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悲惨な話は好きじゃ無いのでばらしますが広いんです。


目が覚めると私は捕まっていた。

目隠しをされ、両手が上に繋がれている。


「リア!リア!いるの?無事?」


すぐに相棒の魔法使いを呼ぶ。

不安に思う前に私の横からリアの声がした。


「シス?私は大丈夫。とは言い難いけど生きてるわ。」


安堵のため息をつくとリアが再度口を開く。


「私達、捕まったのね・・・。」


彼女のその言葉で部屋での記憶を思い出す。

2人で探索中に小部屋を見付けた。

戦いはなかったが、少し休憩をしようと踏み込むと途端に眩暈がしてそれっきりだ。

あの小部屋は罠だったのだ。

もっと慎重に行動していたら・・・後悔の念がたえない。


「私は目隠しをされて手を上で繋がれてるようだ。リアの方はどうなってる?」


「私も同じ、それと服が・・・。」


リアのその一言で自分の状況を再度確認する。

確認すると言っても見えないため感覚によるものだが・・・。

私は無駄にでかい胸をおさえるために金属鎧をつけている。

そのため鎧をつけると胸の圧迫感が凄いのだが、今は何も感じない。


「そうだな・・・。私も鎧を脱がされてる・・・。」


私達を捕らえた者が脱がしたのだろう。

そうすると敵は人間の可能性が高い。

ダンジョン内の敵はモンスターだけとは限らない。

盗賊の輩が冒険者を罠にはめ、金品を強奪したりもする。

女の場合は更に体も奪われる。

それでも生きて解放してくれるなら、まだ救いがある。

証拠隠滅のためそのまま殺される事の方が圧倒的に多い。


「起きたみたいだね。」


私達が沈んでいると男が突然話しかけてきた。

盗賊の類にしては声が若々しく粗野な感じがしない。


「お前は誰だ?何故私達を捕らえた?」


「ん~・・・・先にこっちの質問に答えて欲しいんだけど。君達は誰で、何しに来たの?目的とどうやって来たか教えてくれないかな。」


「な、なにを言って「私達は冒険者です。貴方は盗賊なのですか?」。」


リアが話しを遮って質問してきた。

確かに盗賊にしては妙な雰囲気だ。


「いや、盗賊じゃないよ。そもそも盗賊って旅人襲ったりする奴等だろ?こんなとこにも盗賊出るの?」


「迷宮での盗賊とは冒険者を襲い金品を奪う者達の総称です。」


「あっ!なら違うね。俺は盗賊じゃ無いよ。それで俺の質問には答えてくれるかな?」


「あっはい。私は冒険者でリアといいます。彼女は「シスだ!私も冒険者だ。冒険者の目的は迷宮の探索と魔物の間引きしかないだろ。」」


「どうやってここに来たの?」


「どうやってって、小部屋に入ったら「ああ、違う違う。どうやって迷宮に入ってきたの?」。」


この男は何を言ってるんだ?


「冒険者なんだからダンジョンゲートをくぐったに決まってるだろ。他にダンジョンに来る方法があるのか?」


「いや、俺の国にはダンジョンゲートなんて無かったからね。」


ダンジョンゲートが無い?

事故でダンジョンに紛れ込んだ一般人なのか?


「なぁ、君に危害を加えるつもりは無い。だから拘束を解いてくれないか?なんだったら地上まで護衛する。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「信じてくれないか。約束は必ず守る。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「あ、あの・・・目隠しを取って頂けませんか?」


黙り込む男にリアが遠慮がちに目隠しをとって欲しいとお願いする。


「ああ、考え事をしていた。目隠しくらいならいいよ。ちょっと待って。」


少し間が空いて目隠しをとってくれた。

目を開けると光が飛び込んできて目が眩む。

薄目を開けながら男を見ると男もこちらを見ていた。


身長は私より若干高目で細めだがガリガリではなく、ほどよく鍛えられた体格をしていた。

年齢はようやく成人したくらいで、青年というより少年といった方が相応しい。

幼さの残るその顔は黒目黒髪で、かなり整っており見詰められると顔が熱くなる。

少年の視線を追って目線を下げると下着姿の自分の体が目に入る。

吊り下げられてるわけではないが、手を上にあげた状態なので無駄におおきな胸を突き出しているように見えて急に恥ずかしくなった。


「そ、その・・・あまり見られると恥ずかしいのだが・・・。」


横を見るとリアは赤い顔をして呆けたように少年を見ている。


「今更な感じだけど。」


少年が苦笑すると思わずドキッとしてしまう。


「2人に提案があるんだけど、聞いてくれるかな?」


「な、なんでしょうか?」


上擦った声でリアが口を挟む。


「2人の今後についてだ。」


「君達には3つ選択肢がある。」


少年が私達に見えるように指を3本あげて見せる。


「1つ目の選択肢。ここで痛みも無く死ぬ。」


少年が指を1本曲げる。


「2つ目の選択肢。オーク共の苗床になり一生を過ごす。」


更に少年が指を1本曲げる。


「最後の選択肢。俺に協力し人類と敵対する。」


少年が最後の指を曲げた。


「俺はこの迷宮のダンジョンマスターだ。」


死の宣告のように少年の声が響く。

部屋が一気に暗くなったように感じる。


「・・・考える時間が必要だよね。俺としては3番目を選択して欲しい。・・・1時間ほど席を外すから戻ってきたら答えを聞かせてよ。」


そう少年は言い残し部屋を後にした。

絶望に彩られる私達を残して。


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