付き、ばつの悪そうな表情をするキョウカ。

こうして俺のロボの戦いは終わった。

終わって見ればロボの被害は無く、圧勝に近かったが、見応えのある戦いだった。


ミーシャに飯を食ったら行くかと聞くと、今日はこのまま祝杯を挙げて明日の朝から行きたいと言うので、ロボを現場に待機させ1日過ごす事にした。


昼食の話題はロボ対混合竜の一戦だけとなり話も弾んだ。

キョウカからロボ開発の許しが出たのが一番の成果だ。


子供達がロボに興味を示すのでソフビの人形を買ってやり与えたところ、

俺のロボより格好がいいと言われ、次はこれを作れとグイグイ押された。


翌日、朝食後にミーシャが敵のコアルームに向かう。

ローズにおっぱいも飲ませてもはや万全の態勢だ。

ロボで5時間以上かかった距離も、ミーシャなら全力じゃないのに5分とかからず到着だ。


見られているのが分っているせいか手を振っている。

だが、甘いな。

俺は揺れる巨大山脈をスクリーンに大写しにしているのだ。


樹海の中に入り混合竜が出てきた穴を降りると大部屋になっており奥に扉が見える。

ミーシャが扉を吹き飛ばすように開けると、そこには、



地下に続く階段が姿を表した。

どうやら、このダンジョンの終わりはまだ先らしい・・・。


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