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UMAエン

新たに仲間に加わったエンだが、こいつはとにかく強かった。

ミーシャに強請られ、天下一武道会のような闘技場を作ったが、そこで行われた手合わせが凄かった。

誰の攻撃でも受け流し、避け、寸止めで木刀を首に置く。

ミーシャ相手だと流石に分が悪く押されていたが、誰も目で追えない戦いだった。


「あたいの方が強いな。」


満足そうに笑うミーシャだが、攻撃無効を無視して殴ったりしてるのでこちらは何かおかしいのだろう。

それでも、そもそものレベル差とステータス差を考えれば無傷な時点で驚異的と言える。


「ミーシャはステータス頼りの部分があるけど、エンは技術の塊ね。」


エン相手にいいとこ無しで終わったキョウカが上から目線でのたまうが、俺にはその動きすら見えない。

そして、最近はキョウカとシスと竜牙兵がエンに剣を習っている。

話せはしないが教師としても優秀なようだ。

俺はキョウカとシスのブルンブルン震える胸を見ながらボーッとしている事が多い。


「あんた!何見てんのよ!」


キョウカが顔を赤くして吠えるが、分かっているのに聞く意味はないだろう。

太刀筋は見えないから見えるところを見ているだけだ。


「キョウカとシスの胸を見ている。」


正直に答えるとキョウカから光の張り手が飛んできた。


「ご、ご主人様が見たいのであれば、わ、私が見せよう。」


シスがややMよりな発言をし始める。

あまり育つと手に負えなくなりそうだが、どうすれば正解かが分からない。

とりあえずシスにサムズアップしておく。

たぶん、何をしても正解であり不正解だろう。


しかし、エンだが調べたら本当にいた。

見つけた時はUMAを発見した気分だった。

しかも、キラキラネームで苦労した人生を送っていたのかと思ったが、順風満帆な負け無しの人生を歩んでいたのだ。

きっと生前はイキリ倒してたに違いない。


俺もイキリたいが嫁達が強すぎる。

うちの家訓に「刺されても後悔しないバラを手に取れ!」というのがあるが、まさにその通りだ。

聞いた時は大笑いしたが、今はその通りかもと思っている。

家族の名前や顔が思い浮かばないのに、こんなことだけはしっかり覚えている。

後悔してるわけでは無いがもう少し自由が欲しい。

偶にでいいんで1人でゆっくり夜寝たい。

しかし、勇気を出してそれを言うと嫁達が鬼と化す。



見ているのも飽きてきたのでゴルドと駄弁りに向かう。

これも一応、監視という俺の仕事だ。

小部屋にはゴルドの他キースもいた。

この部屋だけ床はツルツルしたタイル張りになっている。


「カージャはどうした?」


「うむ!同志カージャはお見合いに行っている。」


「見合い?」


「見合いとは言っても貴族のそれじゃ。もう結婚は決まっておるから顔合わせの意味が強い。」


なんと、カージャは死刑囚管理の役職を得たおかげで結婚が決まったという事だ。

もともと男爵位を持つ勇者だった事もあって、次女、三女を嫁がせ、つながりを持とうと思った貴族が出たようだ。


「やったな!ならそのうちゴルドにも来るんじゃねえのか?今準男爵だし実質キョウカにつぐNo,2だろ。」


「友よ!そうなったら手伝いを増やす必要があるな。家の事で時間が取られるだろうし、家族は大事だからな。家族は!」


「分かっていると思うが・・・。」


「うむ!迷宮の中での手伝いはOPIの中から選ぶ。既に勇者の他にも一般の騎士や兵士にかなりの数の会員がいる。それに若干だが貴族にもだ。」


おお!知らないうちに活動はしていたようだ。

その活動のベクトルを他にむければ、この世界はとうに救われていたかもしれないのに。


「それに儂も貴族になれそうじゃ。ゴルドと同じ準男爵位ではあるが、チョコの安定供給が認められたのとカージャのおまけ的扱いでじゃがな。」


「凄いじゃないか。」


チョコ数百枚で貴族になれるとは、なんてチョロイ世界だ。

カージャへの結婚祝いを用意するので持って行ってもらう事を約束し分れる。

ゴルドとキースへも何か祝いの品を送った方がいいのだろうか。


夕食時に皆に相談する。

やはり女は恋愛話が大好物だ。

カージャの結婚に黄色い声をあげて騒いでいる。

俺がカージャはウイスキーが好きなのでそれでどうだというと、それだけ贈って終わりに出来るわけないと駄目出しされた。

結局、カージャには高いウイスキー数本とDPで出したそれなりにいい魔法の剣、それと奥さん用に高めのワインを多めにと魔法付与されたアクセサリー(指輪以外)を贈る事になった。

