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奴は四天王の中で最弱とよく聞くが、そんなに力に差があるなら無理に四天王にする必要ないだろ!

「なんだ、あれ?」


その日、朝から侵入者アラームが鳴ったので見に行くと、頭が2つあるリザードマンがいた。


一応、勇者だった場合を考えキョウカに確認すると魔族だと答えが返って来た。

キョウカが言うにはこの世界でいう魔族はおおまかに二分されており、

一つが地球の物語でおなじみの悪魔のような悪魔族で、

もう一つが色々な種族の特性を持つ魔獣族、別名キメラなのだそうだ。


したがって、スクリーンに映っているのは魔獣族の魔族ということになる。


「人族は人間だけなのか?」


「あ~・・・だいたい聞きたい事は分かるわよ。獣人族やらエルフ、妖精族もいるわよ。」


俺の質問にウンザリしたような顔でキョウカが答えた。


「ふ~ん、そうなんだ。まぁ、いつか見れるだろ。」


「あれ?興味ないの?」


「興味あるか無しかで聞かれたらあるけど、動物園のパンダレベルの興味かな。

いや、あれだと好きな人は好きだからライオンレベル?」


「なんで疑問形なのよ!でも、意外ね!」


「なんで?」


「男の人って獣人族やエルフが好きだと思ってたから。」


「見た事も無いのに好きだろって言われても違うとしか言えんな。」


「それより、どうすんだ、あれ?」


ミーシャが話しに割り込んで無理矢理現実に引き戻した。

魔族なら一応は味方のはずだし、話してみるか。


「おい、お前!何しに来た?」


双頭のトカゲがキョロキョロしてる。

スゲーな左右別々に動くんだ。


「私は魔王軍四天王の1人、トカだ!そして私が魔王軍四天王の1人、ゲーだ!お前がこの迷宮のマスターだな?」


「そうだ。・・・ちょっと聞きたいんだが、お前等2人?で四天王の1人なのか?それとも四天王の2人なのか?どっちなんだ。」


「貴様馬鹿なのか。私が魔王軍四天王の1人、トカだ!そして私が魔王軍四天王の1人、ゲーだ!」


「ちょっと待て・・・お前等の他に四天王はあと何人いる?」


「3人に決まっておろう。」


「そうか、で、何しに来た?」


「うむ!ついに半年後に魔王様が人類に対しての総攻撃を行う事を決めた。お前達は事前にスタンピードを起し人類を疲弊させるのだ。そもそもこれは・・・」


「エン、送るから始末しろ!」


俺は双頭のリザードマンが夢中で話してる最中にエンを背後に転送し一閃させた。

コロコロと2つの頭が転がったので、そのままダンジョンに吸収させエンを回収。


「これでよし!」


「あんた、本当に大丈夫なの?その人類と敵対しないでいてくれた事は嬉しいけど・・・あんたの立場とかって・・・。」


「残念、それは残像だ!」


「えっ!なんで残像なのよ。」


「どちらにしろ、四天王等という恥ずかしい奴は来なかった、でいいだろ。」


「また来たらどうするの?」


「戦力を小出しにしてくるなら、その都度、不意打ちをかけて殲滅する。」


「大部隊で来たら返事だけして追い返す。それも出来なけりゃ迷路に誘い込んですり潰す。最悪、捕まえてあるイレギュラーを解放する。」


「まぁ、いいわ。次に来たら私も戦うから。頭は吸収しないでよ。本当に魔王軍の幹部なら手柄になるんだから!」


女のくせに戦国武将みたいな思考回路だ。

ナチュラルに死体の首を要求出来る胆力は凄いな。

こいつ現代日本の教育の恩恵でそう見えないだけで、実は一番の脳筋なんじゃないか。


「・・・上手く首が取れたらな。」




その日、迷宮に来たゴルド達に情報をリークし、勇者の手柄になるように画策してもらう事にした。

そして、カージャの結婚式に出れない俺の代わりにキースに贈り物を預け届けて貰う事にした。



夕飯までもう少しというところで、そいつはあらわれた。

見た目はケケケの北太郎に出てくる妖怪バックベアードのミニチュア。

大きさはバレーボールサイズだが一つ目で周りを靄のような触手でおおわれている。

そいつが何故か大部屋に浮かんでいたのだ。

侵入者なら1階層にあらわれるはずが、いきなり大部屋に出現し、俺が見つけた時は双子とお菊から飴をもらって食べていた。

たぶんそうだとしか言えないが、手に飴を乗せて差し出すと靄のような触手が伸びてきて受け取り、口らしきものを開けて放り込むのだ。

貰うと嬉しそうに一つしか無い目で瞬きをし、口らしきところをモゴモゴ動かす。

それが面白いのか双子とお菊は競う合うように次々と飴を与えている。


俺も餌付けしようと思い飴や飲み物を与えると普通に食べたり飲んだりする。

飲み物は触手で吸収するので植物みたいな根なのだろうか。

たしかにいくらでも食うのでおもしろい。

ケーキやらピザ等を与えても小さい体でモリモリ食べる。

どこまで口が開くのか見てみたいと思い、スイカの大玉サイズを与えたところで後ろから声がかかった。


「お主等、何をしとる!」


チビ助だ。

こいつはかまってちゃんなので放置すると近づいてくる。

おまけにウザイ。

無視してチビ目玉がスイカを割らずに吸い込むように食べたところで拍手をした。

そこらの一流マジシャンがする手品より凄いぞ!

