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ゴルド改造計画


ゴルドの奇跡(失敗)と呼ばれた騒動から半年が過ぎたころ、俺達は赤ん坊の部屋に入り浸っていた。

ハイハイが出来る様になり動くようになったので見ているだけで楽しくて仕方が無いのだ。

特にローズは遅れて生まれた割には成長が早く既にハイハイが一番早い。

ミーシャの高いステータスを反映しているのだろう。


子供組も良く訪れて見に来るのでお姉さんとしての自覚が出たのかもしれない。

赤ん坊達にはメメが大人気でメメが来ると追いかけまわしている。

メメもそれが楽しいらしく、ゆっくりフワフワと赤ちゃん部屋を移動する姿がよく見かけられる。


だが、そんな楽しい赤ちゃん部屋だが1日に数回修羅場が訪れる。

それは、おっぱいの時間だ。

1人が愚図り出すと思いだしたかのように後の4人も愚図りだし、一斉におっぱいの時間になるのだ。

特に双子のキョウカが大変なのだが、最近は2人同時に抱いて飲ませる技を会得している。

それに伴い皆の胸が大きくなった。

全員今はカップ数が1サイズ大きくなっており、キョウカにいたっては2サイズアップだ。

以前のリアに匹敵する胸になったキョウカだがニヤニヤしながら肩がこると言っている。


「出産後は一時的に大きくなりますが、だいたいは元に戻ります。一部戻らない人もいますが体質ですね。」


これはボナの言葉だ。

この話を聞いて皆が安堵したが、キョウカだけが不安がり、バストアップ体操等の本の怪しい技術をやっている。


俺にはどうでもいい話なので赤ちゃん部屋ではひたすら赤ん坊をくすぐっている。

ママより早くパパと言わせるのが、俺の密かな野望だ。

おっぱいが終わると赤ん坊は寝るのでそれまでにルーチンワークのように徘徊し、赤ん坊にパパだぞと話しかける。

最近、子供組がそれを真似しだしたが先駆者は俺だし、既にかなりのアドバンテージがあると信じたい。




俺が最近コアルームでゴルド達と話す事はどうやったらゴルドがモテる事が出来るかだ。

体格的にはデブと言うほど太っているわけでなく筋肉質で背も低く無い、頭も剥げておらず、顔もホリが深い。

言葉遣いは割と丁寧だし、機転を利かせる頭もあり、勇者で領地は無いが準男爵だ。

割と女性から見たらお買い得物件なのでは無いだろうか。


女性から見た場合の意見を求め、うちの女衆に聞いてみた。


キョウカの意見

「悪い人じゃないけど、顔面偏差値が低いのよね。それと目付きがいやらしいし・・・悪い人じゃないんだけど・・・」


ミーシャの意見

「汚ねえし、弱いから駄目なんじゃねーか?勇者のくせによく捕まってるし、やっぱ弱いから駄目なんだろ。」


リアの意見

「すみません、人として考えた事がありませんでした。・・・しいて言えば存在ですか?」


シスの意見

「あれか・・・女性の胸に固執するところは嫌だな・・・いや、やっぱり全てが嫌だな。」


アンの意見

「人では無いのだろう?ならば同じ種族同士につれあいを求めるべきではないのか。」


思ったより、こちら側の世界の女性には嫌われている。

そして、キョウカからは普段見せぬ若干の気遣いが感じられる。

これは憐みなのだろうか。




逆に俺の何がいいところかを聞いてみた。


キョウカの意見

「顔と性格じゃない?あとは頼りがいがるところかなぁ・・・。」


ミーシャの意見

「ば、馬鹿!そんな事あたいの口からいえねーよ!」


リアの意見

「一目惚れでしたので、やっぱり顔ですかね。うふふっ、それと子供みたいなところも旦那様の魅力ですよ。」


シスの意見

「そ、その・・・よく考えると一目惚れだったと思う。後は奴隷になった後も私とリアに何もしない誠実さとか、それで気付いたら目で追っていた・・・。」