ゴルドにはコーヒーといつもボロボロになっているので生命維持のための強烈な自動回復魔法のかかった腕輪を、

キースはああ見えて紅茶党で紅茶にうるさいとキョウカが言うので高級茶葉のセットとDPで出したそれなりにいい魔法の盾にする事にした。


「私は貰ってないわよ!」


全てが決まるとキョウカが次は自分だと参戦してきた。

キョウカは表向きはこの迷宮を牛耳る勇者で死刑囚管理の筆頭で、そのため男爵位を持つ女男爵なのだ。

普段俺の恩恵を人一倍受けてるくせにチャンスを逃さず突いてくる。

そういうところが逞しいというかおばさん臭いのだ。


「お前は何もしてないのに、なんとかいう勇者から光りの張りてのスキルをもらったじゃないか。あれで良しとしろよ。」


「光気功よ!あれは私の才能が引き寄せた結果であって貰ったわけじゃないわ!」


何故、そこでドヤ顔で胸を張れるか理解に苦しむが、必ずなにか分捕るという強い意志が垣間見られる。


「じゃあブランドバックとか?」


「駄目よ!お嫁さんには平等にって話したでしょ。皆が喜ぶものじゃないと!」


ウゼェ・・・だんだんキョウカの中のジ〇イアンが顔を出してきてる。


「じゃあ、何が欲しいか言ってくれ。俺では分からん。」


「あたいは暴れられる場所と相手が欲しい!」


「私も戦って経験値を得られる場所がいいな。技術は上がってきているがレベルが低いから実感がわかない。」


「私もちょっとレベル上げたいかも・・・調合が行き詰ってるし、もしかしたらレベルが低いせいかなって最近思ってるんですよね。」


「殺!」


「死!」


「いいわね、それ!じゃあ旦那様!よろしくね!」


簡単に言うなし!俺は未来から来た達磨ロボットじゃねえ!

最近、大人しかった双子が興奮し出したじゃねえか。

だが、残念だな。

俺にそんなことは出来ない。


「なら、私のコアを使う?」


えっ?


「出来るの?」


「この迷宮内に分岐して私の迷宮を作れば簡単よ。出てくるモンスターもコントロール出来るし、個々に合った設定が出来るわよ。」


「ま、待て!お前って俺の配下になってるんじゃないのか?」


「そうよ。」


「何故、お前のコアが使えるんだ?」


「・・・逆に聞きたいんだけど、何故、貴方がコアの使いかた知らないの?」


えっ?


「イレギュラーだから情報の取得が不完全なのかしら。貴方のコアが私のコアを吸収しない限り、ダンジョンコアとして使えるわよ。掌握だけだと私が貴方の配下になっただけ。」


「じゃあ、お前はコアさえ有ったら俺のダンジョン内で反乱が起こせるのか?」


「それは無理よ。私は貴方の配下だから私に属するものは貴方に危害を加えられないわ。」


「意味が分からないんだが・・・。」


「説明すると、まず私は貴方の配下になっています。これはいいわね?」


「ああ、続けてくれ。」


「私のダンジョンコアは私に従属しています。これもいいわね?」


「それが分からない。お前に従属してるのに何故俺の配下じゃないんだ。」


「う~ん・・組織のボスが他の組織のボスに忠誠を誓っていても、その配下は自分のボスに忠誠を誓ってるの。自分達のボスが他の組織のボスに忠誠を誓ってるから、ボスの意思で争ったりしないけど別な組織なのよ。」


