表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/113

破壊神

次の日の朝、俺達はメメの神社に集まった。

メンバーは俺、メメ、キョウカ、ミーシャ、マリーダ、エン、そして天狐の6人と1匹だ。

天狐はキョウカより弱いが防御結界特化型なので急遽メンバーに加えた。

巫女なのだが、人化するとおばあちゃんなので戦闘に巻き込むのは少々心苦しい。


既に化け物のいる小部屋は広げ、縦・横・高さがそれぞれ50メートルある監獄に作り替えてある。

流石に神ジムのような身長は無いと思いたい。


入り口を背に胡坐をかきメメを抱きかかえた俺の背にマリーダが張り付く。

デカい胸が背中で潰れているが、今はその感触を楽しむ暇はない。

マリーダの後ろにキョウカが、俺の左右にはエンとミーシャが陣取り、後は破壊神を呼び出すだけだ。

メメの頭に手を乗せ、破壊神への呼び出しを念じる。

今すぐ殺してやるからここに来いと。


俺達の前方、ちょうど本堂の中央辺りに影が渦巻く。

圧倒的な力を秘めた何かがあらわれようとしている。

ダンジョンバトルで現れるような黒いブラックホールのような物があらわれ、そこから何かが這い出してきた。

べしゃりと音を立てて床の上に落ちたそいつはゆらゆらと体を揺らしながら立ち上がろうとしていた。


俺は間髪いれず転送を試みるが、力が弾かれる。


「チィ!!弾かれた!!」


その瞬間、エンが飛び込み刀を抜きあしざまに振るう。

体を左から右に両断されたそいつは何でもないように佇むが、再度仕掛けた俺の転送により化物の元に飛ばされた。


「やったぞ!!!」


すぐさまコアルームに全員で転移し、天狐には赤ちゃん部屋に行ってもらう。

そこで、連絡があるまで全力で防御結界を張ってもらうつもりだ。


スクリーンをつけると2匹の化物は10メートルほどの距離で対峙していた。

片や禿げた頭を油ギッシュにテカらせながらポーズを決めるブーメランパンツの怪人。

片やヘドロのような物を滴らせ、影の様に黒い存在の破壊神。


双方の力は未知数。

禿げもすぐに閉じ込めたから分からないが、それなりに強いはずだ。

現に禿げは見ているだけで精神ダメージが入る。


にらみ合う両者だが、破壊神が焦れたのか動き出した。

べちゃり、べちゃりと音を立てながら禿げに近づく。

禿げに近づける胆力がある時点でこいつはやはり神なのだろう。

ちょっとだけ尊敬の念がわく。


5メートルほどまで近づくと破壊神が口の辺りから黒いヘドロを禿げに吹きつける。

影のような泥が禿げにかかるがそのまま足元に流れるだけで痛痒も与えていないようだ。

これでは埒があかないと思ったのか、更にゆっくり破壊神が近づく。


その距離が3メートル程度になった時、禿げに変化があらわれた。

今までのポーズからいきなり両手を横に広げ、磔のようなポーズをとったのだ。

禿げの変化に破壊神の動きが止まる。

しかし、数瞬動きを止めた後、前に1歩を踏み出した。


次の瞬間、禿げが獲物に襲い掛かる。

あろうことか禿げがコマ落ちのように破壊神を抱き締めているのだ。

嫌がり暴れる破壊神。

破壊神に少し同情し、心の中で謝った。


禿げの腕の中で暴れ回る破壊神。

その最悪の絵面を確認のために見続ける俺達。

もはや我慢比べだ。


暴れ回る破壊神の動きが鈍って来たと同時に闇の様に黒かった体が少し灰色がかってきた。

体中のヘドロのような泥が乾いてポロポロと落ちる。

それにより破壊神の全身が確認できるようになった。


顔は半魚人のような感じで目玉がデカく額にも目がある。

口はデカく鋭い針のような牙が並び体はリザードマンのようだが肘から先は剛毛におおわれ指先にはナイフのように鋭い爪が付いている。

脚は象の様に太いが膝から下は鳥の足のようになっている。

尻の辺りから細い3つの尻尾が生えており、それで鞭のように禿げを攻撃している。


「あいつ、ドレインしてるぞ!!!」


ミーシャが驚き叫ぶと、それが合図の様に禿げが点滅するように光りだした。

目に見えて破壊神の動きが鈍る。

このまま禿げが勝つのかと思いきや禿げを中心に爆発が起きた。


たまらず吹き飛ぶ禿げと破壊神。

どうやら破壊神が爆発の力で禿げを引きはがしたようだ。

距離が開き、禿げが再びポーズを取ると、そこに破壊神の尻尾が襲い掛かる。

メメの触手鞭とは比べ物にならないような、空気を切り裂く音をあげ禿げの体を殴打する。

禿げの体が徐々に後ろにむかって押し出され、距離が益々開いていく。


もはや破壊神は禿げに近づかないだろう。

破壊神の攻撃に禿げは平気そうだが、近距離でしか攻撃手段を持たないのなら勝ち目は無いかもしれない。


だが、禿げがゆっくりとポーズを変えると、破壊神が膝を付いた。

禿げには昆虫を気絶させるほどの精神攻撃があった。

知能の低い虫に効くなら、どう見ても知性のある破壊神には効果絶大だろう。

なんせモニター越しに見ている俺達にも効いているんだ。

どうでもいいが早く決着を付けて欲しい。


俺達の願いを無視するように佇む二体の化物。

禿げと破壊神の戦いはまだ終わらない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