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モテ期到来

それにしても、あいつ良くつかまるなぁ。

周り全てが敵なのか。

どんな修羅の人生、歩んでるんだよ。


カージャとキースから聞いた話の素直な感想だった。


「ぶっちゃけ、生きてると思うか?」


俺の質問に首を傾げたカージャが重々しく口を開く。


「恐らくは・・・その場で殺されなかったという事は、生きている可能性が高いと思います。」


だよな・・。

どうすっかなぁ・・・。


「私が行きましょう!その間キースは死刑囚の管理を。」


「儂も行った方がよくないか?」


「ですが、それをすると王女方へチョコの供給が止まります。止まれば原因を作ったゴルドが糾弾されかねません。」


「行くとしていつ出発する?」


「明日には出発したいですね。勇者によるオーク討伐の失敗等恥でもありますから、早急に終わらせる必要があります。」


「わかった。明日、出発前に来てくれ。俺も何か出来ないか考えておく。」







「おい、アリス!モンス迷宮の外に出す方法知らないか?」


赤ちゃん部屋で嫁達と駄弁っているアリスをつかまえて聞いてみた。


「なに貴方、スタンピードでもやる気なの?」


「ちょっと、あんた!何する気よ!」


怒りの化身が口を挟んできた。

ゴルドがオーク討伐で失敗し連れ去られ、明日カージャが助けに行く事を話す。


「我々なら外に出られますが?」


アン達が口を挟むが外に出したいのは強烈な戦闘力を持つ奴だ。


「スタンピードならDPストアで専用の券を買えば出来るわよ。1枚で指定するモンスターを何体でも10日、外に出せるわ。」


「10日過ぎたら外に出したモンスはどうなる?」


「迷宮産のモンスターは勝手に戻されるわね。生きていればだけど。」


「・・・・エンを派遣しようと思う。・・・何か意見はあるか?」


「あたいが行きたい!」


意見を求めるとシュビ!とミーシャが手を上げてとんでもない事を言いだす。


「当然、却下だ!」


「なんでだよー!あたいも暴れたい!」


ジタバタするが絶対だめだ!


