師匠の過去 殲滅の獣
カタン
動揺したのがいけなかったバランスを崩し扉に手が当たってしまった。
「誰だ?」
部屋に逃げ戻るよりも本当のことが知りたいと扉を開ける。
「師匠、さっきの話はどう言うことですか?」
「どこから聞いていた?」
「ミラーナさんが師匠の容態はと確認したところからです。」
やれやれと師匠は首を振る。
「まったくほぼ全部じゃないか……今は力をつけることに集中してほしかったんだがな……時期を見て話そうと思っていたんだ、聞いていた通り、俺はあと2年ぐらいしか生きられないんだ。」
実は魔力感知で僕のことに気がついていて、四人でドッキリを仕掛けているのではないか?
他の三人の顔を見てみるが皆がみんなくらい顔をしていた、ミラーナさんなんか目に涙を浮かべているほどだ……本当なのか……
この涙が嘘だったら何を信じるべきなのか見失いそうだ。
「本当なんですか?」
「あぁ、鑑定板があるだろ? あれに他のやつにはない項目が増えていたんだ、呪いなんだけどな。遅効性の呪いみたいなんだ。」
「呪いの状態を治す方法が何かあるんじゃないですか? それになんであと2年って分かるんですか?」
「わし達がそれを探すためにバラバラになってその可能性を探しとるんじゃけぇ。」
「そう言うことだ、俺の呪いを解く方法を俺の仲間たちは探してくれているんだ。この呪いを受けたときに奴は言ってたからな、10年だ、力を失っていくその恐怖を思い知れってな。それとその扉の2人もこっちに来たらどうだ?」
レイがジョージを抱えて入ってきた。
「……………ラーナさん。」
一緒に旅をしてきたミラーナさんが涙を流していたら気になるよな。
「今から寝ろって言っても気になって寝れないよなお前たち?」
僕なんかは完全に眠気なんか吹っ飛んでしまっている。頷いて返答とした。
「ちょっと長くなるが俺がこうなった原因の話をしてやろう、今から8年程前のことなんだがな………。」
と師匠は昔を思い出すように語りだした。
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ここからは8年程前殲滅の獣と言うパーティーが解散に至るまでの記録のお話。
冒険者とはギルドを通して様々な依頼を解決する自由意思のもと集まった集団だ。
その冒険者も様々なもの達が集まっていた。
そのなかでも今この世界で最も話題を集めているパーティーが殲滅の獣と言うパーティーだ。
そのメンバーがまた個性的である
リーダーを勤めるのは熊の獣人である二つ名兇獣アリゼア・ゴストーニ
人族で六属性の魔法を操り、そのなかでも雷と言う特殊な魔法を操ることから雷騰マークケイン
次はドワーフだ、彼はこのパーティーの武器管理を行っている、彼自信も大楯、大槌を振り回す、二つ名は不撓その小さな体であろうと強大な敵に立ち向かうその姿から不屈と言われているゲニア。
四人目は唯一の女性、二つ名癒姫、言葉から現すように、大変美しい、絶世の美女のエルフ、ミラーナ・リエナート。回復傷を癒すことのスペシャリストである。
最後の人物はまたさらに稀少な竜人の三鎗聖の二つ名を持つ、アーディ・ラウララ。三叉鎗を扱う達人だ、その神々しさまさに鎗を使う竜神と言える。
そんな一人として同じ種族が居ないパーティーだが、それが話題になっているわけではない。
このメンバー一人一人がAランク冒険者としても活動もしている、それだけ実力がずば抜けた五人組なのだ。
Aランク冒険者と言えばこの世界では英雄と言われる存在だ。
その五人が居るパーティー、殲滅の獣がこの度パーティーでのSランクとしての昇格試験に挑むと言うことで注目を集めているのだ。
その昇格試験の内容がヘリテリウム王国、カリスト聖王国、タイタン帝国三つの国の国境が重なる場所にあり、難関と言われているルフディフスダンジョンの攻略が今回のSランク昇格試験の内容として選ばれたのだ。
この試験内容にギルド上層部の思惑がある、Sランクに昇格させる気はないんだなど他の冒険者たちからは批判的な意見が多くでたのだが。
当事者たる五人は気にした様子はなかった、言われた内容の準備をして居た。
ダンジョンの攻略とは最下層に居るボスの討伐が条件である。
ルフディフスダンジョンは全50層と言われており、最下層には純竜種のドラゴンが居ると言われている。
言われていると言うのも何百年も昔の渡り人がこのダンジョンを攻略して以来攻略はされていない。
現地人最初の攻略者としての期待を殲滅の獣は期待されても居るのだ。
アンガスはダンジョンの情報収集、マークとミラーナはダンジョン内での食料や必要な物資の買い出し、ゲニアがそれぞれの武器の点検に調整、アーディに関しては瞑想とアーディ以外はそれぞれができることをたんたんとこなしていたのだ。
そしてすべての準備が整った殲滅の獣はダンジョンへと向かうのだった。
ダンジョン入り口には多くの冒険者、町の人々など多くの声援を背に五人はダンジョンの入り口へと吸い込まれていくのであった。
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