ボナの意見

「やはり、主様の魅力はそのお顔ではないかと・・・初めてお目にかかった時は離れた位置にいましたが輝いているようで目が離せませんでした。」


色々あるが共通するのは顔なのか・・・。

女顔だがそれが受けるのか。

だが、ゴルドを女顔にするのは何かが違う気がする。





こうして俺のゴルド改造計画が始まった。

カージャとキースにも協力を依頼し、地上の方は2人にフォローしてもらう。


まずは小奇麗にさせる事にした。

着る服は常に洗濯したもので風呂には毎日入るように指導した。

此方の世界では風呂は一般的では無いので小部屋に小さな温泉を増設し、毎日そこで肌が擦り切れるまで洗わせた。

シャンプーとリンスも毎日させ、髪の方もカージャ行きつけの理髪師に切ってもらい時間があれば10日に一度行くようにさせる。

次に無駄に濃い体毛について、強力な脱毛クリームで脱毛させた。

これに女性に人気と書かれていた男性用香水を付けさせる。

ちなみに香水の方は俺が試して嫁達には好評だったのを厳選した。


次に指摘にあった視線だがこれはサングラスで遮り誤魔化す事にした。

以前渡したサングラスは適当なものだったが、カージャとキースを交え、いくつかの候補を絞り出し、

何種類かのサングラスを持たせ気分で変えてオシャレのアピールをさせる事にした。

これはスペアを合わせ数種類をゴルドに渡した。

ゴルドもサングラスは気に入ったようで既に毎日違う物をつけて楽しんでいる。


そして、最大の難関である顔の問題だ。

実はDPに美貌の神薬という、それらしい薬があるのだ。

ただ、その値段が100兆DP。

明らかに買わせるつもりの無い値段である。

何故、買わせるつもりが無いかというと、効果が12時間で切れるお試し版の値段が10億DPで売られているからである。

明らかにこっちで我慢しろというような値段設定だ。

普通のダンジョンマスターならこんなものにDPを使ったりしないし、10億DP貯めるのも一苦労だろう。

だが、俺なら買えるのだ。

元の世界の事など知らん、とばかりに砂糖吸収を行っているので100兆は無理でも10億なら問題無い。

とりあえずお試し版を3つ購入し、ゴルドに一つ飲ませる。


顔面がグニグニと蠢き、その痛みに床を転げまわるゴルド。

気色悪くてカージャとキースも近寄れない。

5分ほどで顔面の整形を終え立ち上がると、そこにはなんと言っていいか分からないゴルドがいた。

一言で言うなら綺麗なゴルド。

間違い無く顔面偏差値は上がっている。

上がっているが、骨格が変わっていないので、どうもシックリこないのだ。

カージャとキースも同じ意見だったが、とりあえず町に出て実験してみる事にした。


実験場所は夜の社交場ともいえる、高級な娼館で酒場も併設されており、

飲んで気に入ればそのままお持ち帰りのよくあるシステムの場所だ。


流石に新婚のカージャがそこに行くのはマズイので行くのはキースとゴルドだけだ。

ゴルドに念のために試薬を2本渡し送り出す。



翌日、晴れやかな顔のゴルドがキースと小部屋にあらわれる。

俺とカージャは計画の結果報告をキースにせかせた。


「儂とゴルドで娼館に行くと、まずは入場料を払い酒場の方に通された。

流石、高級娼館だけあって入場料も高額じゃった。が、ついたおなごもそれに見合う美しい娘じゃった。」


「そうなのか・・先に入場料取るんだな。」


「うむ、それで酒は飲み放題じゃ。おなごが気に入らねばそれで帰ってもいいが、店側が損をしないようにそうなっとる。」


「それで、どうなりました。」


「酒を頼んで席に着くと、おなごが2人やってきてまずは話をする。

入場料は店側の取り分で娼婦の取り分はここで決まる。

つまり高級とは言ってもおなごが惚れたら安くなるという事じゃな。」