「ミーシャ、そろそろ酒を解禁しよう。みんなで祝杯あげようぜ。泥酔するまで飲むのは駄目だけど、それで我慢してくれよ?」


「う~・・・じゃあ、酒はあたいが選ぶぞ!」


「酒精が高い奴以外なら何でもいいぞ!」


力では絶対敵わないので、必死に説得する。

なんだかんだ言ってミーシャは俺のいう事を聞いてくれる。

それとスピリタス系は流石に駄目だ。


その日の夕食後は赤ん坊をシルキーに任せ、久々に皆で飲むことにした。

ここで初めて俺の買っておいた粉ミルクと哺乳瓶が日の目を見た。


ミーシャは嫁達と共に楽しそうに酒を選び、200DPほどのシャンパン3本と400DPほどのウイスキーを1本、選択した。

初めて俺達の酒を飲むダークエルフ達が目を丸くする。

円換算で20万のシャンパンと40万のウイスキーだ不味いわけがない。

俺はシャンパンを1杯だけ飲むとその後はウイスキーをストレートでチビチビ飲んでいた。

ミーシャがパカパカ、ウイスキーをあけるので飲みすぎに目を光らせる。

アンとボナはウイスキーをラキッシュはシャンパンを気に入り順調に杯を重ねていく。


しばらく楽しい時間を過ごすと、ステータスの高いキョウカとミーシャ以外が寝てしまったので、

皆を各自の寝室に運び3人だけで飲み直す。



次の日、小部屋に来たカージャとキースに俺も援軍を送り出す事を告げる。


「スタンピードですか?」


「そうだ、それを使い俺の手勢をカージャに同行させる。同行できる日数は10日だから、それまでにオークの集落を攻撃してくれ。」


「それは、こちらも早急に片付けたい話なので可能ですが、目立ちませんか?」


「ゴーレム1体とGが10匹だ。目立つというほど目立たんだろう。」


「はあ?それくらいならば確かに・・。」


カージャの了承を得てエンとSGを10匹転送する。

エンには予備の刀とそれを入れておくための収納の腕輪を装備させ、さらに動きを阻害しない薄い金属の全身鎧をつけさせている。

SG達は鎧の隙間に入り込んでジッとしている。

これなら遠目から見たらまるっきり人だろう。


「エンはしゃべれないから、何かあった時はカージャが助けてやって欲しい。

オークの集落が分かったらSG達でゴルドを探しながら、エンが襲撃をかければ基本大丈夫なはずだ。」


「それでは力をお借りします。」


目礼してカージャとエンがオーク討伐に向かった。


「それでは、儂は2人が不在の間、仕事を頑張ろうかのう。」


「キースにも頼みたいことがある。・・・・・・」


キースに頼んだのはゴルド不在の間の娼婦達の行動を調べてもらう事だ。

本当にゴルドが言うように慕われてるのならいいが、

単なる金蔓としてしか見られていなければ、これ以上通わせる意味は無い。





私達は今、ゴルド救出のために急ぎオークの集落へ向かっている。

具体的に言えば、オークの集落近くにある駐屯地だが、そこで情報を入手してからオーク討伐へ向かうのだ。

駐屯地の方は500人ほどの兵士と騎士達が固めてオーク達と睨みあっている。


そこで得た情報では、ゴルドは亜種のオークを相手に戦っていたところ、別な亜種のオークに襲われ昏倒、その後殺されかけたが絶叫のような雄たけびが上がると、亜種のオークに肩に担がれ攫われてしまったとの事だ。


何故、攫われてしまったのか分からないが少なくとも通常種以上のオークが3匹はいる事になる。

1対1なら物の数ではないが、私は多対1で戦うのが苦手だ。

慎重に行動しなければならない。


そういえば、神より遣わされたこのゴーレムだが何かがおかしい。

金属鎧を身にまとっているのに一つも音がしない。

無音で動くために意識を向けるのを止めると見失ってしまう。

きっとゴルド救出のための隠密能力に秀でた個体なのだろう。

鑑定すると弾かれるので私より強いという事だけは分かる。


駐屯地で得た情報は多くは無い。

ゴルドが攫われた時の状況とオークの集落の規模から換算してのオークの数くらいだ。

恐らく総数が200~300でゴルドが50匹ほど駆除しているため残りは150~250だ。

亜種さえ倒せばどうとでもなる。


そして説明を受けた後、数を減らすためにも一当たりしてみる事になった。

私が1人で突入しあわよくばゴルドを助け戻る事にし、騎士10名に兵士40名の遊撃部隊を4部隊作り、オークに対し攻勢に出る。

突撃を開始するとすぐに近くにいたゴーレムの姿を見失った。

1体でゴルドを助けに行ったのかもしれない。


周囲で戦闘が始まる中、敵陣深くに突入すると1体の大柄なオークに行く手を阻まれた。

鑑定するとオーク・スレイブ・ロードと出た。

HP8万の化物だ。

だがこのくらいなら・・・私の体を見てたいていの者が誤解をする。

そんな貧相な体だと接近戦は苦手だろうと・・・。

だが、私の真骨頂は肉弾戦!

計4つの身体強化スキルの重ね掛けにより瞬間的にHP30万相当の膂力になるのだ!

すれ違いざま亜種の首をねじ折り、更に奥を目指す。


戦闘の喧騒が周りか消え、オークの防衛線を抜けた事が分かる。

不気味な静寂の中を進むが突然2体のオークに左右から攻撃される。

1つは躱したが、もう1体の棍棒が左腕を直撃しダメージを負ってしまう。

切られたわけでも無いのに指先から血がしたたり落ちる。

折れた骨が皮膚を突き破っているせいだ。


鑑定すると2体ともオーク・キングと出た。

HPは双方とも25万越え!

最悪だ!

