情操教育の一環としてというが子供はそんなの気にもしてない
短かったのでもう1本。
俺が使えないスキルを手に入れて1ヵ月。
皆もレベル上げに飽きてきていて、いつもの日常が戻ってきた。
変わった事と言えば調合に興味をもった双子とお菊がリアに弟子入りしたため、
調合部屋を拡張し子供でも扱える調合道具類をそろえた事くらいだ。
最近、暇でしょうがない。
魔王軍もあれ以来こないところをみると騙りだった可能性もある。
そして、俺は日課であるシスとキョウカの乳揺れを見ている。
これだけは毎日見ていても飽きないが何か変化が欲しい。
「キョウカ!弓打ってくれ!」
「はぁ?なんで私がそんな事する必要あるのよ!」
思いきって頼んだが拒否られた。
シスでもいいがシスの場合は胸が邪魔して無理だろう。
「・・・・家庭菜園でもしてみるかな?」
夕食時に家庭菜園をしてみようと嫁達に話す。
事前に言っておかないと約1名難癖をつける者がいるからだ。
「いいですね。村では畑仕事もしてましたから私とシスは即戦力ですよ。」
「うむ、ここの食事は美味しいから食べすぎないようにしてたのだが、体を動かす事が増えたらもっと食べられるしな。」
リアとシスはかなり乗り気だ。
だが、家でちょっと食べられるくらいの量しか作るつもりはないからな。
偶に自分で作った野菜やら果物が食卓に並ぶのがいいんじゃないか。
「じゃあ、リンゴとイチゴお願いね。」
暴君の1人は手伝う気がなさそうだ。
「つまみになるやつがいいな~。」
意外にもミーシャが乗り気なのは驚いた。
「キョウカ、子供達の情操教育のためにやるんだ。お前もちゃんと手伝えよ。」
「わ、わかってるわよ。」
キョウカに釘を指しておく。
子供好きのキョウカは子供達のためと言えばだいだい従う。
大部屋は手狭なので上に1階層追加しそこに畑を作る事にする。
ついでにドリアードにその階の階層守護者になってもらい畑の管理を任せよう。
次の日
階層を土がむき出しの大地タイプで追加し、地面に畑用の土と肥料をまく。
栽培するのはまず失敗はしないであろう、きゅうりとトマト、それとジャガイモとサツマイモにした。
サツマイモの種類はキョウカが眉間に皺を寄せて選んでいたので、焼きいも用の奴だと思う。
それと一応リンゴの苗木と渋柿と甘柿の苗木を周りに10本づつ植えた。
イチゴはビニールハウスで作るイメージが強いのでまずはお試しとして今回は止めにした。
「なんで渋柿があるのよ。干し柿でも作りたいの?」
「渋抜きした柿が好きなんだよ。超美味いぞ!」
俺の返答にキョウカが不思議そうな顔をしている。
東京に住んでいたと言っていたから食った事ないんだな。
都会育ちの弊害が出てるな。
「ご主人様、アルベリーも植えてくれないか?好物なんだ。」
どうやらこの世界の果物らしく、DPストアの方で購入した。
皆で食べてみたがリンゴ大のサクランボで甘みが強い。
生命力が強く、蒔いておけば勝手に育つという事なので、多目に購入し周辺にばらまいておいた。
当番を決めて水をまくようにし、皆で楽しみながら育てるようにしよう。
タネを蒔いてから3日ほどすると芽が出てきた。
メメに食べないように釘を指し、ツタが絡まるように支柱を作る。
芋の方はそのまま放置だ。
1週間もするとトマトときゅうりが支柱に絡まり伸びてきた。
・・・育つの早く無いか?
10日もすると実が成りだして来た。
苗木の方も太くなってきている。
明らかに異常な速度で育っているがダンジョンでは、こんなものなのだろうか。
結果、トマトときゅうりは2週間ほどで収穫可能となった。
念のために芋の方も確認するとゴロゴロ育っている。
トマトを一つ齧ってみたが瑞々しくて甘くていい出来だと思う。
「なに、これ!普通に美味しいんだけど!」
キョウカも驚きの声をあげる。
普通、家庭菜園は自分で作ったという事実が味を底上げして美味く感じるのだが、これは違う。
キョウカの希望でさっそく石焼き芋を作る事になった。
埋めていたサツマイモは、鳴門金時と紅はるかという種類だった。
折角なので食べ比べる事になり、それぞれ掘り出した。
鍋を2つ用意し石焼用の石を敷き詰め、火にかける。
しばらくして石が温まってきたら、洗って土を落とした芋を置いて蓋を閉めた。
俺とキョウカ以外が不思議そうに見ていたが、芋に火が通り甘い匂いがしだしたら皆が騒ぎ出した。
皆がそろそろいいんじゃないかと言う中を、我が家の芋奉行が厳しく制している。
正直、俺はどのくらい火を通せばいいのかも分からないので、これは完全にキョウカに丸投げだ。
「そろそろいいわね。」
人殺しの目で鍋を睨むキョウカから許可が出て芋が全て取り出された。
熱いので少し冷ますためにレジャーテーブルに並べる。
各々に1本づつ配られ実食になった。
「美味しいー!」
「あまーい!」
嫁と子供達から歓声が上がる。
俺もメメに1本づつ渡してから、半分に割り1口づつ食べてみた。
鳴門金時はホクホクして甘く、紅はるかはネットリして甘すぎる。
個人的な好みは鳴門金時の方がいいな。
鳴門金時の半分だけ食べ、残りをメメに食わせる。
美味いは美味いが俺にとっては半分で十分だ。
多目に作った石焼き芋だが女性陣には好評で、残りも彼女らの腹に収まった。
俺はそれを見ながら味噌を付けたきゅうりをメメと齧っていた。
嫁と子供達の論争が始まったが終わりが見えない。
ただ、確実に分かるのは、キョウカ指揮のもと芋畑が増えるであうという事だ。
結局、次の日の夕飯時までその騒動は続き、芋畑は2倍の広さに落ち着いた。
連作障害があるか分からないが、それはその時考えればいいだろう。
俺はお手軽に出来そうな茶豆とゴーヤ、それと駄目元でスイカも蒔いた。
後に作物の異常成長はドリアードのスキルのお陰と判明し、
それにより彼女の地位が不動のものとなったのは別の話だ。
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