今後の方針と本部ギルドでは
師匠の家へと戻ってきた僕たち四人は食事をしながらアリゼアさんがこちらに来た理由を確認していた。
もちろん食事を作ったのは僕だ。そして何より驚いたのはアリゼアさん体のわりに少食なのだ。食べる量はアリゼアさん、師匠、僕、ジョージの順で体が小さくなるにつれて食べる量が増えてると言う逆転現象が起きていた。
閑話休題
「アリゼア、来てくれてありがとう。実は他にも手紙を出しているんだ。来てくれるかはわからないけどな、土人形も必ず届くわけではないからな。」
「わしの手紙にはただ手助けしてほしい、としか書かれとらんかった。他に手紙を出した相手ってのは誰なんじゃ?」
「まぁ俺がどうしてもってときに頼るのはお前たちパーティーメンバーぐらいだからな、ミラーナ、ゲニア、アーディの三人だ。」
「あいつらは長命な種族じゃけぇ死んではおらんじゃろう。しかしどこに居るのかわかっとるのか?」
「わからん、アーディ以外には土人形が届いた反応があったから、来てくれるかもしれないって感じだな。」
師匠のパーティーメンバーがここに来るかもしれないそうだ。どんな人たちなのかとても気になる。
そんな豪華なメンバーを集めて何をするのだろうか?
「師匠のメンバーを集めてどうするつもりなんですか?」
「来てくれるかはわからないが、ヴァンとジョージの特訓に協力してもらうつもりだ。今の現状で普通の冒険者ならBランクほどの実力がヴァンにあると思ってる。AランクやSランクを目指すならその実力を肌で感じた方がいいと判断した。努力型の天才のヴァンと天才肌とでもいえばいいか、ジョージの二人を自慢したいってところもあって呼ぶんだけどな。まぁあとは………。」
その後の言葉が出てこない師匠、ずっと一緒に居るが思い詰めたような顔を一瞬したように思うがその後笑顔になり。
「ヴァンは影魔法の『魔纏』を実践できてないだろ? もしもの時俺一人で対応できなかった時を考えて、どんな状況にも対応できるようにしようと思った、何事もなくすんなり『魔纏』ができるかもしれないしな。」
やはり気にしてくれていたようだ。それにしても努力の天才なんて誉められて嫌な人が居るだろうが? 思わず頬が緩むのを感じる、ジョージも理解しているようでクネクネしている。
「ありがとうございます。アリゼアさんにも午後の特訓の時になぜ使わないのかと言われました。影の『魔纏』試すのは少し躊躇していましたからね。」
「わしらが集まれば坊主一人どうとでもなる、大船に乗ったつもりで試してみるんじゃけぇ。」
「影魔法の『魔纏』は他のやつらが来てくれてから試せばいい、それにはまず今使うことのできる闇纏と風纏の二つをしっかりできるようにすることが最低条件だな。ちなみにアリゼアは仕事の方は大丈夫なのか?」
「ん? やつらはわしが居んでも、支障はないじゃろう、休みをもらうって手紙で書いてきたけぇな。大丈夫じゃろ。」
「それは大丈夫と言えるのか……?」
聞いた師匠は困った顔になっていた。
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王都本部ギルド内では―――――
「ルクールさん! た、大変です!! またキルドマスターが失踪しました!! 今回は書類の山の上に手紙がありました……。」
「また居なくなったんですか!? その手紙はありますか?」
「ギルドマスターが残した手紙がこちらです。」
ルクール、職員達へ
所用が出来たけぇ、休暇をもらう。
わしが判断せにゃあならん案件はすべて終わらせた。何も心配するこたぁない。
その他の案件は他の者達で可決できるじゃろう。
困ったらルクールを頼るように。
そのうち戻る。アリゼア・ゴストーニ
その手紙を読んだルクール本部副ギルドマスターは手紙をくしゃくしゃにした。
そのままの勢いでギルドマスター室へ入ると確かに以前より書類の山は小さくなっている……それでも他の職員に任せられるものは少ないだろう……臨時でルクールがギルドマスター代理として仕事をこなすことが確定した。
「臨時で依頼を出して!! アリゼア・ゴストーニの捜索よ!!」
ルクールに着いてきていた職員は急ぎ依頼を発注するのだった。
「仕方ありませんね、マスターからの頼みです、できる案件から終わらせていくとしますか。」
尚半年ほど前も休みをもらうと言い出したアリゼアの逃亡を阻止し、ルダボスカに行かなくてはならいと騒ぐアリゼアに仕事(視察)という理由を付けて許している過去がある。
ルクールは殲滅の獣の大ファンだった。そしてそのリーダーであるアリゼアと働けることを光栄に思っていた。鬼の副長と影で呼ばれているがアリゼアには甘いのだった。
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「まぁいいか、アリゼアにはジョージをメインで見てもらいたい。獣人達特有の身体強化をジョージに身に付けてほしい。」
「ヴァンの方は俺が見る、『魔纏』の扱えるものが近くで指導した方がいいだろうからな。今まではジョージを一人にするのが心配だったからこれからはヴァンの方に集中的に指導する。」
今後の予定が師匠からも告げられる。
「マーク、坊主の従魔じゃろう?わしの指示に従うのか?」
「それは問題ない、契約の魔法もヴァン自身でやっているし、何よりジョージは人の言葉を理解するから大丈夫だ。なんてったって俺の弟子だからな。有能なのだよ。」
「(えっへへ、じょーじ、すごい? くまじゃんぼ、まじゅう、みたい、ニッシシ)」
「すごいよ。なんてったって僕の相棒なんだから、ちゃんとアリゼアさんの言うこと聞いてね。」
「(うーん、くまじゃんぼ、つおい?)」
コテンと首をかしげる姿がかわいい。
「アリゼアさんとっても強いよ!」
「(ししょう、ばん、よりも?)」
「僕よりは確実に強いよ、今日の訓練では手も足も出なかった感じだね。」
腕くみしてアリゼアさんを見つめ考え込んでいるように見える。
こうしてアリゼアさんを加えた特訓が開始されるのであった。
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今後も頑張っていこうと思います。
半魔の渡り人をよろしくお願いします。




