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火起こしと倉庫掃除

 四日目の朝は昨日のような筋肉痛で動けないということはなかった。これもLVアップの恩恵なのかもしれない。


 朝食後、本日の日課を行う、掃除の日なのでリビングと台所の二ヶ所をきれいにする事を目標に開始する。


 お昼前には掃除を終わらせ外にいたマークさんに声をかける。


「マークさん、掃除終わりましたぁ~。」


「そしたら、昼飯を作るのに、ヴァンに火起こししてもらおうかな。」


「火起こしなんて、見たことも、やったこともないですけど大丈夫ですか?」


「最初だから、俺が手本を見せるよ。」


 とマークさんはいうと、森から持って来たまっすぐな棒を見せてくれる。


「これが火きりねぎとして使う枝、これからナイフを使って加工するのが、火きりうすなんて呼び方をするな。」


 というと別の木を板状に形成して、皿状に窪みをつける。火きりねぎを回転させて、きれいな円形に整える、そこの端を三角形にカットして擦った木くずが出てくる場所を作った。


「ここまでできたら、火きりねぎの上部を手で挟み、両手を前後させて回転させながら、体重をかけるんだ。」


 火きりねぎと火きりうすを摩擦させるマークさん。

 すると三角形にカットした部分に削れた粉が溜まっていく。序盤ではまだ木の色そのもの。


 摩擦を繰り替えすうちに、木屑は焦げ茶色になり、摩擦面から煙が立ちのぼる。そして、溜まった削り粉からも煙が出始め火種となる。


 その火種を綿と枯草の中心に入れ、火種めがけて、息を吹き込む。すると火がおき、まとめてあった薪の中へと入れ火お越しが完了する。


 一連の火起こしを見て学び、真似すること15分なかなか煙が出るまでいかない…さらに格闘すること30分。ようやく削った粉から煙が出て火種ができ、火を起こすことができた。


「飯できたぞ。」


 あまりに火がつかないのでマークさんは途中から自分で火をつけた薪でお昼作りをしていたのだ。

 美味しくいただきました。ごちそうさまでした。


 午後から薪割り、慣れてきたので片足を前にして試した。

 夕方前にマークさんが持って来たダイヤベアというと巨大熊の魔獣を解体して今日が終わった。



 五日目

 今日は洗濯の日だったのだが、とうとうマークさんより指令が来た、倉庫の掃除だ。マークさんも手伝ってくれるそうだ。

 本日は薪割りも免除される。


 この倉庫で一番多いものは武器類だ。なんでも昔ダンジョン攻略をしていたときに入手した物らしいが、乱雑に置いてあるのだ、剣はもちろん槍、斧、杖、弓、盾、棒など僕でも分かるような武器からどのように扱うのかわからないものまで武器屋でもひらけるのではないかと思うほどの量になっている。


 この倉庫の惨状を見て、ジト目を向ける僕。


「まぁあれだ、一応ここにある武器を使った格闘も出来るし、仲間が置いていった思い出の品ってやつもあるんだがな…」


 なんともばつが悪そうに聞いてはいないが、答えてくれた。


「マークさんは自称大魔法使いじゃないですか?武器を使った戦闘って必要なんですか?」


 質問をしながら、武器の回収を始める。

 マークさんも倉庫に生活魔法(クリーン)をしてから片付けを開始する。


「自称って、お前…確かに俺は魔法がメインだが、近接戦闘ができない訳じゃない、魔法には詠唱と無詠唱があるんだが、魔法を覚えたての頃は詠唱が必須になる、熟練してくれば詠唱なしで魔法が使えるようになるがそれなりに鍛練が必要だ。話がそれだが、魔獣が詠唱してる間待ってくれるわけではない、詠唱中に襲われたときに対処するのに近接武器の心得があった方が身を守ることにも繋がるんだ。それに魔力も無限にあるわけではないからな。」


「そういう理由があるんですね。でもこんなに多くの種類がある必要はないんじゃないですか?魔法を使うのが基本であれば、得意な武器を一つに絞るとかもで来たんじゃないですか?」


「それは趣味というか…若いときは好奇心旺盛だったんだよ!それにやればやるだけスキルって結果に繋がったからな、修行や訓練に明け暮れてたもんさ。一応剣が得意武器になるがな。」


 手は緩めず、作業を続けながら倉庫から武器を外に出す。


「僕もいろいろな武器のスキルを覚えることができますかね?」


 作業の手を止め、顎に手をあてながら少し間があったあとマークさんは


「…そうだな、ただやみくもに訓練をするだけじゃダメだ、その訓練の質や量、やっていることに対して理解することが重要にるな。武器技能だけじゃなく、魔法も同じだ。どちらに関しても俺がちゃんと指導する。俺のすべてをヴァンに教える予定だから、ヴァンは俺の弟子ってことだな。いつでも師匠って呼んでいいぞ。俺の夢の一つに弟子をとるってのがあったから、これで叶うな。」


(真面目でためになる話だと思ったのに、後半は自分の願望を話し出してるし…でもお世話になってるし、これからの指導で師匠って呼んであげようかな。なんて…今はちょっと恥ずかしいからそのうち。)


「マークさん、頑張って覚えるのでよろしくお願いします。それと手を動かしてください。今日中に倉庫掃除終わらないですよ!」


「そこはヴァン、師匠って呼べよ!」


 と叫びながら、しぶしぶと片付けを再開した。



 一日をかけて、倉庫の片付けが完了した。

 倉庫のなかは魔法瓶(ポーション)類や麻の袋に魔石が大量に入っているものがあったり、マークさんも覚えていない魔導具らしいものなんかも出てきた。そのたびにマークさんは「こんなところにあったのか。」とか「これは俺のじゃない」などとぶつぶつ言っていた。

 ビックリなのはマジックバックが三つも出てきた。武器類はこのマジックバックに収納して、倉庫内はだいぶスッキリした。

 この倉庫の掃除のご褒美じゃないけど、一番小型の体に取り付けるホルスター型のポーチをもらったのだった。


 こうして5日目が終了した。


お読みいただきありがとうございます。



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