この世界の人類に未来は無さそうだ
結局、あの水色幼女は夕飯を食べ温泉に入り就寝し朝食を食べ、今俺達と一緒に昼飯を食べている。
「美味いのう。ここの食事は最高じゃ。お主の嫁達は皆料理が上手いのう。」
昼飯のかつ丼をその容姿に見合わぬ食べ方でガツガツ食べている。
残念だが、そのかつ丼はお取り寄せだ。
「やかましい!さっさと用事を済まして帰れ!」
この水色幼女の扱いだがミーシャが間違いなく勝てると断言したため、波風立てずに帰ってくれたらそれで良し、駄目なら抹殺する事にした。
キョウカとアリスが強硬に反対したが、こればっかりは駄目だ。
敵にまわられたら何をされるか予想がつかない。
おまけにK1150という型番みたいな名前から察するに邪神の分身体は1万~26万、場合によってはそれ以上の数がいるはずだ。
ここで下手に情けをかけたら、こっちが不利になるだろう。
ちなみに、強硬派は俺、容認派はキョウカ、リア、アリス、中立派はミーシャ、シスとなり子供達は何を考えてるか分からない。
「用事を済ませても帰りはせんぞ。儂はここが気に入った。しばらくやっかいになる。」
「却下だ!」
水色幼女がフォークに刺さった唐揚げを振り回し宣言するも俺が否定する。
唐揚げの刺さったフォークを振り回すな。
「いいじゃない、いたってー!ね~、キーコちゃん!」
「貴様、死にたいのか?」
キョウカとアリスが水色幼女を擁護し始める。
アリスにいたっては擁護では無く恫喝だ。
俺に味方はいない。
「と、とりあえず要件を言え!何しに来やがった!」
吠える俺にリスのように頬を膨らませた水色幼女がモゴモゴと話すが、飲み込んでからしゃべれや!
「スタンピードを一回起して地上を荒すのじゃ。今回はそれくらいでいいじゃろ。」
「!キョウカいいのか~このチビ助は人類抹殺計画に加担しろと言ってるぞ。」
「ちょっとくらいいいじゃないの。この世界の人達って悪党が多いみたいだし。ゴルドさんがやってる死刑囚の管理資料ちゃんと見てる?
あれだけ迷宮に送りこんでるのに減らずに増えてるのよ。信じらんないわ!」
ゴルドは迷宮で死刑囚の管理をやっている。
時々途切れるが1ヵ月で1000人はコンスタントに迷宮に送り込まれている。
それだけの数が死んでいれば、そのうち悪党が根絶し無実の罪の奴等が送り込まれると予想していたのだが一向に減らない。
ゴルドに確認するも間違いなく悪逆非道の徒ということで容赦無く断罪している。
そのため、ここぞとばかりにキョウカに揺さぶりをかけるも憤怒の勇者は少しも動揺しなかった。
「なぁ、チビ助、放っておけば勝手に自滅しそうだけど。」
「う、うむ、・・・そうやもしれん。ならば儂を讃える神殿を作るのじゃ。」
だから、唐揚げを刺したままフォークを振り回すんじゃない。
昼食後、俺達は大部屋の隅に移動した。
本当なら格納庫の隅に作ろうと思ったのだが、この部屋の中に作れと言われたのだ。
場所は我が家から対角線上でコアルームに続く通路からも離れている。
「ほら、これでいいだろ。」
俺がDPで作り出したのは、町の道端にあるような小さなお稲荷さん神社だ。
座敷牢のような扉を開ければこの水色幼女くらいなら格納できる。
「なんだか小さいのう。」
「これが俺の世界のスタンダードだ。あちこちにあるメジャーな形だぞ。」
不満を漏らす水色幼女に説明という名の洗脳を試みる。
「あんた、意地悪しちゃ駄目よ!」
即座にキョウカが駄目出しをし、小型パルテノン神殿のような物を勝手に作り出した。
くっそ、日本人の癖に西洋にかぶれやがって!
「おおっ!これは中々立派じゃ。キョウカよ、褒めて取らすぞ。」
中に入るとツルツルした石で出来ていてかなり立派だ。
「この石ってなんだ?」
「大理石に決まってるでしょ。」
ボソリと呟いた疑問にキョウカが即反応した。
「大理石って高いんじゃなかったのか?」
今度の呟きには反応しない。
随分都合のいい耳だな。
「大理石って凄い高いんじゃなかったけ?」
だからハッキリ言ってやった。
「うっさいわね。聞こえてるわよ!」
「だったら、俺のロボ作りも許可してくれ。」
「ロボとはなんじゃ。」
「高価なおもちゃよ。」
俺の魂の願いをおもちゃと言い張るとは・・。
「シリアス、働きもせんで遊びに現を抜かすのは感心せんな。キョウカは内助の功を発揮しているのに、お主はもう少ししっかりするべきじゃな。」
散々な言われようだ。
俺がダンジョンのボスのはずなのに裏ボスの数が増えていく。
「ち、ちくしょう!貴様等覚えておけ!特にキョウカ!今夜は足腰立たなくしてやるからな!覚悟しておけ!」
「あ、あ、あんた、昼間から何言ってるのよ!馬鹿なの!あ~!」
俺の捨て台詞でゆでだこのようになって騒ぐキョウカを尻目に自室に鍵をかけて引き籠った。
秘密裏に進めている俺のロボの完成を急がねば!




