何でもない日の日常
神の試練は残すところ後一つだ。
ここでとんでもない内容の試練が俺に伝えられた。
善神と邪神がいるように、創造神には対になる神がいる。
そう破壊神だ。
最後の試練は破壊神を打ち倒す事である。
ここで注意したいのは分身体ではない事だ。
破壊神、神の打倒が試練の内容なのだ。
強さも戦う方法も分からない。
この世界にはいない可能性の方が高い存在。
そんな何もかも謎の相手の打倒が勝利条件なのだ。
理不尽すぎて笑うしかない。
まずは定番の名前調べからだ。
創造神の名を知っていたから破壊神の名も知っているだろうと思いチビ助にそのまま聞いた。
チビ助は露骨に甘味を要求してきたので、専用の綿あめ機で手を打たせた。
お菓子の方が安上がりだが、機械を渡す事によって、こいつは夢中になって綿あめを作る。
神社選びが伸びに伸びているが一向に気にしていない。
綿あめ機と交換で聞いた破壊神の名前はハゼゴン。
初めに聞いた時はからかわれたと思い、アイアンクローをかましたが、どうやら冗談ではなく本当にこの名前らしい。
子供が付けたような名前に体の力が抜けるが、間抜けな名前でもこの世界ではれっきとした破壊神なのだ。
ついでに居場所を聞くが、こちらは知らないと返って来た。
また、調査からかよ・・・。
とりあえず、焦っても仕方が無い。
心に栄養を与えたいので赤ちゃん達と遊ぶことにした。
俺が赤ちゃん部屋に入ると、くすぐられると思って逃げ出す赤ちゃんと、喜んで近づいてくる赤ちゃんとで二分化された。
ローズとアイカは逃げ出し、パルとメロンとタカトは近づいて来た。
そして、近づいて来たタカトを抱き上げくすぐるとパルとメロンも逃げ出した。
涎を垂らしながら笑うタカトを揺すりながらゆっくり近づくと、キャーキャー奇声をあげながら逃げ惑う。
タカトのあひゃあひゃ笑う声をバックコーラスに娘たちを追い詰める。
つかまると選手交代でくすぐられるのだ。
満遍なくくすぐってから、まだ歩き回れないダークエルフ達との子の方に行く。
アイザックは大人しく、俺が近づくと目を見開いてアウアウ言っている。
どうも俺の子は男は大人しく、女は騒がしい気がする。
逆の方がいいが、まだ赤ちゃんだし焦る事は無い。
エリアスは一番元気で、動けないくせに大声を上げている。
黒髪が遺伝したのはいいが将来いじめられたりしないよな。
早い内からエンに護身術を習わせよう。
ラナは俺が分かるのか、近づくとニッコリ笑って迎えてくれた。
俺の娘は皆美人だが、性格も含めてこの子が一番美人になりそうな気がする。
赤ちゃん達と遊んでいると子供組が綿あめを持って乱入してきた。
どうやら赤ちゃん達のために作ってもってきてくれたらしい。
綿あめに群がり顔と言わず服ごとベタベタになっている。
嫁達も食いたがったので一心不乱に綿あめを作り始める。
人数的な問題で常に列が出来ている。
食べ終ると列の最後に並ぶため終わりが見えない。
ザラメが亡くなったところで強制的に終了にした。
暴れ回った赤ちゃんが眠り出したので今日はこれでお開きだ。
シルキー達に顔と手をふかれ、ベットに運ばれて行く。
寝ている時が一番可愛いというが、まさにその通りだ。
嫁達が散らばりだしたので俺も部屋を後にする。
久々に昼寝ポイントに向かい、ゆっくり昼寝をしたい。
珍しくリアがついて来たので、リアに膝枕をしてもらい体を休める。
余談だが、リアの生体目隠しはシスより柔らかい。
水風船のように顔にフィットするため気を抜くと鼻を塞がれて危険だ。
腹の上を触られてる感触があるので、手で目隠しを持ち上げると、謎の大根がよじ登ってきていた。
こいつらも随分懐いて逃げなくなったが、慣れすぎだと思う。
こんなんだから自然界での生存競争に負けるのだ。
そんなくだらない事を考えながらでも目を閉じていれば眠くなる。
最近は色々ゴタゴタしていたし、疲れていたんだろう。
体感で1時間ほど寝たあとに目を覚ました。
声をかけるとリアも寝ていたようで、お互い背伸びをしてそこで別れた。
謎の大根どもはいつの間にかいなくなっていたが、一生懸命草を食べているメメを捕まえ、神社の方に戻った。
そう言えば、最近チビ助が神社の事を言ってこない。
忘れてるわけじゃないだろうが、どうするつもりだ。
メメを板の間の奥の座布団の上にあげ、お菓子を周りに出してやり、狐巫女達にもおいなりさんを渡す。
暇つぶしでメメがどれだけ大きい物を食べれるか検証するためにアトランチィク・ジャイアント・タキイ種の巨大カボチャを購入した。
1.2トンにまでなったギネス認定のカボチャだ。
メメの前においてけしかけると、一口で吸いこんでしまった。
ボリボリと噛み砕く音が聞こえるので、まちがいなくメメの勝利だ。
たいしたものだとメメを撫でていると子供組が大挙して押しかけてきた。
どうやらおやつ目当てで俺を探していたらしい。
もうすぐ夕飯のはずだが、おやつは別腹だとチビ助が言い張り要求してきた。
笑顔でおやつを頬張る子供達を見て、偶にこんな日がるから頑張れるのかもと柄にもなく感傷にひたった。
あと一つ、なんとしても試練を終わらせ、俺は俺の生活を守るぞ!