「もめごととか起きないのか?」


「もめごと処理は入場料に入っておる。明朗会計じゃから高級店でも人気はでるのだろう。」


「なるほどな。それで、どうなった。」


「ゴルドの奴はサングラスをかけていたが胸を見るときに頭が下がるのでプロにはバレておると思う。

じゃが、むこうはそれが仕事じゃ。嫌な顔一つせずにゴルドの相手をしておった。」


「頭を下げる仕草でバレますか・・・今後の課題の一つですね。」


「ゴルドの奴は口だけは上手い。しばらくすると他のおなごもやってきて両手に花の状態になった。

最終的には左右2人づつの4人じゃな。儂は邪魔だからついてくれたおなごと一緒に席を移ったがの。」


「ゴルドのくせに、やるじゃねーか!」


「そこからは私が話そう。私はその後4人の女性と酒を飲みながら楽しくおしゃべりをし、また来る事を約束して別れたのだ。」


「・・・・・・・・・・それだけ?」


「むろん、彼女達には彼女達の1日分に相当する金銭を払ってきた。

勇者だと言った時の彼女らの潤んだ瞳が私を紳士にしたのだ。」


「・・・・・どう思う?」


「微妙ですね・・・最悪、金蔓にされそうな気がします。」


「いや、大丈夫じゃろ。おなご達は皆ゴルドに夢中なようじゃったぞ。」


キースが大丈夫というが、こいつも浮いた噂ひとつないからなぁ・・・。


「き、今日も行くんだよな?今日は決めてこいよ!」


「そんなガツガツする必要は無いだろう。彼女達は私に夢中だ。しかし約束しているから今日も行かねばなるまい。」


こっちの世界って女の方もガツガツしてるはずだが、娼館は違うのか。


「いや、駄目だ!キースも一緒に行くんだよな?ゴルドに必ず今日決めさせろ!なにか嫌な予感がする。ほら、これ試薬だ2本やるから持っていけ!」


「友は心配性だな・・。有難く頂いていく。」



その後もゴルドは娼館に行くが酒を飲み談笑して帰ってくるを繰り返し、俺とカージャをヤキモキさせた。

キースも最初はついて行っていたが、流石にフォローのために何度も行きたくはないらしく、既にゴルド一人がかよっている状態だ。

ドンドン嫌な予感が膨れ上がる。


俺の心配をよそにゴルドは順調に女達を虜にしていると言い張っていた。

だが、毎日高級店に通い、金をバラまけばいかに勇者と言えど資金難になる。

金が心細くなったゴルドは一度、勇者としてオークの集落の討伐に赴く事にしていた。


オーク程度ではゴルドに敵わず、オークの場合は肉として売れるため集落の討伐に伴う報酬の他、オーク肉売却の報酬もはいるためゴルド的には割のいいバイトレベルの仕事なのだ。


一応、その集落がある地方を治める貴族の私兵が200名程同行するらしいが、主力はゴルドで勇者として期待を一身に受けている。

それでも行き返りの時間を含めて10日ほどしかかからないであろう仕事だ。

他の勇者も一緒だと報酬が山分けになるため、今回はゴルドが一人で参加する。


「よし、ゴルド、かかる日数分の試薬を渡すから常に飲んで、女が近くにいたら口説くんだ!ハーレムを作るんだろ!」


「友よ、心遣いに感謝する。しかし、いいのか?これでは私の方がハーレムの人数が多くなってしまうが。」


ちょっとした優越感なのだろうか。

イラっとする上から目線の発言をしてきたが、試薬が無くなれば壊滅するようなハーレムはハーレムじゃないだろ。

とりあえず1人でいいから捕まえろ!


「いいから、言う通りにしろ!女をみたら子供と老人以外、全員口説け!」



そうして、ゴルドがオーク討伐に出発してから1週間後、ゴルドが敵のオークに捕らえられたとの報が俺達にもたらされた。


読んでもらえてモチベ上がります。

ありがとうございます。

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