次に業務用のはちみつ1リットルを一気飲みさせてみる。


「おい!儂を無視するな!」


粘つくためか手間取ったが途中から吸引力をあげて高性能掃除機のように吸い込んだ。

凄いぞ、このチビ!


「なんじゃ、そんな奴!」


チビ助が妙な踊りでチビ目玉を煽ると触手が伸び、チビ助の尻をペチリと叩いた。


「あいた!尻を叩かれた!セクハラじゃ!セクハラされたぞ!!」


「黙れ!お前を含めてどっちも性別が怪しいだろ。」


「き、キョウカに言いつけてやる!!」


そう言い残してチビ助が走り去った。

鬼が来る前に収集を付けなければならない。


「・・・よし!お前、うちの子になるか?」


漂うチビ目玉に問いかける。

つぶらな瞳・・・ギョロリとした目で見つめられるが分らない。


「・・・よし、じゃあYESならこっちの手にある飴で、NOならこっちの手にある飴を取るんだ。」


YESの飴を取った後、NOの飴も取られた。

食えるものは逃さないようだ。

行動は犬猫並みだが懐いてはいるようなので大丈夫だろう。


「今日からお前の名前はメメだ!」


安直だが絶対忘れたりしない名前だ。

双子達にこのチビ目玉を飼う事を宣言し、餌付けのための飴を買い与えた。

3人で群がりメメに飴を与えている。

メメも嫌がりもせずに飴を次々食べていて楽しそうだ。


そして、そこに鬼が到着した。


「あんた!キーコちゃんにセクハラしたって本当なの?」


眉間に皺を寄せ目を細めメンチ切ってますって感じだな。

だが、旦那に歯を見せてまで威嚇するのはやりすぎじゃね。


「あいつじゃ!あいつが儂の尻にセクハラを・・・」


浮かぶ目玉を指差しチビ助が吠える。


「な、なにあれ?」


「今日からうちの子になったメメだ。双子達の情操教育の一環として飼うことにした。」


「わ、儂もうちの子になる!」


お前は永遠の居候だろうが、そもそも俺より年上だろ。


「じゃあ、キーコちゃんの部屋も家に用意しないとね。」


お前は考えてしゃべれ!

何故、うちでは全ての決定権がキョウカにあるんだ。

チビ助はキョウカに抱っこされ笑いながら連れ去られた。

ちょっと前は怖がってたはずなのに洗脳でもされたのか。


まぁいい、こっちには不思議な目玉、メメがいる。


「よし、メメ、さっきの攻撃は素晴らしかったぞ。褒美にこれをやろう。」


双子がトラウマになっているバケツプリンだ。

双子達は夕飯前なので無しだ。

食わせたら俺が折檻される可能性が高い。

バケツプリンを触手で吸うように完食しメメはまだまだ余裕のようだ。


漬物とかでも食うのかな。

たくあんを1本丸ごと与えてみる。

一気に口に入れたがボリボリ聞こえる。

こいつ歯があるのか。


そろそろ夕飯なので家に戻る事にする。

手招きして、ついてくるように言うとフワフワとついてくるので、ある程度の認識力はあるようだ。


皆がそろったところでメメを紹介する。

双子の情操教育の一環でペット枠でうちの子になったと伝えると。

おおーっ!と驚きとも戸惑いとも分らぬ声があがる。


「儂も今日からうちの子じゃ。」


チビ助が立ち上がり胸を張ってドヤる。

拍手が巻き起こり、リアがおめでとうと頭を撫でている。


なんだ!この差は!

くそっ!俺だけはメメを甘やかしてやると心に誓い、メメの夕食を他より豪華にする。


「儂の方も同じにしてくれ。」


手をあげ必死にアピールするチビ助に侮蔑の笑みを投げかける。


「あいた!」


「あんた、皆同じにしなさいよ。」


キョウカの拳骨による説得を聞き入れ全員分同じ食事にする。

キョロキョロしていたメメも皆が食べ始めると食事に触手を出し始めた。

メメは大食漢だから質は同じでも量で差がつけられる。


食事が終わり風呂に行こうとメメを探す。

双子達に取り囲まれ飴を食わされていた。


「ほら、もう今日は食べさすのは終わりだ。順番に風呂行くぞ。メメも風呂に入るか?」


俺がそう言うとメメが消えた。

呆然とする俺にミーシャが指を差し教えてくれる。

どうやら俺には認識出来ない速さで逃げたようだ。

犬猫にも風呂ギライがいるがメメもそうなのか。

少しづつ直さないとな。


温泉につかって一息入れていると嫁達と子供組も入ってきた。

俺があがってから入る様に言っているが誰一人として言う事を聞かない。

俺の迷宮なのに・・・。


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