「別な組織だから経験値も入るってことか?」


「そうよ。分らなければそうだと思いなさい。それで貴方の組織が私の組織を吸収すれば組織が大きくなれる。これがコアの吸収でコアのレベルを上げられるの。」


「なんとなく分った。」


「あんた、本当に分かったの?大丈夫?」


「駄目なら今度はミーシャが粉々にするだろ。念のためにミーシャかエンを常にダンジョンコアの前に置いときゃいいよ。」


「別に貴方が持ってたらいいじゃない。それでマズイと思ったら壊したら。」


「やけに協力的だな。」


「元は敵だし誠意を見せないとね。言っておくけどDPは貴方持ちよ。」


アリスの言葉に何故かキョウカが警戒しているが、それでいいなら、もういいだろう。

面倒だから大部屋の横にアリスの迷宮(闘技場)を作った。


「なんでまた闘技場なのよ!」


「いや、危ないだろ。見えるところで戦えよ。それなら助けにも入れるし。」



本当は安いからだ。

迷路だと5000DPだが闘技場なら1200DPで済む。


「じゃあ、誰からやる?」


「もちろん、あたいだ!」


「言っておくけど、私のダンジョンコアで出せる最強のモンスターは貴方が瞬殺したパイロヒドラ、ちなみに8000万DPよ。」


ミーシャが一番手に立候補したが相手がいなさそうだ。


「エンのレベルを上げたらミーシャの相手になるんじゃね?」


残念がるミーシャだが俺の一言で満面の笑みを浮かべる。


「じゃあ、エンが一番手だ!早く強くなって、あたいと戦ってもらうぜ!」


皆もエンの実力は見たいため後ろに下がる。


「なんにする?」


「一番強い奴!」


ミーシャの希望が通り、パイロヒドラが召喚される。

改めて見ると滅茶苦茶でかい。


「よーし!じゃあ、始め!」


合図を送ると2体が距離を詰める。

ヒドラが多頭で一気にラッシュをかけるが、エンが一閃すると攻撃してきた頭が地に落ちた。

くっそ!全然見えねえ!

その後、残った頭を落とされ体を横に切り裂かれたヒドラが光に変わる。

おお!死ぬとあんな風になるんだ!

Gの時は奴らに埋もれて気付かなかったし、他はミーシャが消し飛ばすところしか見て無いから、何気に初めて見る。


「うぉおお!!すげーぞ!!エン!!」


初めて見る戦闘らしき戦闘に大興奮だ!

ミーシャ以外の女性陣からも歓声が上がっている。


「次はあたしね!」


キョウカがしゃしゃり出てきた。

自分が自分がと前に出る精神はお笑い芸人に通じるものがあるな。


「なんにするんだ?」


「トロールあたりが無難かしら?」


俺に聞かれても知らん。

駄目ならミーシャかエンが助けに入るだろう。


闘技場にゴツゴツした巨人があらわれた。

前にガチャで出したオーガより大きくて太っている。


「油断するな!」


声をかけると同時にキョウカが襲い掛かる。

キョウカの武器は薙刀っぽい何かだ。

薙刀よりは刃の部分が大きいから青龍偃月刀って奴か?


キョウカは巨人の攻撃をかわし左足を叩き切った後、前のめりに倒れ両手をついた巨人の右足も切り飛ばした。


「さあ!立ちなさい!」


鬼かこいつ!

その後這うように攻撃してきた巨人の両手を切り飛ばし、最後は頭を真っ二つにした。


「まぁまぁね!」


どこまでやれば気が済むんだ。

でも、光の張り手も使って無いし、まだ余裕がありそうだな。


「キョウカ余裕じゃね?」


「まーね、光気功のおかげでかなり楽よ!」


名前は弱そうだが強いスキルのようだ。

あまりパワーアップされても困るんだが・・・。


「では次は私達が戦おう。」


次はシスとリアがコンビで戦うようだ。

2人の戦いを見るのも初めてだ。

なにせ、侵入してきたと思ったら戦いもせずに捕まったのだから。


「なんにするんだ?」


「オークでお願いする。スキルも上がってるしオーガでも大丈夫だと思うが、元々はそのくらいの実力なんだ。」


オークが1匹召喚される。

美女を目の前に何も考えず突進するオーク。

万歳する格好で走るやつ初めて見たぞ。


「ブモォオオォオオオ!!!!」


「ファイヤーアロー!」


リアの魔法がオークの顔面に当たり突進が止まる。

目を開けたまま受けてたけど、死んだんじゃねえのか?

そこを、シスがミスリルソードで袈裟懸けに切り裂いた。

左の肩口からバッサリ切られたオークが光に返る。


「楽勝じゃん!」


俺が褒めると赤い顔をしながら2人で嬉しそうに微笑んだ。

褒め甲斐のある2人だ。

是非、キョウカにも見習って欲しい。


「次は?」


「私達。」


「ゴブ。」


「ん。」


双子はいいがお菊まで出てきた。

俺がキョウカに顔を向けると、ゆっくり頷いてきた。

まるで真の黒幕のような行動だ。

なにか企んでいるのか。


「ゴブリンでいいんだな?」


3人がコクリと頷くのでゴブリンを召喚する。

3人よりは大きいが普通に小さい。

ゴブリンが動き出すと双子が左右から挟み込み足、腕の順番で杖で強打した。

手足全てがおかしな方向へ曲がって倒れているゴブリンの頭をお菊がポカポカと棒で叩く。

打撃が通っているのか心配になるような攻撃だったが、10数発後にゴブリンが光に返った。


「お菊ちゃんのレベルを上げたかったのよ。」


首を傾げる俺にキョウカから声がかかる。

なら、初めからそう言えや!

ゴッドファーザーみたいな行動するんじゃねえ!


3人が胸を張って整列したので、頭を撫でて1人づつ褒める。

もう迷わないぞ。


「ねえ、旦那様、お願いがあるんだけど・・・。」


この後、皆が飽きるまで闘技場で戦い続けるのだが、俺はそのためのDPを稼ぐため1人砂糖吸収に励むことになり、それは夕飯まで続いた。


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