1体ならともかく、このレベルの相手が2体だとマズイ。

一旦引くべきかと考え、逃走経路を頭の中ではじき出す。

体の重心を落とし、何があってもすぐに動き出せるように爪先に力を入れる。

2体の化物がこちらに動き出そうとした瞬間、化物の首が落ちた。

血が噴水のように上がり首なしの死体が倒れると、そこにあのゴーレムがいた。

バックアタックで急所をついて一撃で殺したのだろう。

凄まじい能力だ。


「助かりました。流石、神から遣わされたゴーレムですね。・・・くっ!」


突き出た骨を無理矢理正常な位置に戻し、光魔法で治療をする。

失った血は戻せないが、これでまだ戦える。

私が治療を終えるとゴーレムは右手に持った刀で前方の一点を指し示した。


「あそこにゴルドがいるのですか?」


無言で頷く頼もしい相棒に笑いかけ、慌てて気を引き締める。

気配を殺しながら進む私の前を無造作にゴーレムが歩を進める。

気負いも何も無く、ただ散歩するように・・・。


辺りを見ると血だまりがあり、そこに先ほどと同じオーク・キングらしきものが数体横たわっている。

もちろん首が無い。


ゴーレムが向かう先はこの集落で一際大きな家。

いや、家というより掘立小屋か・・・とにかく大きさだけは大きい。

扉も無い入り口をくぐると、隠れていたオーク・キングが数体不意打ちをかけてきた。

だが、ゴーレムの片手がブレると首が羽飛んだ。

な、なんだこれは・・・オーク・キングがまるで相手になっていない。

更に薄暗い通路を進むと嫌な匂いの充満する大きな部屋に出た。


そこにいたのは上位個体のオーク達。

鑑定すると4体のうちの3体はオーク・クイーン、HP28万。

一際でかい1体はオーク・クラブ・クイーン、HPは見えない!


そして、オーク・クラブ・クイーンの横に鉄格子の檻があり、中にゴルドが・・・。


「か、カージャか!助けてくれー!!!」


クイーン達が熱い眼差しをゴルドに送ってる。

オークは他種族の女を攫って繁殖をしたりする。

となれば、このメスのオーク達はゴルドを繁殖相手に選んだのか。

お気に入りの雄だから自分の横に置いているのか。


敵は4体、あのゴーレムの戦闘力からすれば只のクイーンの方は楽勝だろう。


残りの1体をけん制しつつゴルドを回収して逃げるか?

決意を新たに前を向くと、ゴーレムの片手が再びブレる。

次の瞬間4体のオークの首が吹き飛び、檻が寸断された。


再びこちらに向き直ったゴーレムが剣先をゴルドに向ける。

早く助けろということだろう。

唖然とするゴルドが自力で檻から出てきた。


心なしか以前より太ってる気がする。


「同志ゴルド・・・以前より太って無いか?」


「ああ、うん・・・何故か食い物はふんだんに与えられたのだ。もしかしたら太らせてから食うつもりだったのかもしれん。」


それなら、もう食われてるだろう。



「・・・・というわけでゴルドを無事に助け出せました。ご協力を感謝します。」


「まぁ、ある意味ゴルド改造計画は成功したんだな。それでキースの方はどうだった?」


「駄目じゃ。皆子持ちで結婚しとる。娼婦になっとるのも夫が病気だったり怪我だったりでしとるだけだ。」


「なんの話ですか?」


「例の娼館の娼婦がゴルドをどう思ってるか探りを入れたんだよ。

まさか独身が1人もいないとは思わなかったが・・・まぁ仕方が無いそのままゴルドに真実を伝えよう。」


「大丈夫でしょうか?」


「平気だ。奴は打たれ強い。次は本番で結婚相手を狙うと言えばすぐに立ち直る。」


「相手がいませんが・・・。」


「スー王女はどうだ?」


「無理です。下手をしたらその場で殺されますよ。」


「駄目かな?今が好感度最低だから後は上がるしか無いと思うんだが・・・・。」


「甘いですね。マイナスになるだけです。」


「じゃあ、しばらく風呂を徹底させて様子を見るよう伝えよう。」


「それが無難ですね。」


こうしてゴルド改造計画は一応の成果を残し、お蔵入りした。


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